第110話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 31
サンドラ邸リビング。
すっかり自己紹介を済ませて、ミランダを交えてのディナーとなった。
最初サンドラは、ミランダの包帯を巻いた左手首を見て心配したが、事情を聞き安堵していた。
「私は一旦戻って、留守を任せたガムに報告してきます。またすぐに戻ります」
「今度は川に出掛けましょうよママ。美味しい魚が獲れるの」
「どこの川なの?」
「バリスタン山の周りを流れる川よ。ブリード川っていうの」
「あらレイラ。ブリード川はこの時代から同じ名前だったのね」
食器を片付けながら姉妹が話している。
「そうなのかい、ミランダさんの時代でもブリード川は残っているんだねぇ」
「私は魚は獲りに行ったことはありませんけど」
「捕れたての魚はすごく美味しいのよ」
「サンドラさんの料理がとても美味しいのもあるわね」
「じゃあミランダさんにも食べてもらわなきゃいけないねぇ」
姉妹がティーセットを運んでくる。
ミランダが姉妹にリンクした。
「ムーブは使わないのね。……無理もないわ、この時代では魔術はないものね」
姉妹はミランダに目配せすると、お茶を淹れている。
「サンドラさん。次に戻る時には色々荷物も持参します。今後しばらくお世話になります」
「遠慮はいらないよ。言ってみればこの家は先の時代にはあなたの家なんだから」
4人は食後の団欒となった。ミランダがサンドラに尋ねた。
「ところでサンドラさん。王城近くの闘技場の話は聞きませんか?まだそんな話はないかしら……」
「あたしゃ王城の事は知らないんだよ。この子達にも聞かれたんだがね、遠いので行ったことはない。こんな田舎町じゃ話を聞けるかどうか……。そうさねぇ、町長にでも聞いてみたらどうかな?」
お茶を飲みながら首を横に振るサンドラ。
「私達でブレイン町長さんの所に行ってくるわママ」
「ママが戻るまでに聞いておく」
「ありがとう。ママは明日朝出るわ。お願いね」
今晩のミランダは姉妹の部屋で休むことにしたのだった。