四十八話 魂の出会い
深い意識の世界。辺りには何もない。そんな空間に漂っている私。私は誰?名は美冬。記憶は?‥‥‥ある。神様に頼まれたんだよね。確か世界の発展とかなんとか。まあ前世では何も出来なかったけど、今生では頑張ろう。待てよ‥‥‥また、ない。体が。そう体が無い。胸の話はしてない。これじゃあ何も出来ないよ。はあ、どうしよ?
そう考えていると小さな黒い球の様な物を見つける。弱々しい光を放ち、今にも消えてしまいそうな。直感で理解するアレは人だと。
近くに寄って話しかける
「あの?」
問いかけると一応か細い声で返事が聞こえる
「誰?」
「大丈夫?なんだか消えてしまいそうだけど」
「私のこと?多分もうすぐ溶けて消えると思う」
「え!?なんとか出来ないの?」
「それよりもあなたはなぜここにいるの?」
「えっと?助けに来たよ??」
言っておきながらもやや自信はない。人を助けた事などないから。
すると雰囲気が変わる
「ここは私の世界だ。居座るつもりなら食べてやろうか?人間」
言いながら殺意を飛ばしてくる。怯みそうになるが、耐えて質問をする。
「私を食べれば助かるの?」
「はあ!?何を言っている?人間如きが!」
「あーえっと、私ね、一度死んでるから。私の夢はね、人を助けることだから。最後に1人でも助けれたらいいなあって思って。ねえ?どう?助けられない?」
「お前を食べれば助かるかもしれない。だがそんな事出来るわけないだろ。」
なんだか諦めた口調でそう言う
それを聞き
「じゃあ、はい」
そう言って球体に近づく。そうするとなんだか小さな少女の様な人を幻視する。その表情は困惑と驚愕でなんだか可笑しい。
そして抱きしめる。すると魂が混ざり、私が飲み込まれて行くような感覚を覚える。意識は遠くなり、私の記憶が抜けて行く気がする。半分夢現の状態で意識も遠いが、声が聞こえる。
「うぅ、ぐす、何だこの人間は、何も疑いもしないで自分を差し出すなんて。ダメだよこんな事をしてまで生きるのはイヤ。」
少女は泣いている。しかし何かに気付いた様な表情に早変わりする
「待てよ?そうだ記憶を食べよう。貴女の魂を残して私は貴女の中へ。そうすればきっとどちらも死ななくて済む。そうだ私は黒龍。私に出来ないことなんてない。どんな反動が来るかはわからないけど、貴女に必ず返すよ。この命。だから少し記憶を返すのは待っててね」
ふわふわ浮かびながら考える。私は助けられたのだろうか?そんなことよりも、私は誰だろうか?記憶は?ない。何も。神様に頼まれた。世界をなんとかしてくれと。あれ?そうだっけ?多分頼まれた様な?まあいいや。人間は大した価値はないけど、いい人もいるんだっけ?まあよくわからないけど。
そう考えていたのだが、急激に眠気は訪れ瞼が閉じようとする。耐えようと右手で目を擦る。当然そんなもので抗えるはずもなく意識を手放したのだった。
主人公の名前は高里美冬ちゃんです。
一応転生なので名前をと思いましたが、この設定が役立つ事はないと思います。とは言え折角初期から考えていたので、使われないのはとても悔しいので書きました。愛してやってくれると嬉しいです。
イヴェトラ=黒龍父
イヴ=少女の本名
女神様の名前は‥‥‥要ります?気が向いたら、と言うと女神様に怒られますかね?