七話 村の人たち
ご飯をご馳走になり、お腹も膨れたので元気になると、何だかフワフワとした感覚に包まれ、意識がゆっくりと離れていく。これはきっと、眠気だと気づいた時には遅く、微睡に沈むのであった。
「ありゃ寝ちまったか?食事の途中で寝ちまうなんて」
「どうする?この後村長さんのとこに行かないとまずいんだが、起こすしか無いか?」
「いやまあいいだろ?俺が呼んでくるよ」
「すまん。たのめるか?」
「おうよ」
そうして、アルバスはご飯を食べて村長宅へ向かったのだ。
「そうですか。まあ、いいでしょう。そのかわり、トライさん夫婦が保護すると言うことで、お願いします。何かあったら連絡してください」
そう言って、年配の男性は席を立ってからお店を出る。話し声が聞こえて、つい先ほど意識を取り戻した少女は、顔を上げて辺りを見回す。
「あー起きたかい?急に寝ちゃうからびっくりしちゃったよ」
そう言って、トライさんが笑う。周りにはたくさんの人が集まり、何だか穏やかに笑いつつ、こちらを眺めている。そしてつい、対面に座る女性と目が合ってしまったので、目でお辞儀をする。その人はとても美人な女性だった。
「おはよう。あなたがクロちゃん?私はフレア。そこのトライの妻です。よろしくね」
「よっ、よろしくお願いします。トライさんには、遭難していたところを助けていただき」
「あーいいのいいの、細かい内容以外は聞いたから、また後で聞くことにするよ。それよりも、あなたが良ければうちに来る?家とか食べ物とかないんでしょ?」
「迷惑じゃないですか?」
「いいのよ。こんな小さな娘を放ってはおけないわ。それに、うち以外適当なとこが無いだろうし」
そう言うフレアさんに、被せる様に発言するカナさん。
「うちはどうですか!?働き手も増えるし、それに‥‥うへへ」
「何だかあなたには預けられない気がするわ」
そう言うフレアさんと頷く周囲の人たち。さらに、それに合わせて背の高いおじさんが言う。
「カナよりも真面目そうだし、カナをクビにして雇うのもありかもな。将来有望そうだしな」
「お父さんまで!?みんなひどくない!?」
それに合わせて笑い合う皆。なんだか、それに釣られて自分も一緒に笑ってしまう。ここの村でなら楽しく過ごせそうだなと思い、私は心から笑うのであった。
結局は、トライさんたちのお家にお邪魔することに満場一致で決定しました。また後日、村を探検したり、いずれ働いてくれるといいと言うことで決定しました。