第56章:大河の暴君
サシャ達はドラゴニア渓谷を進んでいた。
道沿いには、どこまでも続くかのように巨大な川が流れ、その両岸には、淡いピンク色の花をつけた桜の木々が、まるで天蓋のように空を覆っていた。
風が吹くたびに、はらはらと花びらが舞い落ち、川面を桃色の絨毯のように彩っている。
川底は透き通り、陽光を浴びてキラキラと輝き、その中を、鮮やかな桃色の鱗を持つ魚たちが群れをなして泳いでいた。
まるで、大自然の息吹を感じさせる、壮大で息をのむような美しさだった。
「あ!サクラカマスだよ!」
アリアが、川面に群れる魚たちの中に、ひときわ鮮やかな桃色の魚を見つけ、指さした。
「サクラカマス?」
サシャが、興味津々といった様子でアリアに尋ねた。
「見ての通り、美しい桃色の鱗を持つ淡水魚だよ。身が硬いから、残念ながら食べるのには向いていないけど、その美しい姿から観賞用として人気があるんだよ!」
アリアは、得意げな表情で説明した。
「え…食べられないんだ…」
バウバウの時のように、珍しい魚ならきっと美味しいはずだと、サシャは少しばかり期待していたが、アリアの意外な回答に、肩をほんの少しだけ落とした。
「にしても、こんなにも美しい場所があるとはな」
リュウも、どこまでも続く桜並木と、深く切り込んだ渓谷の織りなす壮大な景色に、言葉を失っている様子だった。
時折、吹く風に乗って運ばれてくる桜の甘い香りが、彼の心を安らかにしていた。
「ここだけ、まるで季節が変わったみたいだよ!」
アリアは、周囲の春爛漫とした景色を見渡し、他の場所は夏の暑さだというのに、ドラゴニア渓谷だけが春の陽気に包まれていることに、不思議な感覚を抱いていた。
「小娘、よい勘をしておるのぉ」
魔導念波増幅機を通じて、トルティヤがサシャに話しかけてきた。
「トルティヤ、起きてたんだ」
サシャが、精神世界でトルティヤに話す。
「うむ。お主達が渓谷に入ったあたりからのぉ」
トルティヤは、あくび混じりの声で呟いた。
「ドラゴニア渓谷は、特殊な地形での。他の地域と季節が異なるのじゃ」
トルティヤが、続けて解説した。
「確かに、他の場所は夏の暑さだけど、ここは春の陽気だよね」
サシャが、周囲の桜並木や新緑の木々を見渡して呟いた。
そんな感じの雑談をしながら、美しい渓谷の景色を堪能しつつ進んだ先に、古びた木製の看板が立っていた。
『←ドラゴニア王国・マクレン群島諸国→』
「ついに…マクレンに着いたんだ…!」
サシャ達は、長く険しい道のりを乗り越え、ついに国境を越え、マクレン群島諸国へと足を踏み入れた。
「だが、ブロッケスまで、まだ距離がありそうだ。もう少し歩く必要があるな」
リュウは、ポーチから地図を取り出し、広げてブロッケスの位置を確認していた。
「結構、遠いんだね」
アリアも、リュウの広げた地図を覗き込み、ブロッケスの位置が思ったよりも遠いことを知り、少しばかり顔をしかめた。
「ま、今日は天気がいいし、ゆっくり行こうよ」
サシャは、青空を見上げ、深呼吸をしてから、二人を励ますようにそう呟いた。
そして、サシャ達が、桜並木が続く川沿いの細い小道を、のんびりと歩いていた、その時だった。
「ドドドドドドド!」
突然、渓谷の上流の方から、大地を揺るがすような轟音が響き渡ってきた。
「なんだ!?」
サシャは、驚いて音のした上流の方に、反射的に視線を向けた。
すると、そこには、体長3メートルはあろうかという巨大な魚が、信じられないほど大きな口を大きく開けて、ものすごい勢いでこちらに向かって突進してくるのが見えた。
それは、水面を叩きつけ、周囲に水しぶきを撒き散らしながら、その巨体は猛スピードで迫ってくる。
「おい。逃げるぞ!」
リュウも、地響きのような音と、水面を割って迫ってくる巨大な魚の異様な気配に、すぐに危険を察知し、足早に走り出した。
「わぁ、大きい魚だよ!」
アリアは、悲鳴を上げながらも、その巨大な魚から目が離せない様子で、逃げつつも興味津々といった表情で振り返っていた。
「あれは、龍王魚じゃな。なんでも食べる貪欲なドラゴンの一種じゃ」
トルティヤが、サシャ達の焦った様子を感じ取り、魔導念波を通じて説明を始めた。
龍王魚。
個体によって大きさは異なるものの、2から3メートルほどの体長をもつ巨大な水性のドラゴンである。
雑食性であり、目についた生物を無作為に食することから「貪欲の王」「大河の暴君」とも言われている。
そのため、商人や川近に住む人々からは、非常に恐れられている存在である。
「こっちに迫ってきている!」
サシャ達は、背後から迫りくる巨大な影を感じながら、必死の形相で走り出した。心臓が早鐘のように打ち、冷や汗が背中を伝う。
だが、龍王魚は、ものすごい勢いで水面を滑るように進み、サシャ達との距離をあっという間に詰めてくる。
「僕に任せて!」
アリアは、走りながらも冷静さを保ち、いつの間にか背負っていた弓を取り出し、腰の矢筒から巨大な矢を抜き放っていた。
それは、前回の戦いで強敵に使用した、先端が鋭い螺旋状になっている特殊な矢だった。
そして、狙いを定めると、渾身の力を込めて矢を勢いよく放った。
「ヒュルルルルル!」
矢は、空気を切り裂くように高速で回転しながら、一直線に龍王魚の大きく開かれた口めがけて飛んでいく。
「ザシュ!!」
アリアの一撃は、見事に龍王魚の喉の奥深くに突き刺さった。
鈍い音と共に、生臭い液体が飛び散る。
「ギュオオオオ!」
龍王魚は、喉を貫かれた激しい痛みに悶え苦しみ、けたたましい叫び声をあげ、水しぶきをあげて勢いよく跳ね上がった。
「うわぁ…」
その信じられない光景に、サシャ達は思わず足を止め、空中で暴れる龍王魚の姿を呆然と見上げていた。
「ドチャ」
次の瞬間、龍王魚は、轟音と共にサシャ達の行く手を阻むかのように、地面に激しく叩きつけられた。
龍王魚の表面は、鮮やかな青色の鱗が朝日に反射して眩しく輝き、その足は、ぬめぬめしており、指先には、水中で活動するための大きな水かきがついていた。
さらに特徴的なのは、長く伸びた二本の髭と、鮮やかな緑色の背びれと尾びれだった。
そして、全てを飲み込まんとする巨大な口の中には、鋭く尖った巨大な牙が、無数に生え並んでいた。
「…やるしかないか」
サシャは、目の前の巨大な敵を前に、覚悟を決めた表情で腰の双剣に手をかけた。
リュウも、静かに刀を抜き、切っ先を龍王魚に向けた。
「…シャアアア!」
それを察知したのか、龍王魚は、大きく口を開き、喉の奥から強烈な水圧の巨大な水ブレスを吐き出した。
それは、まるで巨大な滝が押し寄せてくるようだった。
「うわ!」
サシャとリュウは、間一髪で横に跳躍し、水ブレスを避けた。
「ズコーン!」
二人が先ほどまで立っていた場所を通過した水のブレスは、背後にあった巨大な岩に直撃し、轟音と共に粉々に砕け散った。
「あれを受けたら、ひとたまりもないぞ…」
リュウは、砕け散った岩を見て、改めて龍王魚の恐ろしさを認識し、警戒の度合いをさらに強めた。
「僕が陽動になる…アリアは、隙を見て矢で援護して。リュウは、奴が隙だらけになったところを攻撃して!」
サシャは、冷静に状況を分析し、二人に向かって素早く指示を出した。
「わかった」
リュウは、短く力強く頷いた。
「うん!任せて!」
アリアも、弓を構えながら、自信に満ちた表情で頷いた。
「行くよ!」
サシャは、地面を強く蹴りつけ、龍王魚に向かって一直線に走り出した。
「バシュ!」
それに対して、龍王魚は、巨大な口から高密度の水の弾丸を放った。
それは、着弾した地面に深くて大きな穴を開けるほどの威力を持っていた。
「はっ!」
サシャは、水の弾丸が放たれる瞬間に、素早い身のこなしで次々と回避していく。
そして、龍王魚の巨大な足元に潜り込み、研ぎ澄まされた双剣で素早く斬りつけた。
「ザシュ!ザシュ!」
分厚い肉が斬れる生々しい音が響き渡る。
「ギュオオオオ!」
龍王魚は、足元を斬られた激しい痛みに悶え苦しみ、巨体を大きく揺らし、バランスを崩した。それを見たリュウは、好機と見て、一気に龍王魚との距離を詰めた。
「荒覇吐流奥義・蒼月!」
リュウは、刀身に力を込める。
そして、体全体を大きく使い、龍王魚の硬い鱗を斬り裂くように、強烈な袈裟斬りを放った。
「ギュオオオオ!」
龍王魚は、さらなる激痛に悶え、大きく口を開けた。
「サシャ!リュウ!離れて!!」
アリアは、二人の動きと龍王魚の様子を見て、大声で二人に叫んだ。
状況を理解したサシャとリュウは、アリアの叫びと同時に、急いで龍王魚から距離を取った。
その直後、アリアの放った一本の矢が、二人の間をすり抜けるようにして飛んでいき、龍王魚の大きく開いた口の中に、吸い込まれるように突き刺さった。
「これで終わりだよ!」
アリアが、静かに呟いた。
次の瞬間、龍王魚の口の中で、突き刺さった矢が激しく爆発した。
轟音と、大量の水しぶき、そして生臭い体液が周囲に飛び散る。
「…やったか?」
サシャは、爆発の余韻が残る中、龍王魚の方に慎重に視線を向けた。
そこには、頭部が丸ごと吹き飛ばされ、原型を留めていない龍王魚が、ピクリとも動かずに倒れていた。
頭を吹き飛ばされたことで、完全に絶命している様子だった。
「(ほう。連携がよく取れるようになってきたのぉ)」
その様子を見ていたトルティヤは静かに頷く。
「…やったな」
リュウは、額に滲む汗を手の甲で拭いながら、安堵の表情で呟いた。
「あれ?なんか落ちているよ!」
アリアは、倒れた龍王魚の周囲に、何かキラキラと光るものが落ちているのに気が付き、指さした。
「何かな?」
サシャが、頭部を吹き飛ばされた龍王魚の巨大な死体に近づいた。
そして、死体の近くに落ちている、キラキラと光を反射する物体を拾い上げた。
「…これは?お宝!?」
サシャの手のひらに乗ったのは、古びたものの、表面が磨かれたように金色に輝く金貨が数枚落ちていた。
「どうして龍王魚の中から?」
リュウは、信じられないといった表情で首をかしげた。
「おおかた、こやつがどこかで宝が入っている木箱か何かを食べたのじゃろう。全く、食い意地の張ったやつじゃ。まあ、お主達にとってはラッキーじゃったな」
トルティヤが、呆れたような、それでいてどこか楽しそうな声で説明した。
「わあ!綺麗だよ」
アリアは、金貨の眩い輝きに目を奪われ、歓声をあげた。
「売ったらそこそこな金額になりそうだね」
サシャは、手に入れた古い金貨を、大切そうに亜空袋の中にしまった。
「あぁ。ブロッケスに到着したら、交易所で換金してもらおう」
リュウも、予想外の収入に、自然と笑みがこぼれていた。
「じゃあ、行こうか!」
こうしてサシャ達は、龍王魚を撃破し、その体内に残されていた金貨を手に入れた。
そして、再び歩き出し、自然豊かなドラゴニア渓谷を抜けると、目の前にはどこまでも続く白い砂浜が広がり、その砂浜に隣接するように整備された遊歩道が現れた。
砂浜は、眩しいほどの白い光を放ち、波が打ち寄せるたびに、潮の独特な香りが周囲の空気を満たしていた。
だが、大陸の南部に到達したためだろうか、肌を刺すような強い日差しが照りつけ、気温は一気に上昇し、蒸し暑さが体にまとわりついてきた。
「わぁ!海だ!!初めて見たよ!」
アリアは、目の前に広がる青い海の壮大さに、目を丸くして感動していた。
打ち寄せる波の音、どこまでも続く水平線、そしてキラキラと輝く水面。
その全てが、彼女にとっては初めての光景で、心を奪われていた。
「この先を道なりに進めばいいはずだ」
リュウは、遠くに続く遊歩道を見つめ、そう言った。
こうして、サシャ達は、白い砂浜に隣接する遊歩道を、ひたすらに歩き続けた。
しかし、容赦なく照りつける強い日差しと、まとわりつくようなジメジメとした蒸し暑さが、徐々にサシャ達の体力を奪っていく。
「うっ…一気に暑くなった…」
サシャは、額から流れ落ちる汗を拭いながら、うんざりとした表情で呟いた。
「マクレンは大陸の南部だからな…本来は、これがこの地域の正しい暑さなのだろう」
リュウも、額にじんわりと汗が滲み出ており、疲労の色を隠せない様子だった。
「うぅ…さすがに暑いよぉ…」
アリアは、暑さに耐えかねて、羽織っていたポンチョを脱ぐ。
「(む…相変わらず良い発育をしておる)」
ポンチョを脱いだアリアを見つめてトルティヤがむすっとした顔をする。
サシャ達は、容赦なく照りつける太陽と、まとわりつく湿気という二重苦と戦いながら、砂浜沿いの道を歩き続けた。
砂浜には、鮮やかな黄色の小さな蟹がちょこちょこと歩き回り、青い空には、見たことのない白い羽を持つ鳥が、優雅に舞っていた。
「わ…か、蟹さんだ。それに、あの鳥も、今まで見たことがないよぉ…ゴクゴク…」
アリアは、暑さのせいでかなり疲労困憊の様子で、竹筒に入れた水を何度も口に運んでいた。
「アリア、大丈夫?」
サシャは、息を切らしているアリアを心配して声をかけた。
「場所的にも、もうすぐブロッケスのはずだが…」
リュウは、遠くの景色を注意深く確認した。
すると、遊歩道の先に、ようやく目的の街らしき建物が見えてきた。
「あれがブロッケスだよ!」
サシャは、指をさして街の方角を教えた。
「もう少しだね!」
アリアは、額に流れ落ちた汗を手の甲で拭うと、気合を入れ直したように、力強く頷いた。
サシャ達は、疲労困憊の体に鞭を打ち、気力を振り絞ってブロッケスへと歩を進めた。
そして、ようやくブロッケスの入り口にたどり着いた。
「ここが…」
「ブロッケス!」
ブロッケスは、青い海に面した活気のある街で、街の中には、どこからともなく潮の香りが漂ってきていた。
多くの人々が行き交い、木造の温かみのある建物が軒を連ねている。
そして、砂浜に面した場所には、新鮮な魚介類を焼く香ばしい匂いを漂わせる店や、色とりどりの貝殻を使ったアクセサリーを売る店、見たこともないような鮮やかな色をした果物を並べた露店などが、所狭しと並んでいた。
「とりあえず、宿屋に行こう。そこで昼食を食べながら、今後の行き先についてゆっくりと考えよう」
サシャ達は、活気あふれる街の中に入り、まずは宿屋を探すことにした。
やがて、一軒の趣のある木造の宿にたどり着いた。
屋根は、藁のような植物で覆われており、強い日差しを遮っている。
宿の入口の両脇には、奇妙な形をした木像や、鮮やかな色彩で描かれたカラフルなお面など、どこかの国の工芸品と思われるものが飾られていた。
木製の看板には、力強い文字で「水夫の宿」と刻まれていた。
「ここにしよう」
サシャ達は、少し期待しながら宿の重い木の扉を開けた。
すると、外の蒸し暑さとは打って変わって、ひんやりとした涼しい風が、サシャ達の火照った肌を優しく撫でるように通り抜けた。
「うわ!」
突然の涼しさに、サシャは思わず驚きの声を上げた。
「涼しいよぉ」
アリアは、その心地よさに、ほっとした表情で目を細めた。
「らっしゃい!空いている場所、適当に座ってくれ!」
上半身を裸にし、日に焼けた肌が逞しい、店主らしき男が、豪快な笑顔で出迎えた。
店内には、同じように旅をしている冒険者らしき人々が数組、テーブルで休んでいたり、数人の屈強な船乗りらしき男たちが、美味しそうな魚料理を頬張っていたりしていた。
「天国だ…」
サシャは、店内の奥の空いている席を見つけ、どっかりと腰を下ろした。
宿の中は、何か特別な魔法のおかげなのか、外の暑さが嘘のように非常に涼しく、サシャ達の体に滲んでいた汗は、すぐに引いていった。
すると、先ほどの豪快な店主らしき男が、笑顔で注文を取りにやってきた。
「注文を聞くぜ」
「あー…えっと」
サシャは、慌ててテーブルに置かれた手書きのメニューを眺め始めた。
「鳥そば…を」
サシャが、いつものように鳥そばを注文しようとした、その時だった。
精神世界の中で、トルティヤの強い視線を感じた。
「じとー」
精神世界の中で、トルティヤが大きな目を丸くして、じっとサシャの方を見つめていた。
「…わかったよ」
サシャは、トルティヤがまた自分の食事を狙っているのだと、すぐに理解した。
「…今回は、お主に譲るわい」
トルティヤの口から、意外な言葉が飛び出した。
「へ?」
予想外の答えに、サシャは目を丸くして驚いた。
「暑さで、お主に倒れられては困るからのぉ。ワシの心遣いに感謝するのじゃぞ」
トルティヤは、そう言いながら、ニヤリと口角をあげて笑みを浮かべた。
「トルティヤ…ありがとう!」
サシャは、素直にトルティヤに感謝の言葉を述べると、改めて店主に注文をした。
「鳥そばを一つ!それと…マクレンサイダーってなんですか?」
メニューの端に、手書きでデカデカと書かれている「マクレンサイダー」という見慣れない飲み物が、サシャの目を引いた。
「これは、マクレンで長年愛されているドリンクさ。炭酸が入っていて、さっぱりしていて、とってもおいしいぜ?」
マクレンサイダー。
ココナッツや、マクレン群島で特産として採れる、甘酸っぱいトロピカルフルーツなどを炭酸水で割った飲み物である。
しゅわしゅわとした爽快な飲み心地が特徴で、根強いファンも多い。
「じゃあ、それも一つ!」
「僕も!」
「俺は…天然水で頼む」
サシャとアリアは、興味津々といった様子でマクレンサイダーを注文した。だが、リュウは静かに天然水を注文した。
「リュウは、マクレンサイダー飲まないの?」
アリアは、不思議そうにリュウに尋ねた。
「…しゅわしゅわしている飲み物は、どうも俺の口には合わない」
リュウは、少しだけ顔をしかめて、そう呟いた。
そして、サシャ達の注文を終えると、店主は厨房の奥へと去っていった。




