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世界が貴方に近づく頃には  作者: 片栗粉のパスタ
魔王—世界を終わらせ、始める者、又は世界を溯る者—
2/7

罪体

11月16日の24時14分投稿ってことになりませんか?

塔の中には地下へと続く階段があった。

外の明るさとは対照的に真っ暗な階段はこの塔の悍ましさを其の儘実体化させたような———人間の根源的な恐怖心をかき立てるような———そんな階段だった。



『そう。その階段を下って』


また声がした。

言われるがままに階段を下る。

案外階段は短く、直ぐに地面が見えてきた。


「、、、貴方は?」


あの声と同じ声———されどあの声と違って近くから、その声は聞こえた。

声のほうに目をやると、そこにいたのは白い少女だった。


人に対して『白い』という形容詞を使うことはほとんどないが、白いという言葉以外に彼女を表せる言葉はなかった。

その肌も、瞳も、髪も服も———目に見えない筈の声すらも。

その全てが、白かった。


「俺は———誰なんだろうな、名乗るべき名前も所属している国も分からない。身分なら一応奴隷だったけれど———」

「何で此処にいる?」

「それも分からない」

「成程———この鎖は切れる?」


金属音を響かせながら、手首を締め付ける錠をこちらに見せる。

少女の腕に付けるにはあまりにも太いその錠と鎖は、とても人間に切れるものではなかった。


「、、、無理だな」

「そう———」

「———っ!!」


突然視界が歪んだ。

世界がそのままひっくり返ったみたいな―――


「どうかしたの?」

「いや―――済まない視界が―――」


『時間切れ。後は()()()

「何を言って―――」



-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-



目が覚めた、と自覚するまで数秒かかった。

先程まで居た場所が夢である訳がない、と思う程にリアルな夢だった。


「誰も居ない、、、?」


路地を見ても家を見ても店を見ても―――誰も居ない。

奴隷でも―――否、奴隷だからこそその異常さがわかる。

音が響かない街ほど痛ましいものはないと、そう実感する。

人が居たという事実が、その生活感がよりこの状況の異常さを際立てる。


「あれは、、、塔!?」


夢の中に出てきた塔がそのままあった。

唯一違うのは塔が光っている事だった。

自然では起こり得ない―――太陽光なんかより数倍強い光がこの街を照らしている。


『助けて。あの娘を―――助けて。大丈夫、、、貴方ならあの鎖を壊せる』


眼の前に少女が―――黒い少女が顕れた。

少女を黒いと形容することは殆ど無いがそれでも黒い、と感じる。

服も声も髪も―――その全てが黒かった。

この世界を白だとするならこの少女はより黒く―――それ程に自然や世界の法則から外れていた。


「君は―――」

『私は―――まぁ今はノアール、、、精霊のノアールとでも名乗ることにする』

「精霊?」

『そう。貴方とあの娘の為の精霊―――まぁあの娘と言ってもわからないでしょう?()()()()()()()()。あの娘はノア。姓はまだ教えないけれど―――貴方が助けるべき人間』

「アスカ・レグルス?」


知らない固有名詞が出てきた。


『貴方の名前。アスカ・レグルス』

「俺の、、、名前?」

『、、、もう時間がない。急いで。この儘では―――』




『あの娘は死んでしまう』

次回はきっと11月20日

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