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お見合い結婚しました【本編完結済】  作者: あやぺん
日常編

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遊ぶ3

 ミーティアで食事は2度目。開店が11時からで既にほば満席。それで女性客しかいない。

 ロイと来た時は混んでなかったし男性客もいた。週末で多分遅めの時間だったからなのかな?

 案内されてお品書きを眺める。前と違って時間はかかるけど結構読めるし意味も分かる。

 ホタテのドリア。サラダがつく。

 鳥肉ホワイトシチュー。ブレッツェンがつく。

 海老フライ。ご飯かブレッツェンを選べる。それで玉ねぎスープがつく。

 どれも6銅貨。……6銅貨? 

 素うどんが3銅貨くらい。なのに6銅貨?

 安い。これは安い。1銅貨で飲み物、2銅貨で本日のミニデザートを付けられる。

 本日のミニデザートはプリンとティラミス。どちらもどんな甘味か不明だけど、なんと2つ頼むことも出来る。ミニデザート2つで4銅貨。これは安くないけどお菓子だから安い……安くはないな。


「私はこのお店好きなので嬉しいです。去年出来た時に安いなぁと思って入ったら西風料理の高い肉料理はない代わりに魚介を中心にしていると」


 高い肉料理?

 鶏肉料理は前回食べた。今日もお品書きに載っている。高い肉料理とは何だろう。それは気になる話。後でクララに聞こう。


「クララさん。確かに安いです。最初のお礼も兼ねて西風料理をごちそうしますと言われて遠慮したら、予算は1大銅貨ではみ出しませんと。その時に変だなぁと思っていたけど確かにはみ出しませんね」


 シチューは牛乳、バター、粉で作る。これは本に載っていたから味を知りたい。

 本で紹介されていた煌風ホワイトシチューはかつお節と昆布の出汁で作って海老、鮭、ホタテがおすすめらしい。


「エイラさん、私もクララさんと同じでこのお店には家族とたまにきます。去年シチューとドリアを家族で食べて好みでした。フライは知りません。なのでフライに挑戦してみます。どのような料理か聞いてからですけど」


 ドリア。これも載っていた。ご飯料理。ホワイトソースというものを牛乳、バターで作る。でも謎のチーズという食材を使う。

 チーズはバターが売っているお店で臭かったからあまり食べたくないけど気になる。


「私は初めてきましたしどの料理も初めてです。クララさんの言う高い肉料理って牛肉料理ですよね? 私はそれしか食べたことがないです。父や兄がハンバーグが好きで年に1度くらい。高くないものは旦那様とオムライスやリゾットを食べました」


 海老フライ。フライはもう知っている。海老も食材に良いと覚えて帰ろう。

 集中しているけど話は聞いていたはず。多分。


「リルさんはこのお店は2回目なんですよね? テルルさんから聞きました。また来たかったけど中々来られなかったって」


 そういう話になっているのか。正解だから良いか。


「はい。クリスタさん、フライは西風天ぷらです。粉、たまご、パン粉をつけて揚げます」

「作り方までって詳しいんですね。それは気になります。やはり私はこちらのフライにします」


 クリスタは海老フライに決定。

 クララがエイラにシチューとドリアについて軽く説明している。クララも海老フライにするそうだ。前回貝ドリアを食べたらしい。

 クララがエイラに海老フライをお裾分けをしてホタテドリアを少しもらうという話を開始。エイラはホタテ好きらしい。

 お裾分け……味盗みの品を増やせる! あと単に2種類食べたい。


「エイラさん。私はシチューにします。クララさんと同じでお裾分けするのでドリアを食べたいです。ドリアを食べたことがありません」

「ええぜひお願いします」

「お客様、お決まりでしょうか?」


 店員が来てお水の入ったカップを配ってくれた。この女性は多分奥さんではない。おそらく2人の店員のうち年配の方。忙しそうで質問出来なさそう。


「フライ2つ、シチュー1つ、ドリア1つでお願いします。飲み物とミニデザートは後からまた決めます」とクララが注文してくれた。

「かしこまりました。取り皿もご用意致します」


 取り皿もとは、華やぎ屋の従業員みたいに私達の会話を聞いていたのかな?

 

「クララさん、エイラさん。母から1人1大銅貨と言われてリルさんが預かってくれていますので余りはこのお店でも他のお店でお菓子でもお好きなものをどうぞ」

「ええ聞いています。なので私は紅茶を頼みます。お腹に入りそうならプリンと共に。ティラミスはコーヒー味で苦手。余りにお小遣いを足して明日のおやつにどら焼きを買おうかなぁ」


 クララはどら焼きを買う。どら焼き大好き。


「私もコーヒーは苦手です。紅茶も苦手。プリンは気になるので同じくお腹の様子を見てプリンにします。私もお小遣いを足して練り切りを買おう」


 エイラは練り切りか。練り切り大好き。


「エイラさんは紅茶が苦手なんですね」

「茶道ばっかりしているからか緑茶や抹茶以外はお水でええって思ってしまって。クララさんは紅茶を好みますか?」

「すこぶる好みです。飲み過ぎて嫌ではなくて逆なんですね」

「クララさん。私もエイラさんと同じです。私はコーヒーが好みなのでコーヒーとティラミスにします。私も食べられそうならですけど」


 確認したら飲み物はコーヒーか紅茶を選べた。

 砂糖を入れた紅茶は飲みたいけど4銅貨余ったらどら焼きか練り切りを買えそう。

 クララやエイラが買うならお店に行くから買いたくなりそう。練り切りかな。あれは綺麗で美味しい素晴らしい食べ物。

 しかしプリンは気になる。味盗みもあるからプリンを食べよう。コーヒーが苦手だからティラミスはいいや。


「私はエイラさんと同じで様子を見てプリンを頼みます」

「エイラさんとリルさんは食後にお腹の様子をみてプリン。クリスタさん、飲み物はデザートと一緒にですか? 私はそうします」

「はい」

「それなら全員今はもう注文なしですね」


 クララって気配り上手。覚えて真似しよう。4人集まると私はやはりあまり喋らなくなるなあ、と思った。

 でも文字は読めたし会話に参加しているし外食なので楽しい。

 料理が来るまでの話題はクリスタとヨハネの話。クリスタが知るヨハネについてクララとエイラが聞き出す。

 私はふむふむ、とそれを聞いた。全て知っている話だった。

 

「次男だからお兄さん夫婦と同居の可能性ありですよね。それで華族に嫁いだお姉さん。近い親戚付き合いは少し大変そうですね」

「ヨハネさんに気に入られてもお母さん、お姉さんの2人。祖母がいないのはええことかなぁ。難敵ですよクリスタさん。差し引いても人気そう」

「母もいきなりこのような素敵な方で浮かれるのは分かるけどダメで当然と思って冷静にって」

「冷静なんて無理無理。全力でぶつからないと。もしも砕けてしまったら問題はその次です。弱っている時は必ず周りに守ってもらわないといけません。目が腐っていますから」


 クララの発言を聞いて私はニックに恋人が出来たのを知って目が腐った? と首を傾げた。

 ……目が腐った結果がロイ?


「目が腐ってもうんと良いこともあります」

「リルさんはそうなんですか?」

「いえ。知り合いの話です。私は旦那様に桔梗を贈りました」

「私は贈れないからなぁ」


 私はクララの隣に座っているので彼女にコソッと耳打ちした。


「クリスタさんには内緒ですけど桔梗には西の北極星の意味もあります。龍歌のことはヨハネさんではなくて別の方から聞いたそうです」


 クララは大きな目をさらに大きくした。クララにも耳打ちされた。


「それなら私も旦那様に贈れます。贈られたいけどさっきエイラさんにコソコソ聞いたら贈るのも良いことだと」

「ええ龍歌を知っているので後で教えます」


 千夜に八千代にを教える。ロイの龍歌を自慢したいのもある。エイラだけではなくてクララが嬉しくなった話も聞きたい。


 クララもエイラも頼もしい。励みたいけど破天荒結婚で喋れてないし役に立たなそう。

 クリスタからそれぞれの結婚経緯を知りたいと質問された。


 クララは父親の同僚の息子さんから結婚お申し込みされた。私と同じで簡易お見合いからではなくて本縁談で殴り込まれたそうだ。

 彼女は幼馴染婚が消えかけの時に今の旦那様に殴り込みされたらしい。

 殴り込みとは交流無しで行われる結婚お申し込みで「あなただと決めて本気なので家のことなど全部教えます。お見合いして下さい」と乗り込まれること。つまりロイだ。

 結婚お申し込み後は基本的に両親と当事者同士でお見合いをする。それを繰り返して結婚条件をバシバシ決めつつ相手のことを知っていく。返事をするまでの期間はだいたい1年以内。

 申し込まれた方だけは他の相手とお見合いしても良い。

 約束を決めて半結納をしたら「ほとんどあなたに決めました」ということ。他の縁談はしないという意志表示。


「1番最初の本縁談。見た目以外のことを色々褒められて、こうピンッてきて。他に3人会ったけどやはりこの人と思って半結納しないで結納です。友人達に決めるのが早い、嫁にいくのも早いと言われたけど早く2人で歩きたい! ってそそくさと結婚しました」


 次はエイラ。

 エイラは昔から行事などで助けてくれるオーウェンを良いと思っていたら「親がお嬢さま以外いないと決めました」と元服時に半結納のお申し込み。

 ご近所さんだから結婚お申し込み、正規のお見合いはすっ飛ばせる。ご近所さんなので色々知っているし、事前に親同士がやり取りするからだ。

 オーウェンは期限の1年間誰とも縁を結ばないけどエイラは自由という珍しい約束の半結納を申し出られて結納をしますと返事をした。

 祝言の日や両家の約束事などを決めたり色々しながらあちこちに付き添い付きや、こっそり2人——エイラはこれは悪例と言った——でお出掛け。

 ロイから聞いたしエイラにもコソコソ話をしたけどオーウェンは「渋る親を説得してエイラに決めた」なのでそこはロイに似てる。


「結婚したら素っ気ないなぁと思っていたら違いまし……余計な話をしました」


 次は私の番。殴り込まれたのはクララと同じ。

その日のうちに結婚しますと決定。祝言まで約3ヶ月。喋ったのは祝言の日。

 それでその裏側をちょろちょろ話した。


「そういう経緯だったんですか。ロイさんとリルさんの結婚は特殊です。破天荒。破天荒結婚です」

「テルルさん、その経緯なのにリルさんに優しいんですね」

「そうです。しかもお義母さんは姑に理不尽な扱いをされたのに私にうんと甘々です。旦那様と沢山親孝行をします」

「リルさんは今も少々お慕いしています程度ですか? ロイさんは熱烈みたいですけど。すまし顔で無口な方が情熱的とは驚きです」


 クララのニヤけ顔に私は視線を彷徨わせた。


「今はですね、ほっ、ほっ、北極星になりたいですと言いました」


 クリスタが首を傾げた。クララとエイラには伝わる。私が教えたから知っている。


「コホン、全員惚気がチラチラ出ましたけどクリスタさん。私は殴り込まれ結婚。エイラさんは幼馴染婚。リルさんは破天荒結婚。同じお見合い結婚でも縁談内容はこのように色々です。じっくり選んで正解もあれば、スパッと決めても、喋らずに結婚でも上手くいく時はいきます。ダメな時はダメ。縁とはそういうものらしいです」

「クリスタさんが簡易見合いを始めたということでご近所さんの男性がソワソワしているとかいないとか。なので妥協は必要ありません。自信を持って当たって砕けて弱った時はご家族や友人に私達が守ります」

「そうです。エイラさんの言う通りです。相手に合わせる必要はありません。お互い気楽に過ごせるか、お互いのために生きていけるか。それが大切です。母からの押し売りです。ロクデナシではないか、家の為になるかは周りが調べてくれます。クリスタさんは自信を持って自分らしくです」


 私も何か言わないと。クリスタの為になりそうなことを言ってあげたい。


「恥ずかしくても色々喋った方がええです。毎日会っていても知らないことや誤解があります。ヨハネさんはわざわざ桔梗を贈りました。他にも色々な花言葉を旦那様に教えてくれています。クリスタさんに謙虚で椿、紫局で上品など他にもありました」

「皆さんありがとうございます。よろしくお願いします」


 クリスタは「もう会いたくない。誘わないではなくて悩んでくれているとは嬉しい知らせです」と少し涙目でかわゆい笑顔を見せてくれた。ここにヨハネを連れてきたい。


「リルさん。ヨハネさんに亭主を頼む件をよろしくお願いします」

「はいエイラさん」

「テルルさんなら共同茶室のあれこれなどをエイラさんに依頼しますね。旦那様に2月の土曜日は全部空けておいてって伝えよう。さすがに来週はないかな。あっエイラさんは来週旅行でしたね」

「ええ、来週は旅行なので翌週以降でお願いします」

「来週は海釣りなので……ヨハネさんの同僚に会います。旦那様と共通の友人です。難しいけどジン兄ちゃんに頼んで何か聞き出します」


 ジン兄ちゃん? と聞かれたので姉のお婿さんだと伝える。エイラとクリスタに兄ちゃんって呼び方もええですねって笑われた。バカにされた感じはなくて楽しそうに。

 違う意味で海釣り燃えてきた!

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