八話 我が家
風来亭を出て、トライさんとフレアさんに付いて行く。
これからお世話になるので、しっかりと恩返しをしていこうと思う。
まず、何をしたらいいのかもわからないので、よく考えてみることにする。
しかし、考えていると2人が手を差し出して来たのに気付く。
どう言うことか不思議に思っていると、両手を取られてしまった。なんて言うか、少し照れるね。
「それじゃあ行こうか?」
「そうねえ。これから何かしたいことでもある?」
問われたので、私はこの村のことを知りたいなと思い
「この村の案内をしてくれると嬉しいです」
「それじゃあそうしよっか?フレアもいいかい?」
「それなら、服を買いにいきましょう。流石にこの格好は不味いわ。それに素材がいいんだからしっかりした物を見繕ったほうがいいわよね」
「あー確かに」
褒められているのがわかって、なんとも恥ずかしい気持ちになってしまう。
そして、私は、つい下を向いて返事をしてしまう。
「よろしくお願いします」
そう言ってしまえば、2人は微笑みながら頷き、服屋さんに連れて行ってもらうことになった。
「取り敢えず、最低限のものは揃っただろうし、他には何か必要なものはあるかしら?」
「まあ大丈夫かな?あとは、色々な家に訪ねたりして、自己紹介もしておこう」
そして、陽が傾いた頃に家へと案内して貰った。
贅沢だと思ったが、空き部屋があるからと言って、自室も与えられた。
押し切られてしまって、断る事は出来なかった。
主に、フレアさんが、女の子なんだから!と言って。
今日からは、ここが私のお家か。村の人達は、みんな優しかったし、出来れば私も働きたい。
でも、どうしたらいいのかわからないので、またアイちゃんに相談してみることにする。
『私に出来ることって何があるかな?』
《そうですね、練習すれば色々なことができると思います。なので色んな人に質問して、教えて貰うのが良いと思います。あとは、私からは鍛錬をすることをお勧めしますよ?》
『ふむふむ、アイちゃんが、言うならばやってみようかな?鍛錬は1人でも出来るの?』
《そうですね。可能な物もあるので、それも合わせて質問してみるのがいいですね。》
『あれ?教えてくれないの?』
《私には、肉体がないので教え辛いのもありますし、そもそも教えてもいない物が、急に出来ると、不審に思われてしまうかも知れませんから》
『村の人たちに?』
《そうですね》
『疑いすぎじゃない?』
《そうかも知れませんが念のためですよ。いずれ理解する時がくると思います》
『ふーん?』
釈然としないまま、その時の話は終わり、そのまま眠りにつくのであった。
これからクロとアイちゃんの2人の話が特に多くなる予定です。(気分次第で変わるかも)