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デート編「ロイとリル その1」

 ヨハネとクリスタが結納したということで、今日はロイと二人でデートをしてお祝いの品を探す。

 義母は、アミは雑なお嬢様さんだから家事を任せるのは嫌なはずなのに、彼女の性格は気に入って、編み物と裁縫の事で懐かれたのもあり、私にこう告げた。

 

「アミさんはあのままでは良い嫁になれないので、また我が家で花嫁修行をしてもらいます」


 彼女はたまに我が家へ遊びに来るのだが、前よりもマシそうなので家を大破壊はされなそう。

 少しばかり変なことになっても、私がきちんと直してくれる。

 そういう訳で、義母は私とロイが出掛ける日にアミを呼ぶことに。

 朝食後にアミが来たので、あとは彼女に任せて私は何もしないで出掛ける。

 居間へ案内したアミと会った義母は、編み物話を始めたので、多分、家事練習はそんなにしないと思う。

 家を少し汚くしておきなさいとか、洗濯物を溜めておきなさいという指示も無かったので。


 義父母とアミに見送られていざ出発。

 町内会内ではいつ、誰と遭遇するのか分からないので手は繋がない。

 今日買うものは、ヨハネとクリスタの共通の趣味になった茶道で使えるもの。

 無難に御茶碗にすることにしたので、最初は何か見つけられそうな彩り繁華街という話だったけど、私の実家に顔を出そうということになり逆方向へ。

 

「最近、忙しかったのでようやくリルさんとのんびりできる気がします」


「いつもお疲れさまです」


 教育指導関係で、持ち帰れる仕事を持ち帰っているロイとは少しすれ違い気味。

 平日はあまりお喋り出来ないので、こういう時にあれこれ話しをしたい。

 まず、報告したかったのはリアとウィルのらぶゆ話。

 お泊まりに行った時にどんなことがあったのか、ウィルの兄や妹についても語りたい。

 いつも聞き手役が多かった私が、こんなにあれこれお喋りするのは愉快。

 お喋り家族に囲まれて、うるさいと思いつつ会話をうんと楽しんでいたけど、私は自分も喋るのが好きだったと実感中。


「へぇ。ウィルさんって前からリアさんを気にかけていたんですか。そんな話、聞いたことがありません」


「旦那様にも打ち明けていないことなんですね」


「ええ。自分もですけど、友人同士でそういう話はあまりです。少しはしますけど、少しだけ」


「もっと仲良くなるとええから、ウィルさんはまたイオさんに会って、真似をするとええと思います」


 そうですね、とロイが柔らかく微笑む。

 ロイも真似してええですよと言おうとしたら、


「でもあれの真似は難しいですよ」


 そう、苦笑いを浮かべ、


「あのように歯に衣着せぬ言動は中々」と遠い目をした。


「それに、ミユさんの反応も悪かったです」


「あれは人前だからで、多分、二人きりの時は仲良しです」


「そう思いますか?」


「手紙で質問したら、二人の時は嬉しいですと書いてありましたので」


「コホン。うん。あー。リルちゃん?」


「……ロイ君」


 町内会から離れてきたので、どちらとも手を繋ぐ。

 それでロイが今日はこの幼馴染風でいきますかと照れ笑いで告げたので、私は小さく頷いた。

 のんびり歩いていたら、珍しく街中に赤鹿警兵!

 ロイも私も嬉しくて近寄って、警兵に手綱を引かれて歩いている赤鹿に向かって手を振ったら、なんと、私のすぐ隣にいる男の子の前まで来た。

 男の子が、赤鹿! と叫んだら、赤鹿がすすすっと来て男の子の頭を口先でうりうり撫でたのだ。


 次は私の番では……と待っていたけど、赤鹿と警兵は去ってしまった。

 期待した分、しょんぼりしてしまう。


「リルさん、今度赤鹿乗り体験に行きますか?」


「……行きたいです!」


「海辺街は観光地だから、赤鹿屋が出入りしているんですよ。これまで行った範囲ではありません」


 いつも行くのは海辺街の東側、その真ん中あたりだけど、北部側はもっと観光地だそうだ。

 海の大副神様を祀る、とても大きな神社があり、見応えがあるという。

 我が家からは少し経路を変えれば遠くないし、実家からも同じく。

 今年から私の実家、レオ家とルーベル家は親戚付き合いを始めたので、主要な神社へ行ってご挨拶は良いこと。


「という理由で母を外へ連れ出そうかと。出不精では体に悪いです。ルルさん達の作法の勉強の場にもなります」


「お母さんには元気に長生きしてもらわないと困ります」


「そのようにありがとうございます」


 握り合っている手にぎゅっと力が入って、ロイがますます優しい笑い方になって幸せ。

 ぷらぷら、のんびり歩いて目についたお店に入り、この御茶碗? こっち? と悩んで保留。

 二人ともピンってこない理由はなんなのか。

 さらに実家方面へ向かって歩いていると、大通りにワイワイ人が集まっていた。

 喧騒の言葉で火消しの遊び喧嘩だろうと察しがつく。

 大きな通りだけど、人が集まり過ぎて通りづらくなっている。


「うわぁ、珍しい遊び喧嘩です。リルちゃん、見学してもええですか?」


「ええですよ」


 ロイの目が輝きを放ったので、あれは悪いことで、遊び喧嘩をする火消したちに近寄るのは良くないという両親からの教えをポイ捨て。

 火消しの仕事ぶりは尊敬できるけど、遊び喧嘩、お酒、賭け事、女遊びはいただけない。

 困った時以外は近寄るべからず、と私は教わって育った。

 遊び喧嘩とは、街の人気者の火消しが何かしらで競って、それを見学して、どちらが勝つのか賭けたり、やじを飛ばしたりして楽しむこと。

 両親や兄は目が腐ると、私や姉妹達に見せなかった。

 なので、気になる。

 どんな風なのか見てみたい!!!


 人が多いので、はぐれないように手を繋いだまま、ロイと人混みの中を邪魔にならない程度に進み、何が起こっているか見えるところまできた。

 

「……あっ、イオさん」


「ですね」


 イオは火消しらしい派手な着物姿で、地面にあぐらをかいて、片腕を膝に乗せて頬杖をついて仏頂面。


「ナック、早うせい。俺はミユと約束してるんだ」


「ハ組のラオの息子! そんなやる気無しで傍観していないでお前もやれ! あの試合の時のやる気を見せろ!」


「この軟弱息子!」


「ラオの顔に泥を塗るな!」


 なぜか、イオは区民の男性たちになじられている。


「うるせぇ! 俺は喧嘩はしないって一番星と約束してるんだ! やかましいから早くしろ、ヤァド、ナック!!!」


「三対二で面倒だから加勢しろやイオ! ミユちゃんには俺から言うから!」


「そうだ、手伝え!」


「俺のミユちゃんって言え! 馴れ馴れしくミユちゃんって呼ぶな! お前らが言うたって許してくれるわけがないから嫌だ!」


 兄の幼馴染、イオと同じ班の火消し二人が三人の火消しと喧嘩中。

 拳がとんで、蹴りもとび、避けたり跳ねたり忙しいし私としては怖い。

 ロイが私の手を引いて人混みの中を移動するのでついていく。

 どこへ行くのかと思ったけど、イオと距離が近くなったので彼のところだろう。

 その予想は正解で、ロイはイオのところまで来ると、これはなんの喧嘩ですか? と彼に問いかけた。


「おお、ロイさん。リルちゃん。こんにちは。二人でリルちゃんの実家に行くんですか?」


「ええ、まぁ。同僚の方々が遊び喧嘩のようですかなぜですか?」


「ああ、あれ? ナックの嫁にこなをかけた隣の組のやつとたまたますれ違って、バカナックがわざと軽く体当たりしたから喧嘩です。避けろよバカ、周りを見ろよバカ、みたいに」


 イオはふわぁとあくびをすると、早く終わらないかなぁとぼやいた。


「たまたま三人で少し歩いていただけなのに、なーんか俺もここに居ないといけない流れ。試合で負けた雪辱を晴らすってガキか。ヤァドも無視すりゃあ、俺もじゃあなぁ、頑張れナックで終わりだったのに」


 ロイが尋ねたら、試合とは、今年の七夕祭りの時のことらしい。

 隣の組や同年代とは、何かしらの因縁があるものなので、たまにこうしてしょうもないことか大きな喧嘩になるとイオは肩をすくめた。


「俺も別に嫌いじゃないし、なんならうるせぇ、区民共! 誰が軟弱息子だ! って言うて暴れたいけど、ミユが怒るから無理。婚約破棄されたら心臓が止まる」


 ここへ、ピーピー! という笛の音が鳴り、人混みをかき分けて兵官たちが登場。

 兵官三人では遊び喧嘩を止められないのか、なんか揉みくちゃになって区民はますます大盛り上がり。

 ロイが私の隣で、初めて乱闘を見ると嬉しそうにしている。

 

「……やっべぇ。ネビーが来たら止めないのは同罪、ミユに密告するって言われる。逃げるしかない!」


 イオはそそくさととんずら。去り際に、ロイさん、リルちゃんまた! と手を振ってくれたので手を振り返す。

 

「あっ、自分もネビーさんに何かお説教をされたら面倒です。卿家なら喧嘩を止めなさいとか。行きましょう」

 

 小説の中のようで面白いから後ろ髪引かれるけどと言いながら、ロイは私と繋いでいる手を引いて歩き出した。

 ロイに対するビビりネビーはすっかり消えて、お互いに仲良し喧嘩やお説教をしあったりしている。

 前も思ったけど、なんで長年友人ではなくて同じ道場に通う顔見知り程度だったのか不思議。

 普通の往来に戻ったので、またお店を覗きながら御茶碗探し。


「ロイさん、これです! 猫です! かわゆい!!!」


 クリスタとヨハネは猫好き仲間で、この間はヨハネの実家の猫と遊んだと聞いた。

 ロイもそのことを知っていて、川の景色に猫が少し紛れているこの御茶碗は良さそうだと手にして笑った。


「初対面の時の帯留がぶち模様の猫だったそうですからピッタリです」


「……帯留? その日は付き添い人になったけどもう覚えていません」


「細かいところまで覚えられないですよね」


 よし、これにしようと購入して、贈り物用に包んでもらうことにしたけど、待って下さいとロイを静止。


「他の候補がありました?」


「いえ。父に頼んだら、なんかええ入れ物を作ってくれそうだなと」


「あっ。言われたら、エドゥアール風のカゴに入れてもらいたいです」


「私だけではなくて家族がルーベル家に良くしてもらってばかりと言うているらしいので、頼みたいです」


 手紙でそう言っているので、父の職場からいくつか何かをもらおうと考えていたけど、この依頼の方が喜びそう。

 そういうわけで御茶碗は購入だけして、風呂敷で包んだ。

 御茶碗を買うと決めていたので、風呂敷だけではなく、割れないようにする布があるのでしっかり包んでから風呂敷の中。


 実物を見せて父に依頼するぞということで、実家には行かないでそのまま父の働く作業場へ。

 お昼時になってきたので、ロイが父と昼食をとれたらええと言うてくれたけど、予定外の来訪だからきっとお弁当がある。

 それに、ロイはきっと父にご馳走しようとするので、それでご馳走したらまた父が感激して恐縮してしまう。

 そう伝えたら、ロイは様子見すると微笑んだ。


 父が働く作業場に到着すると、父もジンもルカも、私の甥っ子のジオもいた。

 赤ちゃんのジオはカゴの中ですやすや眠ってかわゆい。

 作業場の人達と挨拶をしながら、ロイが赤ちゃんも一緒に出勤なんですねとジンに問いかけた。

 

「ルカさんが働きたい、妹たちの子守りをしながら子育てはキツイって言うんで、皆さんに相談しました」


「赤ちゃんは癒しだから、むしろ連れてきて〜ってことでたまにです」


 ジオは毎日通勤ではなくて、現場の様子やルカの体調、母の仕事の様子で来たり来なかったりだそうだ。

 ロイが練習したいですとジオを抱っこして、ふぇぇ、ふぇぇと泣かれたのでお手本を披露。

 赤ちゃんは体勢が安定しないと泣いてしまうことがある。

 と、思ったらおしめが臭いから多分うんち。

 練習をしたいならと、おしめ交換をロイに勧めたら嫌がられた。


「旦那様、好き嫌いは良くないです」


「でも、うーん……」


「赤ちゃんのうんちは大人と違って、くちゃくないですよ」


 我が子ができたらするのだからと、させてみることに。

 ロイの大切な服が汚れたら困るので、紐を借りて縛って、汚れても良い布をかけたり工夫。

 手取り足取り、うんち付着がないように見張りながら教えたら普通に成功。

 父の同僚たちに、私はええ旦那を手に入れたと褒められて唇がほころぶ。

 ロイも褒められて嬉しいのが、顔が固まった。緊張すると出る、ほとんど無表情という顔だ。


「あっ、そうだった。お父さんにお願いがある」


 集中している父に、ただ話しかけても無駄なので軽く体に触れてから声を掛けて気がついてもらう。


「ん? お願い? なんだリル」


「旦那様の友達が結納したから、お祝いに御茶碗を贈るの。入れ物を作って欲しい」


「レオさん、今日はそれを依頼に来ました。友人のためにお願いしたいです」


 御茶碗を見せて、これが入る物と頼む。

 相手はロイの同僚とご近所のお嬢さんなのでそれなりに見えるものが希望。

 ロイが見積もりと一緒にと言ったけど、父は案の定、日頃のお礼に無料で引き受けると宣言。


「それなら今度、せめて何かご馳走させて下さい。釣り合いが取れないと両親に怒られます」


「これを引き受けたって、返す分は足りていません」


「ええ大工を紹介してもらいましたし、ネビーさんが町内会の防犯対策をしてくれています」


 頼みづらくなるから、ご馳走なんてと遠慮合戦の果てに、今回は娘たちのためにちび饅頭ということに。

 誰にも何も言われていないけど、仕事の邪魔になるので私の実家へ行くことに。

 ルカに頼まれてジオも連れて行くことに。

 途中でちび饅頭を買うことにしたけど、ロイがもう少し何かというので、そうしたらまた返す、返さないとなるからやめましょうと軽い言い合いに。

 

「リルさんがそう言うなら従います」


 そう口にしながら、ロイは少し拗ね顔。

 

「代わりにルル達と遊んで下さい」


「それは普通にすることです」


「その普通がお礼です」


 高くない——前の私からしたら高い、庶民中の庶民のお昼を食べて、長屋に到着すると、いつものように遠巻きにされたけど気にしない。

 ロイに慣れてわーわー言われたら疲れてしまう。

 合間机で母が繕い物をしながら、ルル達に勉強をさせていたので声を掛けた。

 

「立ったらリルとロイさんと遊ばせないからね! まず勉強を終わらせなさい!!!」


 ルル達がそれぞれ「リ」と言った時には母の雷が落下。

 兄とルカと私は沢山浴びたこの雷を、ルル達は最近浴びまくりとはルカ談。

 下三人を放置は終わりなので厳しくされている。

 母はロイに向かって少し照れたように笑い、すみませんね、礼儀作法を学ばせていますのでと一言。


「そのようで安心します。来年の町内会の桃の節句にはお招きしたいのでよろしくお願いします」


「ええとこのお嬢さん達と育ちが違うのに、大丈夫ですかね」


「違うと経験することも、それで何かを感じることも大切なことです」


 何? 何? みたいなルル達がヒソヒソ喋ろうとすると母はギロリと一睨み。

 母が孫はかわゆいとジオを預かったので、私とロイは部屋でまったりすることに。

 父が娘たちに教えているのか、遊んで良い竹細工用のものがあって、ロイが興味を示したので教えることになった。

 簡単なものを編もうということで、こうやって、こうしてと教えていく。


「ここがズレています。仕上がりがおかしくなります」


「ここ? あー。本当ですね。作業場で皆さん、さくさく編んでいたのに難しいですね」


「私も素人ですから、あの早さで丁寧には難しいです」


 去年はルーベル家に慣れる生活だったけど、今年からロイが私の実家や下街に接することがあるから面白い。

 ロイは飽きたのか、細かいことは好きではないのか、単に思い出したのか、自分は蛇投げをしていないと言い出した。

 したいならしようとロイを誘って河原へ。

 近くの林で良さそうな棒を拾い、ついでにキノコ確認をして、何もないので川方面へ。

 草むらを棒でガサガサして、青緑蛇を探し、しましま蛇を発見したので「ロイが危険!」と遠くへ放り投げ。


「おおー、これが蛇投げですか」


「今のはしましま蛇退治です。遊びではなく真剣です」


「しましま蛇……確か危険な毒蛇でしたよね?」


「はい」


 こんなに草が伸びているので、そろそろ草刈りやしましま蛇退治をするはず。

 青緑蛇を6匹見つけて、部屋から持ってきたカゴに突っ込むと、ロイに「素手ですか……」と少し引かれた。


「つい。卿家の奥さんは掴みませんか?」


「おそらく。ベイリーさんから聞いた限り、エリーさんは掴むようですが」


「兄がお嬢さんなのに……とガッカリしていました」


 さっき、ロイも私にガッカリしたな。

 でも、ここで育った私はリアのように、きゃあ〜蛇さん怖い〜という感情が無いので無理。


「怖がる嫁がええですか?」


「その方がかわゆいけど、お嫁さんはリルさんがええから、怖がる嫁でなくて構いません」


「その方がかわゆいんですね。きゃあ〜、怖いです」


「あはは、リルさん、棒読みです」


 笑い合って河原で蛇投げ大会。

 投げ方を教えて、さぁどうぞと促したら、ロイは変な棒の振り方をしたので真上に飛んで、蛇がひゅーっと落下。


「う、うわぁ! 蛇の雨です!」


「あはは、旦那様、慌て過ぎです」


 ロイと面白い蛇投げを楽しんでいたら、ルル達がもう遊べると合流。

 石投げ大会になり、ロイは一番下手で拗ねてムキになり出した。

 後一回、もう一勝負とルル達にせがみ、飽きたと一蹴されてへしょげ顔。

 励ましてあげるとレイがロイの手を引き、皆で部屋に行き、兄が貸本屋から借りてきたという紙芝居をルルとレイで披露。

 レイがひらがなを読んで、ルルが間違いを直しながら朗読。

 ロイへと言いながらロカのためという雰囲気。

 こんなにどんどん賢くなって、大人びてきて凄いなぁと胸が熱くなった。


 夕食の準備はしなくて良いとは言われていないので、ほどほどの時間でお別れ。

 寂しいけど、前程三人はぐずらなかった。

 特にルルはすっかりお姉さんで、ジオをおぶって、ええでしょう、羨ましいでしょうと自慢げ。


 帰りもロイと手を繋いで歩き、ちょこっと気になるお店を覗いて見て楽しみ、町内会が近づくと自然と手を離した。

 帰宅すると、ロイは玄関でこう告げた。

 目的を果たしたし、うんと楽しかったから、少し仕事の勉強をすると。

 二階の書斎へ去るロイを見送り、私は居間をチラッと確認。

 やはり義母はアミと楽しそうに編み物をしていた。

 お帰りなさいと言ってくれたけど、玄関に姿を現さなかったのはこういうこと。

 義父が居ないのは、ご近所さんのところへ飲みに行っているのだろうか。


 居間へ顔を出すと、義母にアミに夕食作りを教えてあげてと頼まれた。

 予想通りなので「はい」と返事をして、アミと共に台所へ。

 騒がしかった妹たちと違い、おっとりしていて別の意味で癒される。


 ロイと次のデートはどんなかな。

 また楽しい息抜きをするために、私は家守りを頑張る。

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