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第128章:放浪者の過去

歩き続けて30分。

サシャ達は、龍飯(ロウハン) の宿屋に到着していた。


宿屋の一階にあるレストランは、夕暮れ時ということもあってか、多くの冒険者や旅人で賑わっていた。

一同は、そのレストランの隅にある大きなテーブルを囲み、話し込んでいた。


「さて、まずはあの迷宮遺跡で手に入れた情報を共有しようじぇねぇか。まずは、サシャから!」

アイアンホースが、テーブルに肘をつきながらサシャに視線を向ける。


「あ、はい!遺跡をさまよっている中で、レッドベリアルのメンバーらしき人と戦いました。そして、戦いの果てでこんなものを…」

サシャは遺跡で自身に起きたことを話す。

そして、亜空袋(ポータルバッグ)から、ワニの鱗で作られた奇妙な角笛をテーブルの上に置いた。


「これは、角笛?」

リュウが興味津々に見つめる。


「うん。僕とトルティヤが戦ったレッドベリアルのメンバーを倒したら鍵と一緒に手に入ったんだ。だけど、トルティヤが言うには魔具ではないって…」

サシャが説明する。


「そういえば、僕とアイアンホースさんも、こんなの見つけたんだ!」

アリアが思い出したようにポーチの中を探る。

そして、金細工が美しい一本の短剣をテーブルの上に置く。


「短剣?」

サシャが首をかしげる。


「ふむ…これも魔力を感じぬから魔具の類ではないのぉ」

精神世界からトルティヤが、その短剣をじっと見つめる。

しかし、その特異な形状にも関わらず、魔具ではないと判断する。


「私がレッドベリアルのメンバーを倒した時は、何も落とさなかったわ」

マヨが静かに口にする。


「そういえば、俺の時もだ。最後は自爆して死んでいった。何か条件があるのだろうか?」

リュウが首をかしげる。


「なんだよ。お前らも似たような物を手に入れていたのかよ」

モギーがポーチから黒曜石のような輝きを放つ(かんざし)を取り出す。


「トルティヤ、これは?」

精神世界でサシャがトルティヤに尋ねる。


「魔力がない。だから、魔具ではないのぉ」

トルティヤが否定する。


「あと、僕とアイアンホースさんが戦った人は、バッタのような虫に変身したよ!」

アリアが身振り手振りで伝える。


「そういえば、僕が戦った時も鰐のような生物に変身していたよ」

サシャが情報を付け加える。


「あぁ、俺と戦った女も龍魚のような化け物になったぞ。ま、俺が倒してやったけどな」

モギーが誇らしげに言い放つ。


「化け物?そんなの知らないわね」

マヨが首をかしげる。


「あぁ。俺の時もだ」

リュウが同意を示す。

すると、話を聞いていたアイアンホースが口を開く。


「なるほどな。つまり、話をまとめると、レッドベリアルの連中は何かしらの力を解放することができて、それを解放すると化け物になる。で、その化け物になった状態で撃破すると、テーブルに置かれたアイテムを落とす…といったところか」

アイアンホースが顎の髭を撫でながら推測する。


「だが、このアイテムは結局なんなんだよ?」

モギーは苛立たしげにため息をつく。


「俺と戦った奴が「魔具を形にしたもの」とか何とかと言っていたな」

アイアンホースが思い出しながら口にする。


「トルティヤは魔具じゃないと言っていたよ。それと、僕が戦った相手も「人外の存在となることと引き換えに、強力な魔法が使えるようになる力」を教祖から与えられたと、言っていたな」

サシャが聞いた情報を共有する。


「教祖…俺と戦った奴も「永劫の環の信徒」と言っていたな。それに、組織が分裂したとか何とかと言っていた」

リュウが自分の得た情報を述べる。


「なるほど…だから、教団が分裂とか、同胞が裏切ったとかほざいてたのか」

アイアンホースが手を叩き納得する。


「ふむ。それなら…辻褄が合うわね」

マヨは腕を組み、納得したように頷く。


「えぇ?どういうこと?分からないよぉ」

アリアが首をかしげる。


「僕も何がなんだか」

サシャが困惑の表情を浮かべる。


「これは俺の仮説なんだが、レッドベリアルという組織自体は存在する。ただし、それは永劫の環という宗教の残党が集まった組織だ。さらに、その中で何かしらのトラブルが起きて組織が分裂した。俺たちは、その片方の派閥と戦ったのだろう」

アイアンホースが自身の推測を話す。


「つまり、大司教の娘を攫った派閥は別にいると…」

モギーが深く頷く。


「ということは、まだレッドベリアルはどこかに…」

サシャは息を呑む。


「そういえば、迷宮で会った男が言っていたわね。強盗とか人身売買をしているのは、もう片方の…って」

マヨが迷宮遺跡内での会話を思い出す。


「じゃあ、さっきアイアンホースさんを襲ったのって…」

サシャがハッと口にする。


「あぁ。その、もう片方の勢力からの刺客だろうな」

アイアンホースが神妙な表情でそう断言する。


「(魔具の形を力にしたもの。もしや、あの魔具が…)」

その時、トルティヤは頭の中で一つの可能性を思案していた。


それから数分後。


「よし。行ってくれ!」

テーブルの隅で、アイアンホースは伝書梟に文を括り付ける。

そして、伝書梟はブリキの羽根を高らかに羽ばたかせて、レストランの開いた窓から夕空へ飛び去った。


「ひとまずこれで報告はいいな。まぁ、明日淘气(タオチー) に着く頃には、話がスムーズにまとまっているだろうよ」

モギーは大きく頷いた。


「あの…淘气(タオチー) って、ここからどのくらいの場所にあるんですか?」

サシャがアイアンホースに尋ねる。


「そうだな。ここから大風(ダーフェン)渓谷を越えた先にある。ま、そう遠くはないぞ。さて、報告もしたことだし…」

そう言い終えると、アイアンホースは笑みを浮かべる。


「そこの姉ちゃん!!」

アイアンホースはレストランのフロアにいた、従業員の女性に大声で声をかける。


「はい!ご注文でしょうか?」

女性は笑みを浮かべ席にやってくる。


「メニュー表のここからここの食べ物を全部!それと、ビールを樽で2つだ!」

アイアンホースは席に響くほどの豪快さで注文をする。


「アイアンホースさん!お金は…!?」

サシャは心配になる。

いくらアイアンホースでも、この前の宴会に続いて、豪快に食事を注文したら資金がなくなってしまうのではないのかと思ったのだ。


「気にするなって!!俺たちが奢ってやるよ!ご苦労さん会だ!」

モギーはサシャの肩を力強くポンと叩く。


「…あの。私もいいのかしら?」

マヨが困惑の表情を浮かべる。


「いいっていいって!!年長者には甘えておきな!」

モギーはマヨの肩もポンと叩く。


「相変わらず豪快だ…だけど、慣れたな」

リュウはその光景を微笑ましそうに眺めていた。


「ご飯だよぉ」

アリアは両手を叩いて楽しそうにワクワクしていた。


15分後。

テーブルの上には、テーブルを埋め尽くすほどの多くの食事。

そして、ビール樽が圧倒的な存在感でズンと置かれた。


「さ!腹いっぱい食って飲むぜ!!皆、グラスを持て!」

アイアンホースがビールが入ったジョッキを手に高々と掲げる。


「はい!」

サシャは水の入ったグラスを手に取る。

リュウ、アリア、マヨもグラスを手に取った。


「お前が仕切るのかよ。ま、いいけどよ」

モギーは少し呆れつつ、ビールが入ったジョッキを手に渋々持った。


「とりあえず、色々と災難があったが収穫がなかったわけじゃねぇ。引き続きレッドベリアルの行方を追うぞ!だが、今日はご苦労さん会だ。たーんと飲んで、たらふく喰らってくれ!!…乾杯!!」

アイアンホースが乾杯の音頭を取る。


「「乾杯!!!!」」

グラスの音がレストランの賑わいの中に力強く響き渡った。


「今度こそ!!」

そして、サシャはフォークを手に、目の前の炒め物に狙いを定め料理を食べようとした。

しかし…


「ほれ、代わるのじゃ」

精神世界でトルティヤがサシャの肩に手を触れる。


「…はい」

サシャはトルティヤの言われるがままに、主導権を明け渡すしかなかった。

そして、サシャとトルティヤが入れ替わる。


「…さ!飯じゃ!」

トルティヤは、近くの分厚いステーキ肉に視線を向け、フォークで刺す。


「あれ?サシャの姿が変わった…?変身か何か?」

マヨはホカホカの饅頭を手にしながら、リュウに尋ねる。


「まぁ、そんな感じだ。そのうち慣れる…」

リュウはそう軽く受け流すように口にすると、箸で近くにあった棒肉唐炒(チャオロンファン)(肉と野菜の細切り炒め)を摘まむ。


「わぁ!この揚げ物美味しそうだよぉ!何のフライかな?」

アリアは、金色に揚がった丸い揚げ物を摘まむと口に入れる。


「あ!!それは…」

それを見て、アイアンホースが言葉を飲み込む。


「うーん、クリーミーだけど、なんかグニュグニュしてて変な食感だよぉ。」

アリアは咀嚼しながら、屈託なく感想を伝える。


「それはな、牛の睾丸のから揚げ、牛玉炸唐ニューキュウチャーシィだ!!」

モギーがニヤニヤしながら、アリアにそう告げる。


「う、牛の睾丸!?」

リュウは目を丸くする。


「睾丸?」

アリアは咀嚼をしながら、その言葉の意味を理解しようと首をかしげる。

すると、アイアンホースが困ったように咳ばらいをする。


「簡単に言うとだな…アレだアレ…」

しかし、言葉を詰まらせる。


「まったく…簡単に言うと、牛の臓器の一部分じゃ」

ステーキ肉を口に頬張りながら、トルティヤがアリアにあっさり説明する。


「へぇ!ホルモンみたいなものなんだ!ちょっとクセになるかも!」

アリアは納得すると、もう一つから揚げを摘み、口に入れる。


「おや?お嬢ちゃんは驚かないんだな?意外と肝が据わっているんだな」

モギーはからかうようにマヨに話しかける。


「私がいた世界では「ロッキー・マウンテン・オイスター」とも呼ばれている料理ね。別に驚くほどのことでもないわ」

意外にもマヨは冷静だった。

彼女はどこか遠い目をすると、手にした饅頭を口に入れる。


「…美味しい。この饅頭は…なんていうのかしら?」

マヨは饅頭を咀嚼しながら、モギーに尋ねる。


「これは八肉饅頭(バーロンマンジュウ)だな。鳥、牛、羊、鴨、あとはなんだっけ…まぁ、八種類の動物の肉をミンチにして醤油味で味付けした饅頭だな」

そう説明すると、モギーは刻んだ唐辛子が乗った鶏肉を口に運ぶ。


「もぐもぐ…これは酸辣湯(サンラータン)じゃな」

トルティヤはテーブルに置かれたスープを手に取る。

スープには溶き卵が入れられ、豆腐やキクラゲが入っていた。


「…」

トルティヤは酸辣湯(サンラータン) をレンゲで掬うと、口に運ぶ。


「くぅぅぅう!この辛さ…そして、さっぱりとした酸味がたまらんのぉ」

トルティヤは熱い息を吐き出し、満足そうな表情を浮かべる。


こうして、楽しい食事の時間は過ぎ去っていった。


「ぐわぁぁぁぁっ…」

しばらくして、ビールを飲みすぎたアイアンホースは、高いびきをかいて机に突っ伏して眠っていた。


「おっしゃっ!!今日は俺の勝ちだな!!…ヒック」

モギーは空のグラスを机に置き、高らかにそう宣言すると、立ち上がる。


「モギーさん、どこへ?」

トルティヤと入れ替わったサシャがモギーに尋ねる。


「ちょっと便所行ってくる。ついでに、外の風を浴びてくらぁ」

そう言い残しモギーは店を出て行った。


「(まったく、二人ともマイペースだな)」

サシャはその光景にデジャヴを覚えつつ、クスッと笑う。


「ねぇ!マヨって、どこの国の出身なの!?」

骨付き肉を食べながらアリアが尋ねる。


「それ、僕も気になっていた!」

サシャが割って入る。


「そういえば…!見た感じは魏膳か黎英っぽいけど…」

リュウがマヨの顔つきを見てそう推測する。


「…美味しい食事にありつけた礼もあるし、あなた達になら話してもいいわね」

マヨはそう意を決したように口火を切ると、テーブルの上に残っていた八肉饅頭(バーロンマンジュウ) を手にする。

そして、口を開く。


「信じてもらえないかもしれないけど、私はこの世界の人間じゃない。別の世界から来た人間なの」

マヨの口から衝撃の言葉が告げられる。

周囲の喧騒が一瞬遠のいたように感じられた。


「…どういうことだ?」

リュウが真剣な面持ちで問う。


「そのままの意味よ。嘘だと思うならそれでもいいわ。だけど、本当よ…」

そう言葉を絞り出すようにマヨは八肉饅頭(バーロンマンジュウ) を一口食べる。


「ううん!僕は信じるよぉ!だから、詳しく聞かせて欲しい!」

アリアが目をキラキラさせながら、マヨの話に食らいつく。


「…僕も信じるよ。トルティヤはどうかは分からないけど」

サシャが穏やかな口調で同意を示す。


「すやすや…」

そのトルティヤは満腹になったのか、精神世界で寝息をたてて眠っていた。


「もちろん俺もだ。この世界は何があっても不思議じゃないしな」

リュウが力強く頷く。


「優しいのね…。私は地球という惑星にある、日本という島国の学生だった」

マヨが自身の過去を語り始める。


「学生ってなんだ?」

サシャが首をかしげる。


「僕も分からないや」

アリアも分からないといった表情をする。


「熟生や門下生みたいなものか?」

リュウが尋ねる。


「少し違うけれど、そんなところね。本当にいたって普通の生活をしていた。だけど、私が16歳の時に父親が犯罪者になって処刑されたわ…」

そう語るマヨの表情は一気に暗く沈む。


「父親が…」

サシャは思わず息を呑む。


「…!」

アリアは言葉が出ず、口をぽかんと開けていた。


「それから、私は世間から隔離された状況だった。母親も自殺して、親戚は誰も私を引き取らなかった。それから、2年間。虚ろに生きてきた」

マヨが過去を振り返るように口にする。


「だけど、ある日、私の中で何かが弾けたの。そして、この武器を使って…かつての友人だった人達や幸せそうな人達を…見境なく殺した」

マヨが低い、冷たい声でそう打ち明ける。


「マヨが…」


「人を殺した?」

リュウとサシャは目を丸くする。

確かに、攻撃的なところはあったが、ここまでとは思わなかったのだ。


「…それで、最後は自ら命を絶って死んだ…そう思っていた。けど、気が付いたら、この世界にいた。そして、近くの村の人間に助けられて、1か月くらいかしら。その村のお世話になっていたの」

マヨは八肉饅頭(バーロンマンジュウ) を口に入れる。


「…死んだって…マヨが!?」

アリアは信じられないといった表情でマヨを見つめる。


「ええ。確かに私は「死んだ」。これは事実よ。だけど、私が別の街に買い出しに出ている時に、村がレッドベリアルの手にかかったの。村人は全滅…私は何も恩を返せなかった」

マヨはどこか落ち込んだ声でそう打ち明けた。


「だから、レッドベリアルを追っていたのか…」

リュウは大きく頷く。


「マヨ…辛かったね」

アリアはマヨの話に共感したのか、大粒の涙を流していた。


「僕たちがどこまで力を貸せるか分からないけど、できることのことはさせてもらうよ」

サシャはまっすぐな目で見つめ、そう告げる。


「みんな…私は人殺しよ?それでもいいの?」

マヨはサシャ達の優しさに戸惑いを見せる。


「元いた世界では罪人でも、この世界では違うだろ?」

サシャは笑みを浮かべる。


「あぁ。それに、この世界ではモンスターや盗賊から身を守るために、ある程度の力は必要だしな。だから、俺だって刀を持っている」

リュウは側に立てかけている愛刀に視線を向ける。


「今、この世界をどう生きるかが大事だよぉ!!マヨ!!僕と友達になろっ!!」

アリアがテーブルを乗り越えるようにマヨの両手を握る。


「え、あ…ありがとう…」

アリアの突拍子の行動にマヨは困惑しつつ、どこか頬を赤らめる照れた表情を見せた。


「じゃあ、次は僕らのことをマヨにたくさん話すよぉ!」

アリアはニコニコしながら提案する。


「そうだな…」

リュウが静かに頷く。


「その前に、この饅頭をおかわりしようよ!」

サシャがマヨの持っている饅頭を指さす。


「私も…おかわりしようかしら…美味しいから」

その時、マヨがわずかながら笑みを見せた。

こうして、サシャ達はマヨとの会話に花を咲かせ、一夜を過ごした。


一方で、宿の外の街灯の光が届かない闇の中で、モギーは一人の人物と会っていた。


「これはこれは!東の大陸の遠足から戻ってきたのか?」


「…」

その人物は歩みを止める。


「で、俺たちに何か土産はないのかよ?ご当地の酒とかよぉ…」

モギーはその人物をからかうように尋ねる。


「モギー。それは必須事項ではありませんよね?」

その人物は深く黒いフードを被り、紺色の戦闘用スーツに身を包んだ、オレンジ色の瞳が美しい女性だった。

その背中には得物と思われる、鞘に収められた太刀が背負われている。


「相変わらずツレない奴だな。して、なんでアンタがここにいんだよ。ダスト…!」

モギーはダストと呼ばれたその女性を険しい顔で睨みつけた。


「任務完了の報告のために淘气(タオチー) に向かっているのです。そのため、この街は通ることになります。何か問題でも?」

ダストは感情を排した機械的な口調でモギーに返答する。


「いや、なにもねぇよ。俺たちも明日、淘气(タオチー) に向かう。先にベルクートの旦那にあったら、モギーと眼帯がもうすぐ着くって伝えといてくれ」

モギーはそう淡々と告げる。


「そのくらいなら、まぁいいでしょう。では、私はこれで…」

そう言い放つとダストは歩き始める。


「なぁ、ダスト…」

だが、モギーが背後から声をかける。


「まだなにか?」

ダストが前を見たまま応じる。


「…今回の任務で、お前は何人殺したんだ?」

モギーが低い、探るような声で尋ねる。


「覚えてませんね。ただ…」

次の瞬間、ダストがカクンという不自然な音と共に振り返る。


「敵勢力に加担した者は官民問わず…必要と判断した者は全員殺しました」

ダストは瞳だけをオレンジ色に輝かせ、そう答える。

彼女は体を正面に向けたまま首だけを180度回転させていたのだ。


「(ちっ、相変わらず嫌な奴だ)分かった。悪かったな引き止めて。気を付けて行けよ」

モギーはそう毒づくと、ダストに背を向けて去る。


「あなたに心配されるほど、弱くありませんよ…」

ダストは再び正面を向くと、淘气(タオチー)の方面 へ向かって歩き始めた。

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