表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The Fate Of Twinsー双子姉妹の運命  作者: ほしのみらい
4/178

第3話 Chapter(章) 1

「2人共―、いつまで遊んでるのー。レイラー、ライラー。ランチの支度が出来たわよー」


 姉妹の母親ミランダは、裏庭で遊ぶ姉妹を呼ぶと家に入って行った。


 しばらくして、姉妹は摘み取った花を片手に、手を繋いで家に戻ってきた。


 色違いの服を着て、容姿(ようし)が瓜二つ。

そう。姉妹は双子である。


「全く2人共、ママのお手伝いの約束はどうしたの?チキンのアヒージョが冷めてしまいますよ」


 姉妹は並んで椅子に腰掛けると摘んだ花をテーブルに置いた。

座る姿も仕草もシンメトリーだ。


「ママごめんなさい。ライラと綺麗な花を見つけて、一緒に摘んでたの」

「食べ終わったら、小さい花瓶を出してあげるから差しておきなさい」

「ママー。私もレイラと同じ花瓶がいいー」

「同じ花瓶はないの。別の花瓶で我慢しなさい」

妹のライラはいつも姉レイラと同じ物を欲しがる。


 着ている服が色違いで同じ物なのは、父親ガイラにとっては、まだ2人の見分けが付かないらしく、ミランダによく愚痴(ぐち)っていた為だ。


「パパは今日は帰りが遅いって言ってたから、2人共少しお勉強よ。簡単な魔術は覚えなきゃね」

「まだ杖が無いと出来ない……」

「あら。ライラはもう杖無しで魔術が使える様になってるわよ。あなたも頑張りなさいレイラ」

そう言ってキッチンに引っ込むミランダ。


 出てくる時には紅茶のトレーを片手にテーブルについた。

ミランダは手振りだけで紅茶を淹れている。

姉妹はそれをじっと見ていた。


「ママは物を動かすムーブ系魔術をたくさん勉強したわ。はい、レイラ、ライラ。お茶を飲みながら勉強しなさい」

「分かったわママ。これからは杖はもう使わない。だって私、パパみたいになりたいもん」

姉のレイラは杖をテーブルに置いた。


「私もパパみたいになれる様に頑張るー」


 2人共、魔術の絵本を見ながら手を動かしている。

妹のライラは、摘んできた花を一輪ずつ隣に動かす。

2人を交互に見ていたミランダ。


「ライラ、その調子よ。頑張って。レイラもあと少し、気持ちを込めてみて」

レイラの摘んだ花の一輪だけ、静かに浮いては落ちた。


「レイラ。心の中で思い描くの。花を浮かべて隣に動かす想像をするのよ」

ライラは摘んだ花を、全部隣に動かし終わると、絵本を見始めている。

レイラはやっと一輪を隣に動かせた。


「やったー。ママ、動かせたー」

「ちゃんと心の中に描けたからよ。さぁ、続けてレイラ」

ミランダは優しい眼差しを向けている。


 レイラのムーブ系魔術は、ゆっくりだが上手く花を隣に動かせた。

最後の一輪。目線と同じ高さに浮き上がり、更に高く浮いていく。

レイラの手に少し力が掛かった。

「フンッ!」

ボッと赤い炎に包まれ最後の一輪が燃え尽きた。


ミランダと、絵本を見ていたライラは、ボッという音に驚き、目を見張った。

「レイラ、すごーい。花、燃えて無くなっちゃった」

「凄いわレイラ。あなたはバースト系魔術の方が得意なのかも知れないわね」


 ライラも真似して高い位置まで花を浮かせた。

「えいっ!」

一輪の花は、ピュンと窓際に飛んでいった。


「あらあら、ライラは炎を出すつもりだったのでは?」

「心の中で赤い炎が描けなくて、飛んでいく想像をしたの」

「どうやら2人は違う得意魔術が身に付きそうね」

向かいに座って2人を見ていたミランダは、優しく微笑んだ。


 10歳の双子姉妹の魔術覚醒だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ