第39章:五里雪中
「無限魔法-羅刹の炎-!」
トルティヤが魔法を唱えると、黒い炎がケープに向かって放たれた。
「雪魔法-螺旋雪塊-!」
だが、炎の間を縫うように螺旋状の雪の槍がトルティヤを襲う。
「ちっ…」
トルティヤは炎をコントロールし雪の槍にぶつける。
雪の槍は、黒い炎に包まれると、一気に燃え上がり、形を失い、跡形もなく消え去った。
「雪魔法…相性最悪じゃな?」
トルティヤは、ニヤリと笑い、余裕綽々な表情を見せる。
「あれは小手調べっすよ」
ケープは、涼しい表情でそう呟くと、再び魔法を唱えた。
「雪魔法-雪泥鴻爪-」
すると、ケープの周囲に、白い吹雪が巻き起こり、トルティヤの視界を遮った。
「…くっ!」
トルティヤは、吹雪による強烈な風圧を受け、咄嗟に右腕で顔を覆った。
肌を刺すような冷たさがトルティヤを襲う。
「うわっ…何も見えない」
サシャも精神世界から辺りを見渡すが何も見えなかった。
「…さて、あっしはどこでしょうか?」
吹雪の中から、ケープの声が響いた。
その声は、四方八方から聞こえ、トルティヤを惑わせた。
「(特殊な結界魔法じゃのぉ…魔力が消えおった)」
トルティヤは、周囲を見渡したが、そこは真っ暗闇に包まれ、辺りは吹雪が吹き荒れているだけだった。
「随分と臆病なんじゃのぉ」
トルティヤは、ケープに向かって、挑発的に呟いた。
「臆病?違うっすよ。あっし達は、勝利者の矛を入手するという目的があるっす。そのためになら…手段は選ばないってだけっすよ」
次の瞬間、吹雪の中から、ケープがトルティヤに向かって飛びかかった。
その両手には、いつの間にか鉄製の鉤爪が装着されていた。
「小癪な…」
トルティヤは、咄嗟に身をよじらせ、鉤爪による攻撃を回避した。
しかし、僅かに反応が遅れ、腹部に浅く攻撃を受けてしまった。
「…ほう」
トルティヤは、腹部を見つめた。
そこには、浅い傷があり、じわりと赤い血が滲んでいた。
「今のを避けるとは、やるっすね…」
ケープは、そう呟くと、再び吹雪の中へ消えていった。
「(また魔力が消えおった)」
トルティヤは、周囲を見渡したが、ケープの姿は見えなかった。
「あっしの攻撃は攻防一体」
「この吹雪は全てを覆い隠す」
「悪いけど、アンタに勝ち目はないっすよ」
ケープの声が、四方八方から響き渡り、トルティヤを追い詰める。
「ごちゃごちゃとうるさい奴じゃのぉ。結界魔法には結界魔法じゃ」
トルティヤは、苛立ちを隠さず、魔法を唱えた。
「霧魔法-静寂の幽泉-」
すると、吹雪の中に、深い霧が発生し、周囲を覆い始めた。
「(むっ…魔力が)」
ケープは、トルティヤの魔力が消えたことに気がつき、僅かに動揺した。
「仕返しじゃ。さて、ワシの居場所…分かるかのぉ?」
トルティヤは、不敵な笑みを浮かべ、ケープを挑発した。
「(この魔法でワシの魔力を消す。その間に策を練るのじゃ)」
しかし、トルティヤの考えが読まれているかのようにケープが呟く。
「…フフフフ。それでごまかしたつもりっすか?」
ケープは、不気味な笑みを浮かべた。
次の瞬間、ケープの鉤爪が、闇と吹雪に包まれた霧を切り裂いた。
それは、トルティヤ目掛けて振るわれた。
「む!!?」
トルティヤは、咄嗟に左腕でガードを入れた。
「ザクッ!」
しかし、鉤爪はトルティヤの左腕を深く斬り裂く。
「ぐっ…!」
トルティヤは苦悶の表情を浮かべた。
「トルティヤ!」
精神世界から見ていたサシャが思わず叫ぶ。
「なんの…かすり傷じゃ」
「…あらら。痛そうっすね?」
ケープは、鉤爪についた血を振り払い、嘲笑した。
ケープの目元から布が外されており、その瞳には、十字架の模様が浮かび上がっていた。
「その眼は…「粒子眼」じゃと!?」
トルティヤは、苦痛の表情を浮かべつつ、驚愕の声を上げた。
「当たりっす」
ケープの粒子眼は、白く輝いていた。
「ということは、貴様はアイアンヴォルト家の人間じゃな」
トルティヤは、ケープの瞳を見つめ、呟いた。
「粒子眼?」
サシャがトルティヤに尋ねる。
「それはの…」
トルティヤが粒子眼についてサシャに説明する。
粒子眼。
サージャス公国の公爵家である「アイアンヴォルト家」に伝わる特異体質である。
魔力や魔力の残穢を粒子として視認できる特殊な力を持ち、上位の使い手になると、魔力の残穢から魔力の持ち主の行動を特定することもできるという。
「じゃあ、この魔法も意味がないってこと…?」
サシャは驚愕した顔をする。
「そういうことじゃな…まさかそんな能力を持っておるとは」
トルティヤの顔に焦りが生まれる。
「さぁね。とにかく、この霧は無意味っすよ」
そう呟くと、ケープは再び霧と吹雪の中へ消えた。
「さて…どうするかのぉ」
トルティヤは、必死に思考を巡らせた。
一方、その頃。
リュウとアリアは、コサックと向き合っていた。
「さ、かかってこい。お前の自信ごとへし折ってやるよ」
コサックは、金砕棒を肩に担ぎ、挑発するようにリュウとアリアに呟く。
その表情には、余裕と嘲笑が浮かんでいた。
「アリア、援護を頼む…!」
そうアリアに呟くと、リュウは刀を握り、コサックに向かって飛び出した。
「うん!任せて!」
アリアは、頷くと、矢筒から数本の矢を取り出し、弓を構えた。
「とりあえず斬り裂かれるといい!」
リュウは、刀を振り上げ、コサックの懐に飛び込もうとした。
だが、コサックは、不敵な笑みを浮かべた。
「おいおい。ガキのチャンバラみたいな動きだな」
そう呟くと、コサックは地面に手を当てた。
「破裂魔法-撃滅地衝爆-!!」
すると、コサックの目の前の地面が、メリメリと音を立てて盛り上がり始めた。
「む!!」
リュウは、刀を振り下ろすのを止め、後ろに下がろうとした。
「ほう。懸命だ…だが、それじゃあ間に合わんな」
コサックが、冷酷な声で呟いた。
「なんだと?」
リュウが呟いた瞬間だった。
「パーン!!」
盛り上がった地面は、轟音と共に破裂した。
地面の破片が、勢い良くリュウを襲い、まるで鋭い刃のように、リュウの体を切り裂こうとした。
「ぐっ!!」
いくつかの破片が、リュウの体を掠めた。
額から血が飛び、腹部と腕に、じわりと痛みが走った。
リュウは、歯を食いしばり、痛みに耐えた。
「今だよっ!」
アリアは、3本の矢を放った。
矢は、的確にコサックに向けて放たれた。
「なんだそれは?おもちゃか?」
コサックは、冷静に金砕棒を体の前に突き立て、矢を受け止めた。
矢は、金砕棒に当たると、勢いを失い、地面に落ちた。
「口の割に大したことないな」
コサックは、嘲笑を浮かべ、アリアを見下ろした。
「ちっ…厄介な…」
リュウは、額から出た血を拭い、コサックを睨みつけた。
「もうママゴトは終わりか?なら、こっちから…いかせてもらうぞ!!」
コサックは、足に力を込め、爆発的な踏み込みでリュウの元へ突撃する。
まるで、リュウを押し潰さんとする勢いで、コサックの巨体が近づく。
「(早い!!)」
リュウは、咄嗟に刀で迎撃の姿勢を取った。
「そらよっと!!」
金砕棒は、風を切り裂き、轟音を立てリュウに振り下ろされる。
「はっ!」
リュウは、間一髪で攻撃を躱す。
金砕棒は、リュウの横の地面に叩きつけられた。
「ドコーン!!」
付近の地面が、激しく振動した。
地面は砕け、雪に染まった土が辺りに飛び散った。
「うわっ…!!」
アリアが、振動に思わず足をとられた。
「(ちっ…なんて馬鹿力だ)」
リュウは、冷静にコサックを見つめた。
金砕棒を持ち上げたコサックが、リュウとアリアを見下ろした。
「どうだ?まだやるか?さっさと勝利者の矛を渡してくれたら、命だけは取らずに見逃してやる」
コサックは、冷酷な瞳で二人を見つめ、呟いた。
「誰が…!」
リュウは、刀を構え、再び走り出した。
そして、刀身に力を込めると、リュウの体から、闘気が溢れ出した。
「喰らえ!荒覇吐流奥義・剛鬼!!」
刀身に、鬼のオーラが纏わりついた。
「何度やっても無駄だ。破裂魔法-撃滅地衝爆!」
再び、地面が隆起し始めた。
「それが…」
リュウは、刀の柄を強く握りしめた。
そして、隆起した地面に刀を振りかざした。
「どうした!!!!」
リュウの刀は、まるでバターのように隆起した地面を斬り裂いた。
刃は地面を両断し、コサックに迫った。
「むっ!」
コサックが、目を見開いた。
「おらぁぁぁ!!」
リュウの一撃が、コサックを捉えた。
刀は、コサックの腹部を深く斬り裂いた。
「ぐっっっ!!」
コサックは、苦悶の声を上げ、膝をつく。
腹部からは、大量の血が噴き出していた。
「(くそっ…なんて筋肉だ。半分くらいしか刃が入らなかった)」
リュウは、刀についた血を払い、コサックを見下ろした。
コサックの体は、鋼のように硬かったのだ。
「今なら!」
その様子を、アリアが見つめ、魔法を唱えた。
「鎖魔法-チェーンバインド-!!」
アリアが魔法を唱えると、コサックの足元から鎖が飛び出してきた。
鎖は、まるで蛇のようにコサックに絡みつき、ギチギチに締め上げた。
「ぐっ!」
コサックの骨が軋む音が響いた。
コサックは、苦悶の表情を浮かべる。
「すまないが、これで終わらせる」
リュウは、刀を構え、一気に踏み込んだ。
「荒覇吐流奥義・蒼月!!」
リュウが、袈裟切りを放った。
「ふっ…」
しかし、コサックは、不気味に笑った。
そして、魔法を唱えた。
「破裂魔法-撃滅天衝爆-!」
次の瞬間、鎖が膨らみ、盛大に破裂した。
そして、 破裂した金属片が、リュウに向かって飛び散った。
「うぐっ!」
リュウは、予想外の反撃を受け、咄嗟に刀で防御した。
しかし、脇腹と腕には、金属の破片が深々と刺さり、リュウは苦痛に満ちた表情をした。
「リュウ!!」
アリアが、悲痛な叫び声を上げた。
「やれやれ…少しヒヤッとしたぞ」
コサックは、肩を鳴らすと、落ちている金砕棒を拾い上げ、跪いているリュウに向かってゆっくりと歩き出した。
「やらせないよ!!」
アリアが、3本の矢を再び放った。
矢は、コサックに向かって一直線に飛んでいった。
「だから、そんなおもちゃじゃ俺はやれねぇって」
コサックは、金砕棒を振るうと、放たれた矢を弾き飛ばす。
矢は、地面に落ち、音を立てて砕け散った。
「うっ…」
リュウは、痛みをこらえ、刀を握りしめた。
深々と刺さった金属片からは、血が滲み出て、血だまりを作っていた。
リュウは、呼吸を荒くし、痛みに耐えながらも、コサックを睨みつけた。
「辛そうだな…だが、楽にしてやるよ」
コサックは、金砕棒を振り上げ、リュウに止めを刺そうとした。
その表情には、勝利を確信した冷酷な笑みが浮かんでいた。
「ダメっ!!鎖魔法-チェーンバインド-」
アリアが魔法を唱えると、地面から鎖が伸び、コサックの右手を拘束した。
鎖は、コサックの腕に絡みつき、金砕棒を振り下ろすのを阻止した。
「くそっ、しゃらくさい!」
コサックは、苛立ちを露わにし、鎖を振り払おうとした。
しかし、鎖は、コサックの強靭な腕をしっかりと拘束していた。
「…アリア。聞いているか?」
リュウは、魔導念波増幅器でアリアに語りかけた。
その声は、普段よりも低く、僅かに震えていた。
「うん!今のうちに下がって!」
アリアは、後退を促した。
だが、リュウは、首を横に振った。
「俺は今からある力を開放する。危険な力だ…万が一暴走した時は…」
リュウは、覚悟を決めて、深く息を吸い込んだ。
肺が膨らみ、全身に力が漲った。
「トルティヤとお前で俺を止めてくれ!」
次の瞬間、リュウの体から、蒼いオーラが溢れ出した。
蒼いオーラは、リュウの体を包み込み、周囲の空気を震わせた。
リュウの顔は、先程までの苦痛の表情はなく、まるで鬼神のような表情をし、その瞳は、蒼く輝いてた。
そして、リュウは、ゆっくりと立ち上がった。
「ちょっと待ってよ…どういう?」
アリアは、リュウの様子が、普段の彼とは全く異なっていたことに動揺する。
「ええい!」
コサックの拘束が解ける。
鎖を破壊し、金砕棒を握りしめた。
「これで終わりだ!ガキ!!」
コサックは、そのままリュウに向けて金砕棒を振り下ろした。
しかし、その攻撃は、空を切った。
「遅すぎる」
リュウは、いつの間にかコサックの背後に立っていた。
その動きは、あまりにも速く、コサックは、リュウの姿を捉えることができなかった。
「え?嘘!?全然…見えなかった。それにあのオーラは…一体何なの?」
アリアは、リュウの姿と行動に呆然としていた。
「ちっ!いつの間に!」
コサックは、金砕棒を振り回し、リュウを攻撃しようとした。
しかし、リュウは、残像を残し、高速で駆け回った。
それは、コサックには、リュウが複数人に見えるほどだった。
「ええい!ちょこまかと…」
コサックは、苛立ちを露わにし、魔法を唱えようとした。
しかし、それよりも早く、リュウが動いた。
「…荒覇吐流奥義・…」
リュウは、高速で移動しながら、両手に力を加え、地面が爆ぜるほどの踏み込みでコサックに斬りかかった。
「-絶-蒼月!!」
先程よりも速く、力強い袈裟斬りが、落雷の如くコサックの体を斬り裂く。
「ぐぉぉぉぉ!」
コサックは、激しく胸を斬り裂かれた。
辺りに、赤い鮮血が吹き出し、白い地面を赤に染めた。
コサックは、苦悶の声を上げ、膝をついた。
「…私もうかうかしてられない!」
アリアは、援護しようと弓を構えた。
しかし、それを察したかのように、魔導念波増幅器からリュウの声が響いた。
「…余計ナコトヲ…スルナ」
リュウの声は、普段よりも低く、まるで殺意が精神を支配しているようだった。
「え、あ…うん」
アリアは、リュウの殺気に萎縮し、弓を下ろす。
「へっ、こんな攻撃…屁でもない!」
コサックは、跪きながらも、地面に手を当てた。
「破裂魔法-撃滅地衝爆-!!」
地面が、メリメリと隆起し、コサックの周囲を覆い尽くした。
隆起した地面は、コサックの体を隠した。
「全方位の攻撃だ!かわせまい!」
次の瞬間、地面が轟音を響かせて爆発した。
その威力は、すさまじく、トルティヤがいる場所の吹雪と霧を吹き飛ばし、破片が縦横無尽に飛び散った。
「(ぐっ…!コサックの兄貴…余計なことを…)」
吹雪と霧が晴れ、ケープの姿が顕になった。
ケープの表情には、僅かに焦りの色が浮かんでいた。
「見つけた!水魔法-断罪の礫-!」
トルティヤは、ケープの姿を発見すると、間髪入れず、魔法を唱えた。
水の塊が、ケープを捉えようとした。
水の塊は、高速でケープに迫った。
「くっ!雪魔法-天牢雪獄-」
ケープは、咄嗟に魔法を唱え、自身の周囲を雪のドームで覆い尽くした。
雪のドームは、水の塊からケープを守った。
しかし、水の塊の勢いは強く、雪のドームの一部を吹き飛ばした。
「やってくれるのぉ」
トルティヤは、舌打ちをした。
ケープの防御は、予想以上に堅かった。
「危なかったっす」
ケープは、雪のドームの中で、息を整えた。
「…ハァ、ハァ、これで…やっただろう」
爆心地には、コサックが息を切らして立っていた。
コサックは、膝をついて肩で息をしており、体中は血で真っ赤に染まっていた。
「あの女は後でどうにでもなる。問題はあのガキだ」
コサックは、周囲を見渡した。
しかし、リュウの姿は見当たらなかった。
コサックは、周囲を警戒した。
「どこだ…?」
しかし、次の瞬間、空気を鋭い一閃が走った。
それは空気を斬り裂くような感覚だった。
「なんだ?」
コサックがそれに気がつくと、首から血がしたたり落ちていた。
「…なんて…はやさだ…」
次の瞬間、彼の視界は逆さまになっていた。
そして、その頭はゆっくりと、地面にドサッと音を立てて落ちた。
「終わりだ…」
コサックの背後には、血塗られた刀を構えたリュウがいた。
「…あれが、リュウ…なの?」
いつもと様子が違うリュウに、アリアは恐怖を通り越し、涙があふれ出してくる。
アリアの心は、深い悲しみで満たされていた。
「そんなの嫌だよ!リュウ!元に戻ってよ!いつものリュウに…!ねぇってば!!」
アリアは、魔導念波増幅器で必死に呼びかけた。
アリアの体は、震え、涙が止まらなかった。
「…」
しかし、リュウは、アリアの言葉に一切の反応をせず、ゆっくりと、ケープとトルティヤの元へ向かった。
リュウの瞳には、一切の感情が宿っていなかった。
そこには、ただ殺意だけが渦巻いていた。
「おいおい。嘘っすよね」
ケープは、動かず立ち尽くすコサックの姿と、青いオーラを纏いこちらに近づくリュウの姿を見た。
「え?リュウ…なの?」
サシャはリュウの姿を見て目を丸くする。
「ほう。小僧め。そんな力を持っていたとはのぉ」
トルティヤは、リュウの様子を見て、ニヤリと笑みを浮かべた。
「…」
そして、リュウは、ケープを睨みつけると、刀を構えた。
「さて、どうする?降参するか?」
トルティヤは、ケープに尋ねた。
「まさか…ですが、これは…少し骨が折れそうっすね」
ケープの表情に焦りの色が浮かんだ。




