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黒龍の少女  作者: 羽つき蜥蜴
三章 慈愛
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六十七話 合否発表

目的を達成した少女はその成果を眺めている。毎度お馴染み?の狩った後のどうしようか問題に直面しているところである。仕方ないから担ぐか、そう考えて持ち上げようとすると


「良くやった。結果は帰ってからになるが、ほぼ間違い無くCランクへと昇格だな」

「あ、ありがとうございます」

「さて素材は俺たちが持つが問題無いか?」

そう言われて私は、持ってくれるならありがたいと思う。面倒だし。

「うん」

「さて、帰ろう」


こうして4人組に続いて私達は街へと戻る。退屈なのでアイちゃんと今回の結果をおさらいをするため話しかける


『ねえ?どうだった?』

《そうですね。幾つかお伝えすることがあります。良い判断でした。が、もしあのまま切っていても血は飛び散る事は無かったです》

『ど、どうして?』

『断面は繋がったままだったでしょうから、切った後避ける判断でも間に合っていたからです』

『そっか』

《次に、撫爪を使わなくて良かったです。人間がもし見たら魔法だと勘違いする可能性がとても高いです》

『やりすぎるかな?と思って使うのを止めたんだよね』

《成る程。さて私からも聞きたいのですが、止めを刺すのが苦手なのは何故ですか?》

『うーん、なんとなく嫌なんだよね』

《解体は躊躇わないのに?》

『だってあれは素材だもん』

《どう言う基準ですか?》

『自分でもわからないけど、なんとなくこうフッと冷静になる時があるの。その時は怖くなくて、なんでも出来る気がする』

《ふむ、混ざった結果でしょうか》

『え、なに?』

《あ、いえ。なんでもないです。よく分かりました》


そう言われて会話が終了した。丁度街へと辿り着いたのでギルドへと向かう。今回は受付へと並ぶのではなく会議室へ直行するらしい。椅子に座ってのんびり待っているとチルダさんが入って来て向かいに座る。封筒をテーブルに置いたチルダさんが話し始める


「さて、お疲れ様でした。それでは四翼さん報告をお願いします」

「文句のつけようが無い。1人で完全に対処出来ていた。はっきり言って俺たちより優れているかもしれない」

「そこまで、ですか?」

「ああ」

「そうですか、わかりました。ではルビー君は何かありますか?」


そう問われても何も無い気がする。それよりも早く帰りたい。リナちゃんが泣いてるかもしれないからね。一応考えたが何も出なかったので


「特に無い」

「そうですか。ではこれが身分証です」

そう言って封筒を差し出す。あまりに早く疑問に思い


「え?早くないですか?」

「いえ?Cランクになると思ってましたから事前に作っていたのですよ。ルビー君は忙しいですからね。無いと困るでしょう?」

「あ、ありがとう」


いや、まあ確かに無いと困るのは確かだけど、それにしたって早過ぎる。また取りに来るのは面倒だったけど、なんだかなあだよ。


「それでは試験は以上です。四翼さんありがとうございました」

「いや、こちらこそ色々面白かったよ」

そう言って私を見るリーダーさん。でも私は早く帰りたいので

「ありがとうございました」

そう言って部屋から退室する。少女の去った部屋では5人が話している


「ギルドからの依頼が来た時には、新人に格好いい所を見せようって思ったんだけどなあ」

「そうですね。どんな感じでしたか?」

「いやー、たったの一撃だよ。ナイフの腹で魔物の頭を叩いて終わり。その後止めを刺すまでが早過ぎた」

「冷静ですね」

「驚いた素振りが見られなかった。まあ仮面を被ってるから見えなかっただけかもしれないけど、緊張した様子では無かったよ」

「ふむふむ」

「魔物を見たと思うけどかなり大物だよ。Cランクでも弱い方の魔物だとしても、流石にあのサイズは中々見れないよ」

「確かにそうですね」

「最近の子供は凄いんだなあと思うよ。クロ嬢ちゃんやルビー君みたいな子供がいるんだから」

「あー、そうですねぇ」


受付嬢がそう言うとその場の雰囲気がしんみりとしてしまう。各々考えてる事には差異があるが、共通して言えるのは感心していると言う事だろうか?少女は居ないが、この場の話題は少女の話で盛り上がったのだった


リド防具店へと入れば店主さん、つまりリドさんが居た。一応挨拶をして着替えに奥へと行く。着替えて出てくればカバンが出来ている様子なので聞いてみる


「完成?」

「ああ、遅くなった。二日寝かしたから乾いたはずだ」

「ありがとう」

「いや久しぶりに仕事をした気がする」

「えー」

「ま、何かあったらまた言ってくれ」

「うん」


このままリド防具店を後にして宿へと帰る。

どうやらお昼時なのでお客さんが沢山居る。見慣れぬ光景を目に収めたので凝視すると、少しブカブカのフリフリを着ている幼女が女将さんに教えてもらいながら働いている。一瞬脳がフリーズしたが、慌てて冷静さを取り戻し女将さんのところに行く


「これは?」

「いやぁ、リナちゃんが働きたいって言うから教えてあげてるのさ」

「この格好は?」

「クロに着せようと思っていた制服だよ」

「え?これを私が?」

「ま、まあ」

「えっと」


《中々どうして良いではないですか?是非着ましょう》

『え?嫌だよ。可愛いけど恥ずかしいし』

着替えるつもりは無いと、拒絶をすると


「おねえちゃんとおそろいだね」

と眩しい笑顔を向けてくる

『うぐ、笑顔が眩しい』

《多分着てあげないと泣きますね》

多分私は表情が歪んだのだろう。それを見て


「おねえちゃん、いや?」

少し悲しげなリナちゃん。店内は静まり返り全員にガン見されている気がする。完全にアウェーであり逃げられそうも無い。そもそも昼はお仕事では無い筈なんだけど、そう思いながら着替えを持ってとぼとぼと奥へと行くのだった

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