四十九話 神達の談話
そこには赤髪の少年と銀髪の女性が居た。その2人は雑談をしている。
「はてさてイヴちゃんだっけ?どうなっただろうね?」
「そうですね生きていてくれるといいですが。彼女はとても良い子ですから、ひょっとしたら案外イヴと2人で共存しているかもしれませんね」
「アッハッハ、君はかなり夢を見がちだよね。そんな奇跡、神でも中々起こせないよ」
「理想を望むのはそんなに変ですか?」
「いや、失礼。僕も出来ればどちらにも頑張って欲しいと思うよ」
「兎に角、どちらだけでも助かって欲しいのです。最悪どちらも助からないなんて事も有り得ますよね?」
「ありゃ?バレてた?」
「当然です。物事が中々上手く行かない事はよく理解しております」
長髪の女性がそう言うと少年は黙る。少し静寂の後、雰囲気を変える為か少年が話し始める
「しかしまあ、君が神候補になるとはね」
「私も驚きですが、その口ぶりですと他にも候補がいたのですか?」
「君の近くにいたでしょ?星導の錬金術師、彼だよ」
「確かに彼は人々を助ける為、日々苦悩しながらも頑張っておりましたね」
「そうそう、彼になんでも作れる様に錬金術の秘術を与えたんだよ?でも彼は錬金術を今は辞めてるみたいでさ」
「へえ?でも彼は私が生きている間は錬金術をしていましたよ?」
「君が死んでから、辞めたんだよ。人の命を軽々しく扱う兵器を作れる自分に嫌気が差したのさ」
「確かに悩んでいましたね」
彼の話から錬金術の話へと脱線する
「そう言えば錬金術の秘宝とも言える賢者の石って知ってるかい?」
「一応は知ってますが、それさえあればなんでも作れると言う」
「そうその製法さ、与えたのは。原料はなんだと思う?」
「魔力の結晶とかですか?」
「そうだね。少し話は変わるけど、エリクシルも知ってるかい?」
「万病を治し、寿命を増やしてあらゆる怪我すらも治す秘薬ですかね?」
「原料は?」
「龍の血ですが‥‥‥まさか」
「そう、賢者の石の別名が龍血結晶だからねそれを知った彼はどうしたと思う?」
「後悔したとかですか?」
「少し違うね、彼は最初の方はそれに気付いてもなんら躊躇わなかったよ。人々のために龍をも敵にするとしてもね」
「私の娘が狙われると言う事ですか?」
そう言って少年を睨みつける
「まあまあ話は最後まで聞いておくれよ」
睨んでいた目つきを直し女性は座り話が再開する
「結局君たちの王は人を殺す道具を作る事を命じた、間違いないね?」
「はい」
「それで彼は後悔した。けどそれだけでは辞めてないんだよ。決定的だったのは君が死んだ直後に黒龍は人型でやって来て、その時に彼とイヴェトラ君は出会ったんだ。まあイヴェトラ君は君を抱えて泣いていたんだけどね」
「えっと?」
「その時君を抱えて泣いている黒龍を見て、自分はなんと愚かな事だろうと思ったんだろうね。その時から錬金術はしてないんだ。まあ仕方ないよね、女神を殺したのは人なのに真っ先に悲しんだのが、敵対している筈の龍なんだから」
「彼はどうなったんでしょう?」
「さあねえ?少し前まで繋がってたんだけど、あれ以来もう彼のことが見えなくなってね?」
「そうですか、無事でしょうか?」
「本質は変わらないと思うから、案外人を助けてるかもしれないけれどね」
暗い雰囲気で2人は話をしている。あまり重要な話は以降には無く、ありふれたどうでも良い話をしている。これを見る限りは神は案外暇なのかもしれない。そう思いながら女性は雑談を続けるのだった
とりあえずこんな感じで二章終わりです。次話から本編戻ります。
そんなことよりも章設定って結構面倒ですね。やろうかと思いましたが第二部分から一章にしたいのに出来ないのかな?と思いつつ投げてます。