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異世界クラス転生~君との再会まで長いこと長いこと  作者: アニッキーブラッザー
第十四章 男たちは征く

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第661話 架け橋

「はは、随分と簡単に言うねえ。でも、それでは君の国は元犯罪者たちを受け入れるということかい?」

「染み付きの履歴書なんか気にしてたらやってられねーよ。俺も、そして俺の国で正に土台作りしているやつらも含めて似たようなもんだ。いいんじゃねえのか? セカンドチャンスっつーのか、リサイクルっつーのか知らねえがな」


 オリヴィアは相変わらず笑ったままだが、目は真剣だ。そして重要なことであるからこそ、フォルナたちも、そしてクロニアすらも俺たちのやり取りを黙って聞いている。


「では、最後に聞こうか? そんな一癖も二癖もある連中ばかりが集う国……ほんの少しのバランスが崩れるだけで、世界規模に大きな影響を及ぼすのではないのかい? いまだかつて前例の無い、異種族、混血、世間からのはみ出し者たちが集う国。そんな国をこれからも維持し続けることが、君に出来るのかい?」


 それは恐らく、誰もが思っていただろうが、誰もがあまり触れようとしなかった部分かもしれない。七大魔王も四獅天亜人も光の十勇者もだ。

 だからこそ、半年前の最終決戦や、それまでの世界での戦争に絡んでいなかったオリヴィアだからこそ、客観的な意見を言うことができる。

 ここで、「俺が命がけで守る」とでも言えればカッコいいんだろうが、俺はそんな勇者みてーなことを言えるほどの男でもねえ。

 俺が言えることは……


「そのためにも、色んな奴ら、色んなスゲーやつらに集まってもらって、力を貸してもらう。そして俺は、そんな奴らを繋ぎとめるための橋になる。俺が上に立ってあれこれ指示するんじゃねえ。色んなやつらに手え貸してもらって、そいつらの中心になって俺が、そして俺の家族がそれをこれからも繋いでいく。そうなったらと思っている」


 そう、俺が国の上に立って政治家の真似事なんて無理に決まってる。それに、ヴェンバイやイーサムなんかが俺に求めているのもそんなことじゃねえ。上に立つんじゃなくて、中心に立って繋ぎとめる。それが俺の役目だ。


「ふふ……はははは、これはまた随分と謙虚な支配者様だ。自らの手を使うのではなく、回りの手を使うとは」

「まっ、それが一番いいだろう。ほら、昔から言うだろ? 神輿は軽くて馬鹿がいいってよ。つまり、馬鹿は余計なことしないで、出来る奴に任せるのさ。まあ、今回は俺の判断で余計なことをしまくったから、反省しねーといけないけどな」


 オリヴィアが俺に呆れるか、それとも答えに満足したのかは分からないが、これが俺のやり方。

 だから……


「だから、嫁共。幸せにするから、これからも俺と繋がっていてくれよな?」


 と、俺は笑って嫁共に言ってや……ったけど、やべえ、言い終った後でかなり恥ずかしくなってきた!

 そしてこいつらは調子に乗ったかのように「ニタリ」と笑みを浮かべてるし!



「オホホホホ! ついに、ヴェルトが陥落しましたわね! まあ、ワタクシは出会った瞬間からあなたと繋がっていますので、当然と言えば当然でありますし! というよりも、ワタクシがあなたとの繋がりを切ろうとすること事態がありえませんもの! ワタクシも! そして、このお腹の子も!」


「やれやれ、仕方の無い奴だな、ヴェルトは。まあ、お前は小さい頃から私が居ないとダメなんだからな。当然だ。というより、むしろ繋がりを絶とうとしてみろ……お前を殺して私も死んでやるからな」


「あら、前世から繋がっている私を前にしてよく言えるわね。むしろ君こそ覚悟なさい? 君と私のつながりは、たとえ死んだって切れることは無い。これから先、何度生まれ変わろうとも繋がっているのよ? ただ、繋がるのは当然だけれども、早いところ私も繋がっているという物的に証明できる存在が欲しいわね。法律上の婚姻とかそういうものではなく、このお腹の中にね」


「この私と繋がっていたいというのならば精進なさい。男としても王としても。そうすれば、末永く面倒見てあげるわ」


「じゃあ、早く繋がれ! まだ私、一回しか繋がってない! もっといっぱい交尾!」


 

 フォルナ、ウラ、アルーシャ、クレオの勝ち誇った顔。分かってるのか分かっていないのか心配なユズリハだが、これが俺たちの形だ。

 それを確認し、俺はオリヴィアに、「どうだ!」という顔してやった。

 すると……


「分かったよ、旦那君。その幸せ家族による国づくりと、世界への架け橋……私も協力させてもらうよ」

「おう」


 オリヴィアも観念したように両手を挙げて、笑った。

 しかし、オリヴィアはすぐに俺をからかうような笑みを浮かべて、また顔を近づけてきやがった!


「しかし、もしそれでうまくいって、男女愛以外の恋も法律で認められる国になるのだとしたら……不安だな……君に言い寄る子も増えるんじゃないかい?」

「ちょ、お、おい、お、お前、何を?」

「君は、女の子以外にも興味があるのかい? 現状ですらまだ不安な私を、これ以上困らせないでほしいな。ねえ? 私の旦那君」


 だ、だから近……壁ドン顎クイ股ドンやめろ!


「それに、いかに政略結婚とはいえ、私もどうせならやはり純粋に愛し合いたいものだ。君に私を惚れさせることができるかな? 口説き落とすことが出来るかな? ……まあ、私が君を口説いてもいいのだけどね……」


 ちょ、息が鼻にかかる! 髪の毛からいい匂いが! 


「幸い、ウラ姫からのメモ帳で君の感じる箇所や、好みの愛撫は分かったからね……君は私に……どんな、ストリームをして欲しいかな?」

「ちょをあああああああ! だから、そういうのを口に出して言うんじゃねえ!」

「ははははは、そんなことを言って、君も好きなのだろう? 素直になりたまえ……メチャクチャにしてあげるよ?」

「ッ、が、て、テメエは心臓に悪いんだよ! つか、やめ、手、手え! そんなとこ今、触ってんじゃ、ん!」

「体は素直だね。感じて……いるのかい?」


 ダメだ! やっぱこいつ苦手だ! 全然ペースが掴めえね! つか、こんなの他の嫁たちだって怒って……



「な、なんですの、この感覚。なんだか、高身長の美形の方がヤンチャなヴェルトを手玉に……ちょ、ちょっとドキドキしますわ」


「なんか、嫉妬というよりドキドキというか……」


「これは……前世で布野さんから没収した、あの薄い本……決して解けない方程式が書かれた本を読んだときの、何ともいえないドキドキが……」


「やはり、オリヴィア姫をBLS団に見せないほうがいいわね。全員鼻血を出して昇天してしまうわ」


「ぶ~、あのゴミ新顔……さっきから、私のムコにイチャイチャするな! イチャイチャは私が先だッ!」



 っておおおい、嫁たちはいまだかつて触れた事の無い領域に少し興味が……って、オリヴィアは男じゃねえからな? 女だからな? つか、何でまともな反応をしているのがユズリハだけなんだよ!

 やっぱ……かなりヤバイのが嫁になっちまったな……ママもクロニアも笑って……ん? クロニア?


「……おい……クロニア……」

「はにゃ?」


 あれ? 俺、今、ちょっと恐いことに気づいたんだけど……


「そのさ……お前、さっき……俺に注意されて……サークルミラー……ちゃんと切ったよな?」

「………………………………」


 何でそこで無言になるんだよ! クロニア! えっ、ちょ、ちょっと待て! 

 

「あ~……ヴェルトクンゴメンヨ。ワタシ、サークルミラー、キルノワスレテタヨ」


 こいつ、何をいきなり片言になって、とんでもないこと言ってやが……ッ!

 ってことは、今の俺たちのやり取りも全部?

 俺は、恐る恐る船の窓から浜辺を覗き見た。

 すると……



「さて、百合竜、そして暗殺ギルドのサルトビ。それとフルチェンコ。これからのことを王都に戻って話し合うでありんす。わっちらも経済的な損害や騎士団の被害を受けているわけでありんすから、無罪放免とはいかないでありんす。ただ、その落とし所は、『ストリームが好きなわっちの新しい義理の弟』と交えて、決めるでありんす」


「分かりました。オレたちもラクシャサ様の想いや、『ストリームが好きなリモコン様』にあれほどの心遣いを示していただいた以上、大人しく降伏します」


「うう、私たち、本当にあのおっぱい大好きハーレム朝倉の国に行かないとだめなのかなぁ?」


「うん……それしかないよね……」


「いやぁ、兄貴としては妹が愛されるのはええことやけど、ヴェルトもすっかりおっぱい星人やなぁ!」


「しかし、婿殿もワシと同じで小っちゃい乳も愛せる男でよかったわい! ユズリハ、孫は最低五人じゃぞぉ!」


「まぁ、吾輩としてはオリヴィアが嫁の一角に食い込めたので良しとしよう。これで吾輩も世界会議に前のめりに参加できるというもの。オリヴィア、同じ魔族としてウラ・ヴェスパーダに負けるでないぞ。お前も、ふわふわエッチとやらを早く体験させてもらうのだ」



 アアアアアアアアッ! つか、あいつら、俺抜きで普通にもう話し合ってるし! つか、聞かれてるし! 俺をからかいながら重要な話してるし! 



「のぉおおおおおおおおお、全部聞かれたぁぁああああああああああ!!!!」



 くそ、たまに素直になったかと思ったらこれだ。もう、嫁問題でこれ以上カオスになるのは勘弁して欲しいぜ。



 そんな想いを抱いたまま、俺たちはとりあえず今後の話を進めていくうえで、チェーンマイル王国へと招かれることになった。

 



 一旦、嫁問題は落ち着かせ、リリィ同盟やラクシャサについてこれからどうしていくかについて話し合う……そう思っていた。



 でも、俺はまだ甘かったようだ。




 今回、嫁たちが集まって、俺がデレたということが世界同時放映されてしまったことで、この状況に立ち会えてなかった二人の嫁。





 この二人の嫁の襲撃が刻一刻と、俺の側まで近づいていた。



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