第105話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 26
稲光の衝撃でミランダの左手首の傷が開いたのか、包帯が赤く染まっている。
側に寄って抱きかかえるワンドル。直ぐにポーションを使った。
痛みがぶり返した様子のミランダは無言のまま。悲痛な表情。
そして手首の痛みが強すぎて気を失ってしまった。
ワンドルは待機していたガムにリンクし、手助けを要請。2人でミランダを運ぶことになった。
そして過去の時代……ワンドルとのリンク後。
まだ小雨が残る中、巨人の槍の側で座り込む姉妹。
「ワンドルさん、元気でよかったわねライラ」
「うん、良かったわ」
まだ降りやまない小雨の中、ポンチョを被っている姉妹。
レイラはライラの様子を伺う。
ライラは薄っすら涙を浮かべていた。
「どうしたの?今は悲しむ場面ではないでしょ?」
「ううん、違う。私、ワンドルさんを見ていて、パパを思い出してしまうの。そりゃさ、ワンドルさんとパパって双子だから似てるのだろうけど、パパの優しさが伝わってくる気がして……。だから今日は声が聞けて嬉しいの」
そして雨は上がった。レイラはそっとライラのポンチョを取り、肩を抱いてあげた。
俯いたままのライラ。両手の拳が震えていた。
「必ず……必ずグランダを仕留める!」
「分かったわライラ。私も一緒よ。パパの仇、魔導士達の敵討ち。私達できっと仕留めて見せる」
レイラは更に強くライラの肩を抱いた。
今日は珍しくグアムスタンの山に虹がかかって見えた。