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黒龍の少女  作者: 羽つき蜥蜴
三章 慈愛
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六十五話 再・再会

さて私のご飯を食べて満足したのか、リナちゃんは頭を左右にフラフラと揺らしていた。仕方ないので部屋に連れて行こうとしたのだが、リナちゃんが

「いや!おねえちゃんまつの!」

と駄々?を捏ねてしまいそれならいっその事と判断したのだろうイミナさんが

「それならお姉ちゃんと一緒に部屋に戻るかい?」

「でも、それは」

「いやいや、そんな状態だと集中出来ないだろう?それにまあ客足はほぼ止まったからねえ、もう大丈夫さ」

「わーい!おねえちゃんといっしょ!」

「ほら、リナちゃんもそう言ってるだろう?」

「うう、わかりました」


あまり断るのも悪いと思ったが、昨日に続き今日までこんな感じで良いのだろうか?とても不安である。とは言え明日は大事な試験なのでとても有難い。リナちゃんをおんぶしてあげて部屋へと連れて帰る。


看板娘が部屋に帰って行くと冒険者達は雑談をしている

「あーあ、あとちょっとだったのになあ」

「今日も駄目だったかあ」

「うん?なんだい?どうかしたのかい?」

「いやークロ嬢ちゃんの笑った顔が見たかったんだよ」

「あぁ、確かにあまりあの娘は笑わないね」

「めちゃくちゃ可愛いんだから、笑ったらどうなるのか一度見てみたいよな」

「あんたらそれが目当てかい」

「いや?この店の料理も目当てだが、あの娘の笑顔を一度でも見てみたい」

「一応表情に変化はあるんだよ?」

「まあ雰囲気が変わるよな。周りの空気が変わると言うか」

「確かに。今日は一日中雰囲気が柔らかかったな」

「妹ちゃんのおかげかな?」

「だろうな」

「あの娘も恐らく訳ありだから優しくしてやっておくれよ?」

「そりゃあもう」


そんな事を言い合っている。例にもよって少女が知る事はないのだが


部屋に戻った私はリナちゃんを下ろしてあげてベッドに寝かしてあげる。しかしリナちゃんは私を待っている様子だ。なので私も一緒に横になる。仕方ないよね?泣きそうになるから。なんて心の中で思うと


《誰に言い訳してるんですか?》

『なんでも無い』

《そうですか?今更ですがクロの考えはお見通しですよ?私には隠せませんから》

『え?じゃあ私の独り言も全部?』

《ええ》

『なんだか急に恥ずかしくなって来たんだけど』

《今更ですよ?私は貴女の全てを知っていますからね。どこをくすぐられると弱いのか等々》

『なんで知ってるの!?私ですら知らないのに!?』

《それは内緒です》

どうやらこれ以上話すつもりは無い様だ。会話を断ち切られる。


そしてその日は眠り、朝起きて出かける準備をする。どうやらリナちゃんはまだ寝ている様だ。頭を撫でてあげて宿を出る。

まずは変装をする為にリド防具店へと向かう。日が出て間もない時間帯でほんの少し肌寒い。夏ではあるが朝は少し涼しい。この時間帯であればあまり人々はいない。時折冒険者らしき人がギルド周辺を通ってはいるのだが、それとすれ違う様に歩く。流石にこの時間は店は開いていないので裏口から入る。私がいつでも入れる様に裏口を開けてくれているのだ。個室へと行き私はルビーに変装する。


リド防具店を出てギルドへと向かう。カバンだけはまだ出来ていないのでそれ以外は忘れ物も無いはず。程なくしてギルドへと辿り着き受付へと並ぼうとしたが、チルダさんに手招きをされてまたもや会議室へと向かう


「おはようございます。試験を受けに来たと言う事で良いですね?」

「うん」

「では説明しますね。まずはある先輩冒険者達と一緒に依頼を受けて貰います。難易度はCランク相当で、基本は手助けは致しませんので、ルビー君の思う様にこなして下さい」

「ふむふむ」

「つまり先輩冒険者は君に評価を下す人なので基本は仲良くして下さい」

「わかった」

「依頼の概要は先輩方から確認して下さい。合流してからが試験ですから。またその冒険者達に何か理不尽な事をされたら報告して下さい」

「うん」

「では、以上です。私がお呼びして後は引き継ぎますので、また帰って来てから報告をお願いします」

そう言ってチルダさんは部屋から出て行く。


少し待ってから複数の足音と話し声が聞こえる。なんだか聞き覚えのある声な気がする。

入って来たのはあの4人だった。確か四翼とか言うパーティー名だった気がする。何かと縁がある気もするが、多分チルダさんなりの気遣いなのだろうなと思う。とても動揺している私だったが恐らく振り切れたのだろう、逆に冷静になってしまう。


『な訳ないでしょ!?冷静になれるか!なんでこの人達なの?私今変装してるんだよ!?』

《まあまあ落ち着いて下さい。ブランさん?は貴女を知っているのでフォローとかしてくれると思いますよ?》

『人任せじゃない』

《まあ、そう言う物ですよ》

『考えても仕方ないか』

そう脳内で愚痴る。取り敢えず挨拶しとこ。バレないように祈りながら


「よろしくお願いします」

「おーこの前の君か、Eランクでヘイトタイガーを倒したと言う」

「一応」

「いやー最近の新人さんは凄いよなあ。僕たちもここまで来るのにかなり苦労したしね」

しみじみと語りだすリーダーさん、若干面倒くさい

「は、はあ」

やや返答に困っているとブランさんが

「この子も困ってるからその辺にしてくれ。それよりも俺たちは仕事で来てるんだから早く説明をしてやってくれ」

「おっと!そうだな。ごめんよ」

「い、いえ」


気を改めてリーダーは話し始める

「今回の依頼はホワイトスネークと言う魔物の討伐だ。一応Cランクの魔物だけど、毒が危険なだけで弱い魔物だよ。その対処やらを見たりするのが僕たちの役目で、基本は手助けしない様に言われてる」

「はい」

「まあ危険だったら助けるし、解毒薬もあるから安心してね」

「わかりました」


説明も終わりリーダー達に続いてギルドの外に出る。気合を入れて頑張るぞと内心で思いながら歩きだしたのだった。


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