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黒龍の少女  作者: 羽つき蜥蜴
十二章 黒龍飛翔
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二百九十一話 デュアルゴールド

さて。


たった今、ただいま。

戻ってきたよ。あの場所から。

庭園から。庭園はアレだね。時間が分からなくなっちゃうのが困っちゃうね。


庭園には太陽があるんだけどそれは偽物だ。

偽物の名前は「人工太陽」って言うんだけど、それが夜も明るく全く動かないまま、庭園を照らしているせいで、実際の時間が分からなくなるんだよね。庭園に長いこと居ると。


で、庭園から戻って来たから外を眺めたら、ちょうど太陽は真上にあった。天井で見えないけれど、影がかなり短いことから推測。


となるとお昼ご飯の時間だね。

ラーナちゃんも食べる。よね?

それならオルトワさんに用意して貰おうね。

て事で、てくてく食堂へ。

行く前にばったりオルトワさん。


「あっ、お嬢様。探しましたよ」

「ん?」

「来客がありまして、お嬢様を待たれております。何でもお嬢様の友人だとか」


友人。

ふふ。私は貴族だからね。交友関係は広く、それはもう沢山の友達がいるのだ。自慢じゃないけど、毎日来客もあるし?(約一名。重複アリ)

友達は多分、百人くらいはいるよ。


取り敢えずアイちゃんでしょ。あ、でもどちらかと言えば友達呼ぶよりは、家族と言うのが正しい表現かな。フユも同じく。

まあでも?家族も友達と同じくらい大切な存在なんだから、実質友達としてカウントしてもいいでしょ。大は小を兼ねるだよ。


それからー、ミュエラ。


は、友達かな?うん。良し、先ず一人。いや計三人だったね。

それからえーと。赤銅の人達と。これで六人目。

あと他には。えっと。うーん。

ラーナちゃんで七人。他には。ぐぬぬ。

は!ニーベルの冒険者!あの四人組。も一応友達だよね!?

ナンタラのナンタラ四人。よく覚えてないけど、ともだち、ダヨネ?




以上です。無いです。

常識的に考えても友達が百人もいる訳ないよね。友達百人とかとんでもない事だよ。

と言うか合計十一人なら多いもん。寧ろ十分過ぎるくらいだし。

あんまり多過ぎると困っちゃうかもだし?

人気者はツライヨネ。


うっ、ホロリ。涙が。


ち、違うからね!?

そのアレだよ。態々、友達が来てくれたのが嬉しいだけだから。そう。嬉し涙。

決して友達が少ないとかそんなのではないよ。


そんなことは置いておいて。

さ、さーて?

誰が来てくれたのかなあー。


ガチャリ。


扉を開けば金色のツインテさんが。

この髪型を見てピンと来たよね。この髪型は。

と言うか、金髪の友達はラーナちゃんを除けばあと一人しかいないから、すぐ分かるんだけどね。



久しぶりだね。ミュエラ。

客間のソファに腰掛けたら、向かいに座っていたミュエラが、両手を机に預けて乗り出して来た。


「久しぶりねえ!ルビー」

「あ、あっ、うん。久しぶり」


弾けるような笑顔だ。

あまりにも嬉しそうな顔で覗き込んでくるから、少し怯んでしまった。

とっても可愛いし、眩しすぎるよね。


「イヴ様。この方はどちら様ですか?」


ちょっとだけ見惚れてしまっていたら、ついて来ていたラーナちゃんから、私の目の前の人の紹介を求められた。


「親友のミュエラ。エルフの里の長」


我ながら簡潔な説明だ。うん。だよね?

けど何故か、ラーナちゃんは訝しむ様に見つめて来た。ちょっと怖い目つきだ。

う、嘘じゃないよ?ホントだよ。


「ところでルビー?」

「ん?」

「貴女って貴族よね?竜聖国の」

「まあ。一応?多分」

「一応って何よ。貴族に多分とかってあるのかしら」


そう言われても。

貴族と言っても色々あるよ。私は領地なんて持ってないもん。それに重要な仕事は任されてないし。軍事総司令官も実績の無い、最近生まれたばかりの役職だからね。

結局のところは、一応の名ばかり貴族だ。


「そうですよ。イヴ様はとても偉いお方なので、一般人は話しかける事すら許されないのですよ」

「えっ?」


初耳だよラーナちゃん。

私が、えらい?

え、この私が?

知らなかったなあ。



「やっぱりそうなのね。だったらお願いがあるんだけど良いかしら?」


片目ウインクのミュエラだ。とっても可愛い。

それにしても私にお願いか。それは勿論。


「良いよ」

「ダメです!」

「ん?」

「えっと?ダメ?」


被せ気味でラーナちゃんが断った。

私は「良いよ」って言ったけど「どっち?」な感じで困惑しているミュエラ。


ラーナちゃん。意地悪は良くないよ。

そう思ってラーナちゃんを見つめたら、バツが悪そうに目を逸らされた。


ふふん。私の必殺技。

相手を見つめる。相手は降参する。


勝負に勝ったので改めてミュエラの話を聞こうね。


「良いよ。何かな」

「そ、そう?」

「うん」

「竜聖国に仕えたいのだけど、契約とかの諸々をルビーに取り持って欲しいと思ってるのよね」


あっ。アイちゃんゼミで最近勉強したところだ。

貴族たるもの配下を持つべき。そのうち交渉事とかもやることになるだろうからってね。そんな時には、封建契約という物を結んで管理をしましょうとか何とか。

主な項目としては税金と防衛範囲。そこらへんの交渉をして欲しいって事だね。


「王家に仕えるで良いんだよね?」

「あ、いや、出来ればリベリオン公爵家に」

「ウチに?」

「その、満場一致でルビーが良いって。人間は信用ならないって。私もルビーになら任せたいかなって」


そ、そう?

えっとアイちゃんが言うには。


「当家に仕えたいと言う者が現れたら貴女が自由に決めて良いですよ。仲良くしたい相手なら義務は軽くすると良いでしょう。逆に嫌いなら搾り取ってやりましょう」


ふむふむ。成る程。

それなら税金は免除で。

ミュエラとは仲良くしたいし。

ついでに義務も無し。相互防衛だけあり。

こんなところかな。中々良い感じだと思う。

後は、他家の干渉は禁止にしてと。これは絶対だって、アイちゃんが言ってた。

さてイメージはこんな感じかな。


「お嬢様。契約書はこちらに」


うわあ凄く気が利く。

丁度、用紙を取りに行こうかなと思ってたよ。

オルトワさんありがとね。


うわ、項目びっしり。義務の部分が特に多い。

全部免除と。防衛時の参戦は互いに。特記に他家の干渉は制裁と。

制裁ってどういう意味だったかな。こう書けば全てが良くなる魔法の言葉らしいんだよね?


「これでどうかな」

「竜聖国の税って基本、三七よね?」

「確かそうだね。一部、ニ割もあったかな」


竜聖国が定める税制は貴族家によって違う。

レイエンおじさんとことかは二割。国境の貴族さん達は二割だったりする。戦争の危険度が低い内地は三割。犯罪をした所とかは四割近い所もある筈。

リベリオン家は免除だね。と言うか領地無いから税金の払いようが無いよね。

まあ、これからエルフの里が領地になるけど、税金免除だから関係ないよね。


「税を取らないと、貴女が王家に支払えないと思うんだけど」

「ウチは免除だから良いよ。貰っても使い道ないし」


確かにエルフの里から税を取れば、リベリオン家が丸々受け取れる訳だ。まあ要らないんだけど。領地がないから、出費が無いんだよ。

それにただでさえ、王家から色んな名目でお金貰って余るから返却してるのに。

何故か竜聖国が受け取った税金の三割くらいが入ってくるんだよね。

それなら儲かった分は皆んなで分け合った方が全員豊かになるよね。

中抜きよくない。


「ちょっと待って下さい!?」


むっ、来たな。ラスボスのラーナちゃん。


「流石にこれはやり過ぎです!」

「何が?」

「甘過ぎですよ。竜聖国と縁も所縁もないのにあらゆる免除を与えるなんて、こんな」

「こんな?」


そのさきの言葉は何。

「こんな」に続く言葉はまさか「エルフ如き」にだったりしないよね?


「あっ、いやその」


統合知性に馬鹿にされるのは許せないのに、ラーナちゃんはまさか、他人を馬鹿になんて、しないよね。よね?


「文句。あるんだ?」


無言で首を振るラーナちゃん。

どうやら私の思いが通じた様だ。


「さてと。ミュエラ。契約について文句とかある?」

「大丈夫。文句なんてないから、落ち着いて、ね?」

「落ち着いてるけど?」

「そ、そう、ねえ?」



何でか挙動不審の二人。

それはさておき契約書を二枚作成した所でお昼ご飯の用意が出来たらしい。

なので交流も兼ねてお食事会を。


流石に美味しい食事の前では、初対面でも少しずつ打ち解けていける。

そう実感しながらお昼ご飯を堪能するのだった。

先代より引き継いだ役職がこちら。


竜聖国政務顧問官。

水資源管理官。

独立軍事官。

竜聖国法務執行官。


今代よりの獲得した役職。


税制管理官。

軍事総司令官。

竜巫女補佐。


よくあるアレですね。〇〇兼、〇〇的な。偉い人に肩書きが一杯ぶら下がってるアレ。もしかして竜聖国ってブラ‥‥‥。

竜巫女補佐だけ弱そうな役職ですね。

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