第134話 Sister's Strategy Plan(姉妹の作戦計画) 13
サンドラ邸……。
いつもの食後の団欒。
「同じ時代の時間なら体力や魔力の消耗はなさそうねライラ」
「あの時、手を繋いだのは何故なの?」
「だって万が一、どちらかのパワーが足りなかったら補えるでしょ?だからよ」
「ふぅん、そうだったんだ」
「ねぇママ。これって魔導士以外の人とでも転移可能なのかしら?」
「それは分からないわ。その時は体力、魔力も必要かもしれない」
サンドラは話が分からな過ぎて、居眠りを始めている。
レイラは、椅子に掛けてあったひざ掛けをサンドラの肩に掛けながら言う。
「転移できるとしたら……、例えばサンドラさんと転移可能?」
「そうね、同じ時節なら可能かもしれないわ」
「詳しくはワンドルさんに聞いてみるとか?」
「ワンドルさんは麓で静養してる。明日行ってみる?」
「あまりワンドルの負担にならないように、私も一緒に行くわ」
「うん、相談してみたいママ。……あと転移術式を使っているのに、同じ時節だと体力や魔力を消耗しないのも気になってて」
「私達にはまだ知らないことが多いわね」
「よーし、明日ワンドルさんの所に行こー」
翌朝……。
ワンドルの仮住まいにやって来た3人。
「具合はどう?今日はワンドルに色々聞くことがあって」
「私達も同じなんです」
「心配ない。もう身体は癒えている。子供達まで一緒でどうしたんだい?」
「転移術式の事なの。……ねぇワンドル。転移の時に第三者と移動は可能なの?」
「その点か。……第三者が魔力を持たない者の場合は厳しいな。術式を使う側が相当量の体力と魔力が必要になる。時代を超越することも当然不可能だろう」
「私達、この時代の同じ時節にライラと転移したの。リュージンさんのお庭まで。失敗して離れ離れにならないように手を繋いで。その後、リュージンさんのリビングの絵を見ながらダットロームの教会まで転移してきました。上手くいったわ」
「お前達そんなことまでしてきたのかい?」
ワンドルは驚いたのか、椅子に腰かけなおす。
「絵は新しいもので、ダットロームの教会が建てられた頃の物だって。あまりにも素敵な絵だったから良くイメージできたのかもしれない」
「その絵をイメージして転移できたのか?よくやったな」
「これからはグランダが現れた時代を探しましょママ。書物の挿し絵は見付かったのでしょ?」
「いくつか挿し絵はあったわ。その書物の挿し絵に偽りがなければ転移できるかもしれないわね。でも、しばらくは同じ時節で鍛錬を続けてからね」
「うむ。時代を越えた転移は、自身を蝕んでいく。果ては転移中に死を迎えることになってしまう。多用するなとはこの事なんだよ」
「分かったワンドルさん。当分は鍛錬しながらレイラと一緒に転移する」
「それがいいだろう。失敗して離れ離れになるよりマシだ。……ところで、ミランダ。他には何かあるかい?」
ワンドルはムーブを使い、テーブルにティーセットを運んだ。