第5話 Chapter(章) 3
朝のサンドイッチを皆が食べ終えると、ガイラが口を開いた。
「お前達は双子として生まれてきた。パパが思うに、リンク系やシンクロ系もしっかり鍛えると、2人の魔術はもっと進化出来ると思う。ミランダは普段、この子達を見てどう思う?」
「あなたの言う通りよ。バーストやムーブの力は益々(ますます)強くなってるわ。もう複合魔術を覚えるのが良さそうよ」
「そうか。上級覚醒はまもなくだな。……レイラ、ライラ。女だからと言っても剣を持ってもいいんだ。自分の身体から出す魔術を助けてくれる。ブースト系の術式を覚える事で力の増幅が出来る。パワー系を習得したら妖魔退治も楽になる」
向かいに座っていた2人は、ガイラの言葉を真剣な眼差しで聞いている。
姉のレイラが父親に問う。
「パパは剣の達人でしょ?魔術は剣から放つの?」
「それはその時の状況を見て判断するんだよレイラ。杖を使わなくなってからは剣を持ってもいいんだ。但し人に振りかざすものではない。あくまでも妖魔に向けて魔術を使う時の為。ライラのムーブ系は人にも向けられる。だがそれはしちゃいけないよ。サンダー系も同じ。今からパパが術式を見せてあげる。複合魔術も使う。よく見て記憶に残しなさい」
ガイラは立ち上がって、少し離れた所に立った。
「剣から放つのは、バースト系とサンダー系」
剣を抜くガイラ。
剣が赤く輝くと、振りかざして遠くの岩に飛ばした。
次には黄金に輝き出す剣。
同様にして遠くの岩に稲光を飛ばした。
「今はバースト系とサンダー系の単独魔術。妖魔に対して使う時はこうやる」
剣を持たない方の手を使い、小さな岩を浮き上がらせた。
今度の剣は、バーストの力で赤く渦巻いている。
浮いていた岩を遠くに飛ばすと、すかさず剣を振りかざした。
バーストのエネルギーは赤く渦巻きながら岩を砕いた。
「1撃で倒れない妖魔もいる。間髪入れず攻撃しないといけない。その為の複合魔術。パワー系やブースト系で自分の意識を増幅させる。スピードや破壊力が大きくなる」
今度は、黄金に渦巻く剣を振りかざして、遠くの大きな岩目がけてサンダー系術式にパワー系術式を複合させて放つガイラ。
かなりのスピードで岩まで飛んで、岩が粉々に粉砕された。
「レイラ、ライラ。単独魔術を鍛えて、身に付けたら、複合魔術の練習をしなさい」
岩が砕ける様子に釘付けの姉妹。
「今日、ここに来たのはパパの魔術を見て記憶する為。2人共パパの意識は感じられたかしら?」
「レイラがパパの剣を振りかざすのをイメージしてたわ。でもパパの意識は感じ取れなかった」
「私も、ライラが岩を浮かばせて切り刻んでるイメージは感じたけど、パパの意識は感じ取れなかった……それはどうして?」
「2人の間では意思疎通が出来そうだ。だが今の2人では同時に妖魔の意識を感じ取れない。リンク系やシンクロ系によって、攻撃しながら相手の意識を掴まねばならない。2人は意思疎通が出来そうだから、リンクやシンクロを鍛練する事だな。ミランダは2人の意識をいつも感じていてほしい。会話が出来る所までは覚えて欲しいものだな」
「あなたの言いたい事は分かりました。日頃から、少しでもこの子達の力にならなければいけませんね」