第97話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 18
ミランダの負傷の事はワンドルにも伝えられた。
「なにっ!ミランダが?それで、どんな様子なんだ」
「はっ。リンクによる伝達ですと、グランダの意識にシンクロし、崖に追い詰めたようです。そこに攻撃魔術を仕掛けましたが無駄だったと。その後の一瞬の間にグランダの意識がミランダ様を……」
「閃光によりミランダ様の左手首を負傷したとの報告です」
「ミランダがシンクロを……。となると、意識だけのグランダにもシンクロが通用するのか。ミランダ、無茶なことを……。それでミランダは?」
「はっ。今はミランダ様の家で治療中です。傷口は既にポーションによって塞がっている模様。ですが……」
「なんだ?」
「ミランダ様の左手首が失われました……」
「くっ……。そ、そうだったか。これからミランダのもとに向かう。ついてこい」
ワンドルは魔導士2人を従え、山を上がった。
一方、ミランダのベッド。
「あ、蹄の音。ワンドルだわ」
「ミランダ様、まだ起き上がらないでください」
「ご心配なく。お陰で傷は塞がり、痛みも治まってきました」
とそこへワンドルと2人の魔導士が到着した。
「ミランダ!!大丈夫か?」
「ワンドル、魔導士達の処置でこの通り。手首は失ったけれど収穫もあったわ」
「さぁ横になっていなさい」
側でポーション治療を続けている魔導士。
「ワンドル、意識だけのグランダにもシンクロが掛かる。ただ、外部からの攻撃魔術は何の意味も無かったようなの」
「分かった、分かったからもう話さんでいい。後でゆっくり聞こう。しばらくはポーション治療を続けなさい」
ミランダに同行した魔導士から一部始終を聞いたワンドル。
(子供達の言っていたグランダ討伐も考える価値はあるかもしれんな。だがこの時代の魔導士が過去の時代のグランダ討伐に成功しても現世の時代のグランダは消えないだろう……。果たしてどうしたものか)




