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第119章:再会と昔話

「気を失っているだけだ。安心しろ」

アイアンホースは、気絶しているアリアを、宿屋のベッドに優しく寝かせる。

窓から、うっすらと差し込む夕日が、安堵に包まれた部屋を柔らかく照らしていた。


「よかった…」

サシャは、胸をなでおろし、安堵の息を漏らす。


あの後、サシャ達はアイアンホースと共に近くの宿屋に来ていた。

ちなみにモギーは、救助した娘を家まで護衛していった。


「それにしても、本当に久しぶりだな!」

アイアンホースが、満面の笑みを浮かべ、サシャに話しかける。


「本当にお久しぶりですね!」

サシャは、感極まったように言った。


「アイアンホースさんもお変わりないようで」

リュウが、軽く頭を下げる。


「そうかしこまらなくてもいいって!して、そこのお嬢ちゃんは?お仲間か?」

アイアンホースが、ベッドで横になっているアリアに視線を向け、尋ねる。


「はい。アイアンホースさんと別れた後に、一緒に依頼を受けて、それでそのまま…」

サシャは、アイアンホースにアリアのことを紹介する。


「なるほどなぁ。若者三人で旅…青春しているなぁ!」

アイアンホースは、微笑ましそうに笑った。


「ところで、アイアンホースさんはどうしてここに?」

リュウは、アイアンホースに尋ねた。


「ん?まぁ、ちょっとした任務でな。レッドベリアルの手がかりを探しているんだ」

アイアンホースが、任務の内容を簡単に話す。


「レッドベリアル?」

サシャは、その名に首をかしげる 。


「黎英で最近、名を挙げている組織だ。人攫いや盗賊稼業を仕切っている面倒な連中だ」

アイアンホースは、レッドベリアルについて説明した。


「もしかして、さっき俺たちを襲ってきたのも…」

リュウは、ハッとしたような表情で言葉をこぼす。


「あぁ。レッドベリアルの連中だな。それも、恐らくだが幹部クラスの…それにしても、奴らがここにいたということは…」

アイアンホースは、顎に手を置いて考える。

その時、部屋の扉が開かれる。


「嬢ちゃんは無事に家まで送り届けたぜ」

部屋に入ってきたのは、モギーだった。


「おう。助かるぜ。紹介する。俺の腐れ縁…というか、同僚というか、幼馴染というか…」

アイアンホースは、良い紹介の言葉が思いつかず、口を濁す。


「モギーだ。この眼帯とは腐れ縁みたいなもんだ」

モギーが前に出て、自己紹介をする。


「な、なるほど…僕はサシャです」

そのパンクな装いに、サシャは少し驚きつつも、自己紹介をした。


「俺はリュウ。そこで横になっているのがアリアです」

リュウは、自分とベッドに横になっているアリアのことを紹介する。


「お前ら、見た感じは冒険者といったところだな。どうして、わざわざ、こんな辺境の田舎に来たんだ?」

モギーが、サシャに尋ねる。


「実は…」

サシャは、事情を説明した。


目的地を黎英にしていたこと、八宝湖から魔具が見つかったニュースを耳にしたこと、魔具の手がかりがないかやってきたこと、魔具を集めていることを話した。


「ほう。魔具をねぇ。面白れぇじゃねぇか。目的をもって冒険している奴は嫌いじゃねぇ!!」

モギーは、それを聞いて嬉しそうに呟いた。


「だろ?こいつらはガッツもある。そこでだ、俺から一つ提案だ」

アイアンホースが、一つの提案をする。


「レッドベリアルの居場所を突き止める調査を手伝う気はないか?」

その言葉を聞いて、サシャは口を開く。


「せっかくですが、僕らは魔具を追っているので…」

魔具には関係がないからと、サシャは断ろうとした。

しかし、アイアンホースがそれを分かっているかのように告げた。


「もちろん、おめぇらが魔具を集めているのは知っている。その、レッドベリアルは、魔具も密かに持っているという噂もある」

アイアンホースから耳寄りな話を聞き、サシャの目が大きく見開かれる。


「!!」

その話に、サシャは驚きを隠せない。


「魔具を見つけたら、お前らにくれてやる。どうだ、悪い話じゃねぇだろ?」

アイアンホースが、にやりと笑って言う。

だが、それに待ったをかけるように、モギーは口を開いた。


「おいおい。こいつらはさっき、レッドベリアルの連中にコテンパンにされてたじゃねぇか?戦力としては足手纏いじゃないのか?」


「大丈夫だ。こいつらはガッツがある。トリア帝国で起きた事件だって、こいつらがいたから解決できたようなものなんだぜ?」

アイアンホースが、モギーを諭すようにフォローを入れる。

だが、モギーは納得しない。


「信じられねぇな。確かに冒険する奴は好きだが、強さは別問題だ…」


「それなら、一つ俺から提案だ」

そう口にすると、アイアンホースはサシャとリュウをじっと見つめる。


「お前ら、モギーと決闘しろ。それで、勝ったら調査に参加できる。どうだ。モギー?」


「へ?」

その言葉に、サシャは目を丸くした。


「…」

部屋に一瞬の沈黙が訪れる。

そして、モギーが笑いを堪えられず、吹き出した。


「ハッハッハッハッ!!!俺と決闘か!…いいぜ、やってやるよ」

モギーは、不敵な笑みを浮かべる。


「サシャ…どうする?」

リュウが、サシャに尋ねる。


「…やろう。せっかく魔具の手がかりを逃す訳にはいかない!」

サシャは、決意を固めて頷いた。


「はっ!じゃあ、表に出な!」

こうして、モギーとサシャ、リュウは決闘を行うことになった。

そして、一同は宿屋を出て、表の通りへと向かう。


通りには夕焼けが霧の合間に差し込み、どこか哀愁漂う情景を映し出していた。

それはどこか幻想的にすら感じるものだった。


「ルールは単純。どちらかがギブアップを言うか、俺がストップというまで戦う。それと、お互い魔法は禁止に…」

アイアンホースが、決闘のルールを説明する。

だが、モギーが手を挙げる。


「そんな、まどろっこしいルールはやめな。めんどくせぇ…。俺の体に一発でも攻撃を命中させられたら、お前達の勝ち。それでいいだろう?」

モギーが、独自のルールを提案した。


「あ、あぁ。それで構わないが、お前達はどうだ?」

アイアンホースが、サシャとリュウに尋ねる。


「はい、それで構いません!」

サシャは、意気揚々と双剣を抜く。


「同じく」

リュウは、背中の剣を抜いた。


「へっ。随分と余裕なことだな。怪我しても知らねぇぜ!!」

モギーは、腰に下げた太い釘がついたピストルではなく、短い鎖分銅を取り出した。


「その武器を使わないんですか?」

サシャが、モギーの背中に背負っている長めのピストルを見つめる。


「お前達如きに使うまでもねぇよ。もし、これに手をかけさせたら、お前達の勝ちでいいぜ」

モギーは、にやりと笑う。


そして…


「はじめ!!」

アイアンホースが、号令をかける。


「先手必勝だ!!」

リュウが、地面を蹴って前に出る。


「はぁぁぁぁぁっ!!」

そのまま、刀に全ての体重を乗せた鋭い横薙ぎが放たれる。


「やぁぁぁ!!」

同時にサシャも双剣を構えて、リュウの横からモギーに迫る。

だが、モギーは余裕の表情を崩さない。


「そのくらいの攻撃で、このモギー様をやれると思ってんじゃねぇよ!!」

モギーは、リュウの攻撃を鎖分銅で受け止める。


「ガキィィン!!」

金属と金属が打ち合う甲高い音が、広場に響き渡る。


「おりゃぁぁ!!」

モギーとリュウがつばぜり合いをしている間に、サシャが横から攻撃を仕掛ける。


「甘いよ!!」

だが、モギーの放った鋭い蹴りが、サシャを襲う。


「うわっ!」

サシャは、咄嗟に身を引いて回避するが、バランスを崩し、地面に転倒する。


「おらぁぁっ!」

モギーは、力を込めると、リュウの刀を強引に押し上げる。


「なにっ!?」

リュウは、体勢を崩し、バランスを失う。


「頭蓋骨割っちまったら悪いな!!」

次の瞬間、モギーの鎖分銅が、リュウの頭めがけて猛スピードで飛んでくる。


「くっ!」

リュウは、首をそらして回避するが、鎖分銅は避けきれず、側頭部に鈍い音を立てて命中した。


「リュウ!!」

サシャは、慌ててフォローに入ろうとする。

だが、すでにモギーが目の前にいた。


「遅いねぇ。喰らいな!!」

モギーのパンチが、サシャの顔面に直撃する。


「ぐあっ!」

パンチの衝撃に、サシャは大きく吹き飛ばされる。


「うぉぉぉぉぉ!!」

それを見たリュウが、叫び声を上げながら刀を振り上げ、モギーに攻撃を仕掛ける。


「気合いだけじゃ…」

だが、モギーは、その一撃を軽々と回避する。

そして、リュウの腹部に、体重を乗せた膝蹴りを炸裂させた。


「ぐふぉ」

その衝撃に、リュウは思わず嗚咽を漏らした。


「このモギー様は止められねぇぜ!!」

そして、モギーは、あっという間に二人を制圧した。


「くっ…」


「強い」

サシャとリュウは、地面にうつ伏せになったまま、動けずにいた。


「どうした?もう終わりか?あまり俺をがっかりさせるなよ!」

モギーは、挑発するように言葉をかける。

それを聞いて、サシャとリュウは、再び立ち上がった。


「ほう。根性は大したものだ」

その様子を見たモギーは、どこか嬉しそうだった。


「いくよ!リュウ!…僕が気を引き付けるから…」

サシャが、リュウに囁く。


「あぁ、デカイ一撃を叩きこむ…」

リュウは、荒覇吐流の独特の構えを取る。


「休憩時間は終わりだ!!今度はこっちから行くぜ!」

モギーが、鎖分銅を手に二人へ襲いかかった。


「!!」

サシャが、再び前に出る。


「ガキン!!」

モギーの鎖分銅を、サシャの双剣の片方が受け止める。


「むっ!」

モギーは、予想外の事に目を見開く。


「もらった!」

サシャが、もう片方の双剣をモギーに振るう。


「ちっ」

モギーは、鎖分銅から手を離し、サシャの双剣を回避する。

だが、そこにリュウが、信じられないほどのスピードで向かってきている。


「(回避して…いや、間に合わねぇ!!)」

モギーは、リュウのスピードに目を丸くする。


「荒覇吐流奥義・蒼月!!」

それは、速度を乗せた鋭い袈裟斬りだった。


「ガキィィン!!」


「…勝負あったな」

アイアンホースが、ニヤリと笑う。


「ぐっ…」

リュウの目の前には、背中セットされていたピストルを抜き、リュウの一撃を受け止めているモギーがいた。


「…!!」

その様子を見て、サシャに笑みがこぼれる。


「…ふん。俺としたことがつい熱が入っちまったよ」

モギーは、そう口にすると、立ち上がり、服についた土を払った。

そして、サシャとリュウに言った。


「お前達の根性、気に入った。調査に同行するのを許可してやるよ」

モギーは、白い歯を見せ、二人を認めると、不敵な笑みを浮かべた。


「ありがとうございます!」

サシャとリュウは、モギーに礼を言う。


「決まりだな!(あいつ、手加減してたな。ただ喧嘩がしたかっただけなんじゃないか?)」

その様子を、アイアンホースが嬉しそうに見つめていた。


そのあと、サシャ達は再び宿屋の部屋に戻る。

すると、先ほどまで気絶していたアリアが、ベッドの上で目を覚ましていた。


「わ…ここはどこ?」

アリアは、ベッドの上できょろきょろと周囲を見渡した。


「アリア、気が付いたんだね!」

サシャが、安堵の表情でアリアに近寄る。


「確か、僕は変なおじさんの攻撃を受けて…」

アリアは、記憶を辿り、状況を思い出そうとする。


「その変なおじさん達だが…」

リュウが口を開こうとする前に、アイアンホースが前に出た。


「よぉ、嬢ちゃん。目が覚めたようだな」


「…?サシャ、リュウ、このおじさん誰?」

アリアが、その見慣れない姿に首をかしげる。


「実は…」

サシャは、アリアに今までの経緯、そしてアイアンホースとモギーについて紹介した。


「へー!!サシャとリュウの知り合いなんだぁ!!僕はアリア。アリア・ダルサラームっていうんだ!」

アリアは、気を失っていたとは思えないほど元気に自己紹介をした。


「ん?ダルサラームって、どこかで聞いたことがあるなぁ」

モギーは、記憶の糸をたぐり寄せようと、頭をひねる。


「あれだろう。シャルロッテのことだろう?」

アイアンホースが、静かに言葉をこぼす。


「そうだ!シャルロッテだ!!」

モギーが、何かを思い出したかのように強く頷いた。


「オババ様を知っているの?」

アリアが、モギーに尋ねる。


「あぁ。知っているさ。昔、フラッカーズにいたからな」

モギーから、衝撃的な事実が明かされた。


「え!?」

その言葉に、アリアだけでなく、サシャとリュウも驚きを隠せない。


「ん?なんだ?お前ら、知らなかったのかよ?」

モギーが、からかうように尋ねる。


「アリア…お前のばあちゃん…で合ってるか?シャルロッテはな。昔、フラッカーズでも名のある傭兵でもあった」

アイアンホースが、懐かしむように遠い目をする。


「そうなの!?オババ様は僕が生まれた頃には、キャラバンの長老だったし、僕に色々と狩りの仕方とか教えてくれた。けど、なぜか過去については、あまり語らなかったんだよぉ…」

アリアは、寂しそうに言った。


「ま、その理由は分からないが、当時のシャルロッテはすごかったんだぜ」

アイアンホースが、そう口にすると、シャルロッテの過去について話しだした。


30年前 テオ連邦のとあるサバンナにて…


当時、アイアンホースはフラッカーズに入隊したばかりの駆け出しだった。

そんな時、フラッカーズの先輩にあたるアリアの祖母、「シャルロッテ」と共に害獣の駆除依頼に赴いていた。


「お!いたいた!シャルロッテさん、あれだよな!?」

若き日のアイアンホースが、草の陰から獲物を指差す。

彼の視線の先には、鉄のような漆黒の肌を持つ、巨大なサイが草を食べていた。


その体は、まるで天然の鎧を身につけているかのようにゴツゴツとした黒い外皮に覆われ、並大抵の魔法や武器では傷一つつけられそうにない。

そして、ガラスのように透き通った角は、神秘的にも見えるが、これまでに数多くの命を奪ってきた凶器であることも、容易に想像できた。


「いかにも。あれが標的(ターゲット)の「クリスタルホーンライノ」だ」

シャルロッテは、毛皮の服に黒いポンチョを着込み、頭部は金属でできたフルヘルムを被り、その素顔はうかがい知れなかった。

だが、フルヘルムの隙間から流れる緑色の美しい髪と、その声から、女性であることだけは認識できた。


「よーし…俺がちょちょいのちょいと…」

アイアンホースが、ピストルを構える。

だが、それをシャルロッテが手で制した。


「早まるな…奴らは、その鋭く尖った角で魔力を探知する。お主の攻撃は魔力を使う。それでは、獲物に我々の存在を気取られてしまう」

シャルロッテは、小声で説明する。


「それじゃあ、どうやって?」

アイアンホースが、首をかしげる。

すると、シャルロッテが背中のクロスボウを取り出した。


「風を読み、獲物の呼吸を聞くのだ…さすれば、武器に主神の加護が宿る…」

シャルロッテがそう言葉をこぼすと、全身の神経を研ぎ澄まし、集中モードに入る。

その時、アイアンホースは、あることに気がついた。


「(不思議だ。魔力が…シャルロッテさんの脳内に、直接渦巻いてやがる…)」

アイアンホースは、シャルロッテを纏う魔力の異常な動きを察知する。


その魔力は、外に放散させているわけでも、体内を循環させているわけでもない。

ただひたすらに、脳内に魔力を「溜め込んでいる状態」になっていたのだ。

そして…


「…!!」

シャルロッテが、クロスボウの引き金を引く。

ただ一本の太い矢は、風を切り裂き、獲物に向かって真っすぐ飛んでいく。


「ザシュ!!」

そして、矢は、獲物の急所である神経が集中している首元に、深々と突き刺さった。


「グゥ…」

獲物は、苦しげな声を上げ、白目を剥くと、そのまま大きな音を立てて地面へと倒れた。

ほぼ、即死だった。


「おぉ!!」

アイアンホースは、その光景に目を丸くする。


「主神の一撃が…獲物を屠った」

シャルロッテは、満足そうにそう呟くと、倒れた獲物に近づいた。


「(脳に渦巻いていた魔力がふわっと消えた?)」

アイアンホースは、シャルロッテの頭部に注目する。

すると、先ほどまで脳内に溜まっていた魔力は、まるで霧のように跡形もなく消えていた。


「…ふむ。依頼があったモンスターはこれで間違いないな。証拠に首と爪を持っていく」

シャルロッテはそう言うと、大ぶりのナイフを取り出し、手際よく獲物を解体していく。


「(おいおい…迷いが一切ないぞ?)」

アイアンホースは、その技術の高さに驚きを隠せない。

クリスタルホーンライノは全身が筋肉質で、解体しにくいため「ハンター泣かせ」と呼ばれていたからだ。

しかし、彼女はまるで豆腐を斬るかのように、簡単に解体していた。


「よし、証拠は首と爪さえあればいい。外皮は鎧の素材に。肉はダルサラーム家に伝わる技法で、壺漬けにして食用にする」

シャルロッテはそう言葉をこぼすと、外皮や肉を専用のバックパックに手際よくしまった。


「シャルロッテさん…あんた一体何者なんだ?ただの傭兵…じゃねぇよな?」

アイアンホースは、思わず尋ねた。


「ふふふ…」

だが、それに対して、シャルロッテは何も答えず、ただ微笑むだけだった。


そして、現代。


「ってことがあったんだよ。いやぁ、お前の婆ちゃんは只者じゃないぜ」

アイアンホースが、当時のことを思い出し、感慨深く語る。


「オババ様…そんなにすごかったんだ!」

アリアの目は、キラキラと輝いているように見えた。


「近接戦闘術も一流だったぜ。一度、決闘をしたことがあったが、コテンパンだった。ま、今じゃ負ける気がしないけどな!!」

モギーも、当時のことを思い出し、自慢げに語った。


「そんな凄い人だったなんて…」

サシャは、その凄さに言葉を失っていた。


「相当な武芸者だったんだな」

リュウは、感心したように頷く。


「今度、オババ様に会ったら話してみるね!!色々と話してくれて、ありがとう!!」

アリアは、アイアンホースとモギーに心からの感謝を伝えた。


「いいんだって!それよりも、俺はビールが飲みたくなってきたぜ!」

アイアンホースが、ニヤリと笑う。


「奇遇だな。俺も一杯やりたいと思っていたんだ」

モギーが、大きく頷く。


「そういえば、僕たちも…」

サシャが口を開いた途端…


「グゥー」

サシャのお腹が、可愛らしい音を立てて鳴った。


「あ…」

サシャは、恥ずかしさから頬を赤らめた。


「ガハハハハハハハ!!じゃ、再会祝いと明日からの調査開始に向けて英気を養うため…宴会と行こうぜ!!」

アイアンホースは、豪快に笑いながら、そう提案した。


「おう!!お前ら、今日は俺たちが奢ってやる!好きなだけ飲んで、食っていいぞ!」

モギーは、気前よくそう言った。


「ありがとうございます!」

リュウが、深く礼を言う。


「やった…!」

サシャの表情に、喜びの笑みが浮かんだ。


「ねぇねぇ!もっとオババ様の話を聞かせてよ!」

アリアは、アイアンホースに話をねだる。


「いいぜ!とりあえず、酒と飯!それからな!」

そう言うと、サシャ達は部屋を出て、一階にある酒場に向かった。

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