善行-彼の者偽善にして最善の姫なり-
「なぁ、なんでここに人がいるんだ?___いや、なんで今までここの人は消えていたんだ?」
『、、、』
「教えてくれよ。俺は何を忘れてるんだ?」
何も言わない。
ただただ黙って———そうして暫く時間が経った。
『、、、落ち着いて聞いて———貴方は、、、アスカ•レグルスはもう死んでいる』
「———は?」
『正確には貴方は複製。記憶を無くしているだけで魂も身体もオリジナルと同じ———偽物』
少女は少しばかり夢想する。
この少年に真実を伝えるか———否、突き付けるか———或いはこれを彼の欲した真実であることにして、この場を収めるか。
悩んだ末に出した答えは———
『これが、あなたの欲した過去。満足した?』
「、、、あぁ」
『にしては不満気ね』
「君が何かを隠してるのは知っている」
『———っ』
選択の間違いに気付くまでにそう時間は掛からなかった。
自分は何故この少年が耐えられないと錯覚していた?
この少年には事実に耐えるだけの力がある。
それを一番わかっていたのは私じゃないか。
「けど聞く気は———」
『、、、貴方は創造主』
「は?」
『気づいていないの?貴方は誰の奴隷?なぜ奴隷になった?何より———』
もう、躊躇わない。
『貴方の記憶には整合性がない。まさしく空っぽ。まるで———ついさっきそこで生まれたみたいに』
「———っ!!」
『もう一度問いたい。貴方が何も記憶していないこと———本当に気づいてないの?
———なんで貴方は植え付けられた記憶に甘えてるの?』
【そこまでだ】
また、空が震えた。
【崇めよ、称えよ、我は神にしてこの世の秩序。そこにいる善人以外は死とする】
『、、、善人?』
【ケテル•ノア。そこの器の事だ———それは贄であっただろう?】
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【よってそれは———】
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【よってそれは私のものだ】
「断る」
勝手に口が動いた。
『———アスカ?』
【今、何と言った】
「断ると言ったんだ」
あぁ、思い出した。
こいつらは———敵だ。
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【■■】
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「何■、■■た?」
『アス■———どう■■の?』
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【切■】
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【貴様らは敗北したのだ。他ならぬ貴様らの手によって———】
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【切除】
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意識が遠■■。
■■■?■■■?
【愚かしいな、人間よ———この少女は世界のものだ】
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【切除】
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■■■という音を残して俺は意識を■な■た。
零章終了。
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