CORPUS DELICTI
初投稿よろしくお願いいたします。
真っ白な部屋に声が響く。
『この箱は倒懸の箱。開けば貴方が憎んだ者共の事を思い出す事ができます』
「そんなもの要らない」
『この本は慶事の本。読めば貴方が愛した者共の事を思い出す事ができます』
少し、夢想す――――
【見ては駄目。貴方の慶事はもうこの世に存在しない】
『――――!?』
突然、真っ黒な少女が現れた。
「誰?」
【私は―――】
『神光第二楽章:極光』
話し相手から光が溢れる。
【追い出される前に教えておく。あなたの名前は―――】
⟪⟦■⟧⟫
【契約の天使】という言葉が広がったのは二千年前だと、そう記されているが———
そんなものは真実をほんの僅かに含んだだけの創作だと、そう思っていた。
その天使がいるとかなんとかいう国がいたとしても、そんなものは単なる宗教の一種であって事実とは異なる何かを信じた気になっているだけのはずだ。
それでは今起きたことは何だろうか。
目が灼ける程の光が地上から差し込んだと思ったら意識がなくなって———気づいた時には真っ白な砂の上だった。
『貴方は誰?』
視界の外から声が聞こえた。
少なくともその声の持ち主はこの砂の上にはいなかった。
『塔に———塔に向かって』
「———君は、誰だ?」
『塔に———』
こちらの声は届かない様で、唯塔に向かえと言うだけのその声は。
圧倒的な強者の様な、されど儚げな声だった。
『貴方の後ろ。貴方の後ろに塔はある』
そう言われて後ろを見ると巨大な塔があった。
真っ白な———ちょうど今立っている砂のような塔はどこか禍々しく、どこか安心感があった。
『そう。その塔の中に私はいる————お願い。私を———』
その声は誰にも届かなかったが———確かに彼女は言った。
『私を、助けて』と。
次回は11月16日投稿予定(下方修正)