第172話 Plan Start(計画始動) 5
山奥のグランダのアジト。
ちょっとした広い洞窟に一派はやって来た。
「ミランダ様。どうやら山奥の洞窟に身を寄せているようです。このまま様子を監視します」
「見付からない様に、上手くシンクロを使って、ガム。緊急事態には直ぐに知らせて。私と子供達で転移して向かう」
洞窟内では……。
「なぁグランダ。俺、第4回闘技大会、参加したいんだ」
「俺も4回に出たいと思ってる」
仲間の数人から、次の闘技大会の事を話された。
「そうしたいなら出ていけ。俺に就いてこれない奴は負け犬だ」
「そういうグランダはどうするんだい?」
「俺は……参加しない」
弟グランダが集めた仲間は、闘技大会の名声が欲しいのか、1人また1人とアジトを去っていった。
グラードが近衛隊入隊となれば次回闘技大会には参加しない。優勝のチャンスと見たのだろう。更にはグランダも参加しないとなれば、そのチャンスも大きくなる。
結局、第4回闘技大会の話が出た頃には、アジトには弟グランダしか残っていなかった。
「必ずや決着を着けてやる。例え近衛と対峙しても」
「ミランダ様。グランダが引き込んだ拳闘士が次々に出てきました。どうやら山を下りるようです。仲違いというか……。次回闘技大会に出場するのだとグランダに話していましたが、それをグランダが負け犬だと罵っています。すると1人、また1人と洞窟を後にしてます」
「それでグランダは?奴はまだそこにいるの?」
「えぇ、既にグランダ一人かと」
「多分その洞窟で魔力を得て、自身のパワーを蓄えていったんだわ。……そして長い間に、姿を徐々に変えて妖魔を操れるようになったのね」
「グランダは出てきません、これからどうしますか?」
「私達は今英気を養っているところ。皆のコミュニケーションね。士気は高い。ガム、明日夜明けとともに、そっちへ向かう。それまで監視を続けて。レイラとライラは明日、ガムの元に転移しなさい。男達はママが引き連れる」
「分かったわママ」
ガムは少し離れた場所で、洞窟を監視出来る木々の陰に腰を下ろした。
淡く赤く光るとガムはパイプを燻らせた。