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異世界クラス転生~君との再会まで長いこと長いこと  作者: アニッキーブラッザー
第十二章 お前との再会からも長いこと長いこと―神世界

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第479話 お仕置き

 出前を終えた、ハナビ、ムサシ、そしてコスモスが店に戻ってきた。

 コスモスは一目散に翼をパタつかせて俺の胸にダイブ。

 すると、その光景を目の当たりにした五人組が、勢いよく立ち上がった。



「ッ! エンジェルタイプッ! 鳥とヒューマンのミックスではない! 紛れもなく、エンジェルタイプの子供ッ!」


「どういうこと? エンジェルタイプは地上統一の日までは地上との関係は持たないはずじゃなかったの?」


「いや、それよりも待て! あの子供、今、そいつを父親だって叫んだぞ? どういうことだよ、エンジェルタイプは女タイプで、単独で子を産む仕組みだったんじゃねえのか?」


「あっ、でも、確か教科書では…………仕組み的には、他種族と交配することは可能だって…………書いてなかったっけ?」


「ちっ。どうやら、地上もかなりややこしいことになっているようだな」



 いきなり椅子を倒して乱暴に立ち上がった五人。

 コスモスは当然キョトン顔だ。

 そして、別にこいつらが驚いて立ち上がったことぐらいは、俺も許す。

 だって、コスモスが可愛すぎて驚くとかも考えられるから、それぐらいは俺も許容する。

 だが…………



「おい、そこのエンジェルタイプの小娘、お前の一族は何をやっているんだ!」


「へうっ?」


「全く、我らと最も近い血筋の生命体が、よりにもよって原始人と交わるなど、どういうつもりだ! お前の母親はどこだ!」



 これだけは許さない。



「ふぇ、はう、あ、うえ、うぇ……うぇ~~~~~~~~~~ん」



 コスモスを…………泣かしやがった…………

 訳が分からず、いきなり怒鳴られれば、泣くに決まってる。三歳児だぞ?


「…………ムサシっ! コスモスを」

「御意ッ!」

「う~~~ん、え~ん。パッパ~、パッパ~!」


 泣きじゃくるコスモスをムサシに預け、俺の体は一瞬で、グリーンとかいう奴の前に立ち…………


「テメェ、俺の娘に何を―――――」

「邪魔だ原始人ッ!」

「あ゛?」

「ショックウェーブッ!」


 グリーンがただ、手のひらを俺に向け、スーツに覆われた右手のひらの中心が赤く光った瞬間、俺は壁までぶっ飛ばされた。


「ヴェルトくんッ!」

「ちょ、あなたたち、どういうつもりっ?」

「ッ、仕方ない、店の人は今すぐここから出るんだよ! ペット、あんたは誘導しな」

「う、は、はいっ!」


 やられた。壁にめり込むほど、何メートルも飛ばされた俺。

 しかし、その俺に対して、グリーンとかいうやつも、他の連中も大して関心は無さそうだ。



「ちょっと、トラブルは極力禁止でしょ? それに、地上ではスーツの充電はできないから、節約しなさいよ?」


「がっはっはっは、まあ、これはグリーンも不可抗力だろ。それに、そのエンジェルタイプには、色々と聞かねーといけねえからな。主に、そのガキの母親にだがな」


「うわ~、めんどくさいな~、ほら、この人たちも怒ってるじゃない。どうするの? しかも、そこで睨んでる女の子達、多分『騎士』っていう戦士みたいな奴だよ?」


「構わん。所詮原始時代の猿だ。トラブルは禁止されているが、トラブル処理であれば問題ないだろう。報告書では濁しておく」



 壁に打ち付けられた俺の耳に入る、気に食わない雑音。そして、先生やカミさんの声。



「テメェら、俺の店でなにやってやがるっ! 俺の孫にどうしようってんだ!」


「ハナビ、コスモスちゃん、こっちに!」


「貴様らッ! 拙者の旦那さま~、じゃなくて、ごほん! 殿に手を出したこと、死ぐらいで償えると思うなでござるっ!」



 そんな声を聞きながら、俺は思わず言っちまった。



「おいっ! そこのカス五人組ッ!」



 カス。

 俺に興味を示さなくても、流石にカスと言われれば反応する。

 五人は一斉に俺に振り返った。



「おい、そこの原始人。今、なんと言った?」


「野蛮な口の利き方だゾ」


「がっはっはっは、無知ゆえの無謀な発言ってか?」


「うわ、ちょっと今のは頭に来たよね~、まさか地上人にカスなんて言われるなんて、二千年前のご先祖様は誰も想像してなかっただろうし」


「ふ~、くだらん」



 反応はそれぞれといえど、共通するのは全員俺の発言に気に食わないと思っているところ。

 でも、だからこそだ。



「なあ、何でよりにもよって今日なんだ?」



 心の底から思ったことを俺は言ってやった。

 すると、俺の発言の意味が分からずに、パープルとかいう女が訪ねてきた。


「今日? 今日は何かあったの?」

「ああ。最悪の日なんだよ」

「?」


 だって、そうだろ? 最悪だよ。



「俺が半年前に帰ってきて、いくらでもタイミングはあったはずだ。なのに、何で今日なんだ? テメェら自信過剰に粋がってるのもいいけど、よりにもよってこんな最悪な日に来て、問題起こさなくても良かっただろ?」


「だから、何が最悪の日だというの?」



 だから何で? 言わねーとわかんねーか?

 ほら、例えばだ…………



「あ~、もう、うるせえ原始人だな。仕方ねえ、俺のパンチ一発で、ちょいと黙らせてやっ―――――――」



 巨漢のオレンジとかいう奴が俺に向けて拳を振り上げようとした瞬間、その手首を掴んだスーパーマッスル野郎とか。



「…………おい、なんだ~、デカイの。俺の手首掴んで何しようってんだ?」

「店で暴れるな」



 さらには…………



「ぐふふふふふふふふ、何者かは知らぬが、これは正当防衛なのだ。のう? ヴェルト。確か、正当防衛ならレイプしても良かったはずなのだ。とりあえず、妙な服は剥ぎ取ってやるのだ。そこの、パープルとかいうのと、アイボリーとかいう娘」


「はっ?」


「えっ?」



 今、この瞬間、俺は心の底からお前を応援する日が来るとは思わなかった。

 遠慮なく犯せ、エロスヴィッチ! 



「ちっ、仕方ない。全員、スーツの力を解放しろ。油断はするな」



 そして、俺たちをゴミクズのような目で見ながら、それをめんどくさいけど掃除するか的な表情で偉そうに仲間に命令するブルーとかいうやつ。

 その言葉に全員が頷いた瞬間…………



「うぐぬうううう、婿殿~っ! 頼む、公園で遊んでいる子達の母親に誤解を解いてやってくれ! 私はただ、遊んでいる純粋無垢な子達を持って帰ろうとしただけで、ん? なんの騒ぎだ?」


「ふわ~~~~~あ、やあ、ヴェルトくん、おはよう? それともこんにちわかな? やっぱり朝も昼間も僕は苦手だし、枕も変わると寝にくいし、ホント、ムカつくよね? で、何の騒ぎ? 今、イラついているから、全員殺しちゃうよ?」



 もう、それは誤解とは言えねえが、あとで一緒に謝ってやるよ、リガンティナ。

 そして、いいぞ、俺たち以外なら殺しても。ジャレンガ。



「エンジェルタイプがもう一人? は~、やれやれだ。一体この世界はどうなっているのやら。これは、早々にゴミを掃除して真実を確かめる必要があるな」


「ああ。なら、そのゴミ掃除は手伝ってやるよ、緑野郎」


「ッ!」



 世界見渡しても、強さは関係なく、最悪にヤバイのトップ十に入る連中大集結。

 そして…………



「原始人め、本当に無知は羨ましいものだな。まさか、お前が今、話している者たちがこの世界の『創造神』の血族とは想像もできまい」


「いーや、想像できるぞ。頭のイカれた電波野郎どもってな」


「……ふっ、まあいい。こういう原始時代の連中を、文明を極めた我らの力で無双するカタルシスを味あわせてもらおうかっ! バトルスーツ開放ッ! 音速の動きを見せてや――――」



 そして、今は俺が居る。



「魔導兵装・ふわふわ世界ヴェルト革命レヴォルツィオーン!」


「………えっ? ッ、は、はやっ!」


「そんじゃあ俺も……」


「ッ!」


「思い上がった連中を相手に無双するカタルシスを味あわせてもらおうかッ!」



 俺もまた、半年ぶりに開放。大気中の魔力を俺の魔法でかき集めて身に纏う闘法。

 なにやら、グリーンも動こうとしたようだが、俺の動きにまるで反応できず、簡単に懐に飛び込めた。

 そして、あとは、右拳で顎を力の限り打ち抜いてやる! 俺のコスモスを泣かせた怒りを万倍にして返してやるためにっ!



「ぐ、グリーンッ!」


「な、なんなんだ、あの野郎はッ!」


「うそ、み、見えなかった! なんで? なんでスーツもないのに、あんな力がッ! あの地上人は一体ッ!」


「ッ、これは、一体…………ッ!」



 手応えは、気の毒に思うぐらいにあった。多分、顎を粉々にへし折っちまったと思う。

 打ち上げられたグリーンは天井に勢いよく激突してから床に落下。

 飛び散るテーブルの皿やらラーメンやらを浴び、ドロドロの姿で、顔面が痛々しいぐらいに腫れ上がり、涙目になってやがる。


「ひゃ、ひょ、ひょんあ、ばきゃな、ぐ、お、おまえ、な、にゃに、もの」


 砕けた顎でうまく喋れないだろうに、頑張って喋った緑野郎に敬意を評して俺も答えてやった。



「俺は麦畑で生まれたこの世で最も凶暴な奴だよ」



 さあ、マナーの悪いお客さんをお仕置きするとするか。


 俺、ムサシ、バスティスタ、エロスヴィッチ、リガンティナ、ジャレンガの手で……うん、オーバーキルのような気もするが、コスモス泣かせた奴らに同情しない!

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