三十五話 情報交換③
ある程度の質問をして自分の中で情報を整理していると、2人の人達が話しかけて来る。
「そう言えばやっぱりまだ聞きたいことがあるんだけど、答えたく無かったら答えなくていいから質問しても良いかい?」
その言葉を聞き思考を一度止めてから答える。
「なに?」
「まず、名前は聞いても?」
「クロ」
「ん?」
「私の名前」
「あ、あークロって言うんだ?」
「うん」
「じゃ、じゃあ次はなんでこんなところで暮らしているんだい?」
「まあ、色々」
「そ、そっか。食べ物とかはどうしてるの?」
「狩りで賄ってる」
そう告げると2人は驚いた様な表情で聞いてくる
「嬢ちゃん狩りができるのか!?」
「まあ一応」
「魔物とかもか?」
「まだ会ったことがない」
正確にはグリズリーと戦ったけれどあれは龍化してたから正直数には入れられない
「この山で一度もか?」
「うん二ヶ月は居るけどまだ一度も無い」
そう告げると2人はコソコソと話し合う。だが龍の耳はその声を聞き逃さずに音を拾う
「やはりもうこの山には魔物は居ないのだろう」
「なら鉱山を再開出来ると報告してもいいのか?」
「いや数日は滞在して調査はした方がいいだろう。あいつらにはそう伝えよう」
「わかった。しかしこの少女はどうする?そう言えば鑑定はやったのか?」
「あーいややってないな。だがこんな少女に使う必要があるのか?」
「たとえこの山に魔物が居なくても居たと言う事実はあるし、そもそも山で少女が1人で暮らしているのは不思議じゃないか?」
「わかった一応やってみる」
そう言って片方がこちらを見つめて来て、魔法を使う。
「結果は?」
「鑑定不可だって」
「なに!?それは不味いんじゃ?」
「いや、鑑定対策のアイテムを装備してるのかもしれない。まあ1人で狩りが出来るぐらいで、ましてや女の子だからな覗かれたくないのかもな」
「まあ確かに覗くのは不躾だったかもしれん。すまん」
「まあ気付かれてたら謝っておこう」
その言葉を聞きアイちゃんが話しかけて来る
《気付いていない振りをしましょう。どうやら誤解してくれてる様です。どうなる事かと思いましたが》
『わかった』
「そうそうお嬢ちゃんは魔法を使えるのかい?」
アイちゃんからアドバイスが飛んでくる
《使えないですと言って下さい》それを聞いて
「ううん、なんで?」出来るだけ平静を装いながら首を傾げる
「いや、なんでもない。忘れてくれ」
アイちゃんの手助けもあり、なんとか怪しまれずにこの場を防ぎ、質問攻めを乗り越えたのだった。