五十五話 武器
少女は役目を終え再度お買い物へと行く。一応カバンを担いで行く。とは言うものの特に欲しいものは無く、商業区を練り歩く。ふと目についた小綺麗な建物に入ってみるとそこは武具屋らしい。商品が並べられとても輝いている様に見える。それを見ている少女の目も輝いているのだが。見渡してみたが店員さんはいない。それを不思議に思っていると奥から人が出てくる。その人は背が低い。髭を生やしているのである程度は歳をとっている事は間違い無いが、身長は少女より20cm程度高いくらいである。そんな事を考えていると
「おう、いらっしゃい。何が欲しいんだ」
「あ、いえ。たまたま気になったので」
「おうそうか。冒険者には見えねえが護身用ならあの辺だから好きに見てってくれ」
そう言いながら安売りコーナーを提示される。だが私が気になるのは全部なので手当たり次第に見てみる
「ん?武器が好きなのか?」
「わからないけど、気になって。ここは作成依頼とかも出来るの?」
「一から作るなら材料が要る場合もある。まあ適当なものならこっちで用意したものでオーダー受けるぜ」
会話をしているともう1人出てくる。この人はまあまあ身長が高い。見た目の年齢は30前後だろうか?そう眺めていると急に
「ここは子供の来る様な店じゃ無いぞ。冷やかしなら帰れ」
と、凄い剣幕で怒鳴られる
その様子に萎縮してしまい
「あっご、ごめんなさい」
つい謝ると店員さん達が言い?合う
「まて、それはいくらなんでも無いだろう」
「ですが!先生の武具は女子供に理解出来る物では無いです!」
「お客さんにその態度は無いだろう。奥に下がって修行してろ」
「先生!」
「命令だ!下がってろ」
なんだかとても居た堪れない。帰りたくなってきた。さっきの人は奥へ帰って行ったけど完全に萎えてしまった。折角楽しい気分でお買い物をしようと眺めていたのにと思っていると
「悪かったな。あんなでもうちの弟子でね。そこにあるものなら無料で一本あげるからどうか許してくれ」
物に釣られるのは癪だけどまあ貰えるならと思い、セール品を眺めてみる。一際輝いている、所謂掘り出し物と言う奴だろうか?そんなナイフを見つける。それを手に取り眺める。持った瞬間に何かに反応したのか黒く光を放つ。
「コレは?」
「お、おう。確か黒龍の鱗と鉄を使って出来たナイフのはずだが、お嬢ちゃん魔力があるのか」
「普通は魔力がないの?」
「いや普通は皆魔力を持っているが、そのナイフが反応するほどの奴はいなかったからな」
「ふーん」
「どうする?」
少し考える。このナイフなら私の魔力を流しても壊れないかもしれない。なのでコレを主武器にすれば良い気がする。まてよ?この前のミスリルで強化出来ないだろうか?
「ミスリルでこのナイフ強化出来る?」
「な、なんだと!?持ってるのか?」
「答えて」
「そりゃ、問題なく出来るが」
「じゃあコレ貰っていい?」
「あ、ああ構わん」
「じゃあ今からミスリルで強化して欲しい。どれくらいかかる?」
「金額は銀貨2枚だがあるか?時間については三日程欲しいな」
「どちらも問題ない。じゃあコレ」
そう言ってカバンからミスリルとお金を取り出し依頼をする。
すると店主さん?が
「本当に申し訳なかった」と頭を下げる
それを見て正直な感想を述べる
「ハッキリ言って帰ろうかと思ったけどね」
「う、すまない。お嬢ちゃんは冒険者かい?」
問われたが一応嘘を吐く。今はクロなので
「違うよ。それより外からは見えない様に包んで欲しい。また三日後に来る」
「わかった」
偶然ではあるが武器の目処が立ち、一応今後は冒険者としての装備は問題ないだろう。漸くミスリルの有効活用が出来るのでやる事は終わったと言わんばかりに宿へと戻るのだった