第170話 Plan Start(計画始動) 3
そしてレイラの動向……。
レイラは、あまり馴染みのないサルーンは気が進まず、城下町を歩いていた。
(あまり気が進まないなぁ……。拳闘士を仲間に引き入れるなんて、一体どうやって?ママはどうしたかしら)
街外れ、路上に座った1人の男。
傷だらけの身体を自慢するかのように、肌を見せつけ、通りすがる人に声を掛けていた。
「俺は拳闘士。練習用の剣を俺の身体に当てることが出来たら、銀貨1枚。さぁどうだ。挑戦する者はいないか」
前を通る人々は、顔をそらしたり、手ぶりでNOの意思表示。誰も相手にしていなかった。
(あの男、第3回Aブロックで出場したボルクス。ちょうどいい、仲間に引き入れよう)
「ボルクスさん、でしたっけ。私はレイラ。闘技大会のファンです。試合は残念でしたね」
「ん?お嬢ちゃん、闘技大会を観戦してたのかい?」
「もちろんよ。第1回大会から観戦してます。今回のボルクスさん、3回戦まで進むなんて感動しましたわ。……そこでお願いが。私のママの敵討ちに手を貸してほしいのです」
「はぁ?なんで俺が?」
「そう言うと思ってました。ではこの練習用の剣、あなたの懐に突き立てたら協力してもらえますか?」
「おいおいお嬢ちゃん、それは無理ってもんだ。お嬢ちゃんには無駄だよ」
「では、早速」
レイラは練習用の剣を構えた。ボルクスも身構える。
シンクロでボルクスの身体を硬直させ、すぐさま胸元に剣を突き立てた。それは一瞬の事だったので、ボルクスは何も気が付かなかった。
「はい、ではボルクスさん、私の仲間に加わって頂きます」
言うと、そのまま胸元を突いた。
「ううっ。な、なんだお嬢ちゃん。なかなかの腕の持ち主だな。跳ね除ける余裕がなかったぞ」
「ボルクスさん、どうですか?金貨1枚で仲間に加わって頂けますでしょうか。もちろん成果によっては2枚、いや3枚でも構いませんわ」
「お嬢ちゃんが何者か分からんが、その敵討ちの話、面白そうだ。聞こうじゃないか」
こうしてレイラも1人、仲間に引き込んだ。




