表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The Fate Of Twinsー双子姉妹の運命  作者: ほしのみらい
36/178

第36話 Another World (異なる世界) 3

「2人共記憶を無くしている様だ。特に外傷は見られない。時期に記憶が戻るだろう。何か異常が見られたら私の診療所に来なさい。サンドラ、よろしくお願いしますよ。……私はこれで失礼します」


 医師が帰った後、初老の女性が自己紹介した。

「私はサンドラと言います。あなた達、記憶を失っているなんて……。可哀想に。ここへは何処から来たの?」

「草原から森を歩いて来ました。家が点々と見えて、煙突から煙が。それで訪ねて来ました」

「2人共短剣を下げている。猟師でもしてたのかしら?」

「それも分かりません。さっき話していた双子とは何ですか?」

「時を同じくしてこの世に生まれた2人の事。ほとんどが瓜二つの顔立ちや背丈なのよ。あなた達はまさしく双子」

「双子とはそういう意味なのですか。と言う事は私達は……」

「あなた達は姉妹よ。分かる?血の繋がった姉妹。この分じゃ、両親も思い出せないかしら」

「両親……」

「あなた達の親よ。一緒に暮らしていなかった?」

「分かりません……」

「今日はここに泊まっていきなさい。ゆっくり休むといいわ」


 空き部屋の隅に、干し草を盛り上げてシーツを被せたベッドに案内される2人。


「寝る時はロウソクの火は消してね。じゃ、ゆっくりお休み」


 静かな夜の町に、虫の声だけが聞こえている。


「私達は姉妹。両親もいる。……何も覚えていない、思い出せない」

1人の少女が心の中で呟いた。


「ねぇ。またあなたの心の声が聞こえる。何故?」

「私に言われても分からないわ。あなたも心で呟いたらどう?」

もう1人の少女も心の中で呟き始めた。


「このまま何も思い出せないでいるのは不安だわ」

もう1人が話し始めた。


「どうして?あなたの心で呟く言葉が分かる」

「本当?」

「えぇ。何も思い出せないで不安なんでしょ?」

「その通りよ。私達、このまま心で話せるのかしら」


 2人は心で他愛もない事を話し始めた。お互いに返答を心で呟く事を少し繰り返した。


 2人は顔を見合わせ、口を揃えて言った。

「私達、心で話せる。不思議ね」

「この事はしばらく誰にも言わないでいましょう」


 2人の部屋の明かりが消え、家の周囲は暗闇に包まれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ