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黒龍の少女  作者: 羽つき蜥蜴
三章 慈愛
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六十三話 姉妹

少女は昨日幼女?を抱き締めたまま寝てしまっていた。気付けば朝であり、昨日は仕事があった筈だがそれも忘れて寝落ちしてしまっている。マズいと思い女将さんに謝りに行こうと思い起き上がる。

既にリナちゃんは起きていて、寝て少し落ち着いたのか私に抱き付いては来なかった。少し寂しいのは内緒。手を差し出して遠慮がちにこちらを見つめて来るリナちゃんに私は我慢が出来ず抱き締める。結局私もリナちゃんには甘々である。ある程度堪能したらリナちゃんから離れて部屋を出ようとするとついて来るらしい。止める理由も無いのでそのまま食堂へと向かう。


女将さんがいたので真っ先に謝る

「すみませんでした!」

「ん?朝からどうしたんだい?」

「昨日は仕事を休んでしまって」

「ああ、そんな事かい。様子を見に行ったら2人して寝てたから、起こすのも悪いと思ってそのままにしたんだよ」

女将さんの言葉を聞き、どう言う事か理解したのだろうリナちゃんが

「ご、ごめんなさい」

と謝る


その言葉を聞きキョトンとした表情の女将さん。そしてすぐさま表情を変えて笑いながら

「アッハッハ!あんた達は本当に、よく似た姉妹だね!良いんだよ?気にしなくても」

そうは言ってくれたが、私も再度謝る

「ごめんなさい」

「だから気にして無いよ?それよりもだ、2人とも名前はなんて言うんだい?」

「そう言えば自己紹介した事無かったです」

「まあ今更なんだけどさ、流石にお嬢ちゃん呼びをずっとはアレだからね」

「私はクロです。そしてこの子が」

「りな、です」

「そうかい。私がイミナで夫がバルトだよ。改めて宜しく頼むよ」

「はい、こちらこそ迷惑を掛けると思いますがよろしくお願いします」

そう言って深々と頭を下げる。

チョイチョイと裾を引っ張られたのでリナちゃんを見ると

「わたし、めいわく?」

と聞かれるが私はリナちゃんとおでこをくっ付けてから言う

「気にしないで、私が好きでやったんだから」


その言葉を聞いたリナちゃんが泣き出す。その状況に私は慌ててしまう。リナちゃんが抱き付いて来たので背中をさすってあげる。


リナちゃんを相手しているとアイちゃんが話しかけて来る

《全くもう、貴女は本当に。しっかりと責任を取ってあげるのですよ?》

『それは勿論。それよりリナちゃんの今後どうしようか?』

《そうですね‥‥‥取り敢えずお風呂でも行って来てはどうですか?入った事無いでしょう?気持ち良いらしいですよ?》

『そっか。身体を洗ってあげないとね』

《確か宿を出てすぐの所に銭湯がある筈です。朝ごはんを食べたら行ってみるのはどうですか?》

『うん、わかった』


話していたらリナちゃんも泣き止んだので席に座らせてあげる。何故か冒険者さん達は私達を見ていて感動したのか泣いている。意味は分からないので放置する事にした。ご飯を取りに行こうとするが、女将さんが持って来てくれたのでお礼を言って食べ始める。リナちゃんも私を見て食べ始めたので安堵する。


食事を終えたら翠木亭からでて冒険者さんから仕入れた情報で銭湯を探す。本当に聞いた通りの近さで、歩いてものの数分と言う所で辿り着く。

2人分のお金を払って女湯へと向かう。服を脱ぎながら思ったのだが、朝からお風呂に入る客はいない様だ。つまり貸し切り状態である。リナちゃんは私の身体をじっと見つめて言い放つ


「きれい」

その言葉を聞き私もリナちゃんを見ると身体中に青い跡があり、それを見て心がチクリとする。見ていられずそっと抱き締める。少し撫でてあげてから手を繋いで言う


「さあ、入ろっか?」

「うん」

リナちゃんの身体を洗ってあげて、浅めのお風呂へと浸からせる。どうやら気持ち良いらしく、とてもリラックスしている。私も自分の身体を一応洗っておく。洗い終わった頃に気付いたのだがリナちゃんの顔が赤くなっており、間違いなくのぼせている。殆ど元気も残っていないようなので抱えてあげて一緒に出る。

結局私はお風呂に入れなかったがまあ仕方ない。素早く着替えだけ済ませてから、飲み物を飲ましてあげる。喉が乾いていたのだろう直ぐに飲み干している。

かなり復活出来たみたいなので宿へと戻る。自室へと戻ればアイちゃんから


《さて、明日の試験をどうするかですね》

『リナちゃんがお留守番してくれれば良いんだけど』

《まあ話してみてはどうです?》

『そうだね』

「ねえ?リナちゃん」

「なあに?お姉ちゃん」

「明日ね、大事な試験があってね?1人でお留守番をしていて欲しいんだけど」

その言葉を聞いたリナちゃんは私から目を離し、少し寂しそうにしてからまた私を見つめる。そして意を決したのか言う

「おねえちゃんは、わたしをすてない?」

「うん、約束する。用事が終わったら直ぐに戻って来るよ」

とても我慢しているのだろうコクリと頷く

私はそれを見てリナちゃんを撫でてあげる。


一応明日の試験は問題無く参加出来るだろう。取り敢えずは試験だが、片付いたらリナちゃんをどうするかを決めなければならない。私が責任を持つと決めたのだから今更手放すなんて事は出来ない。今日は夕方までリナちゃんと遊びながら対策を練るのだった

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