二十七話 弱さの謎?
朝日が顔を出す頃少女は目が覚めたのだが己の欲望に従って再び微睡の世界へ意識を手放そうとして目を閉じると声が聞こえてくる
《クロ起きて下さい。今目が覚めましたよね?》
『あとちょっとだけ』
《駄目です。ほら起きて》
『もうわかったよ』
《この山の中には魔物も恐らくいますからあんまり油断すると危ないですよ》
その言葉を聞いてのそのそと身体を起こす
『うーん今気配を常に消してるけど消さなかったら安全じゃない?』
《それだと逆に目立ってしまいますから。かと言って消していたら殆どの魔物が襲ってきますから悩みどころでもありますね》
『人間だとどうなの?』
《強い人は警戒して襲い掛かってくる可能性があります。とは言え殆どは友好的に接して来るでしょう。見た目はただの少女ですから》
『一応この状態が最適なのかな』
《まあそうでしょうね》
『それはそれとして私は龍なのになんで弱いの?』
《単純な話ではあるのですが、本来貴女は人型の生き物ではないのですよ。ですから貴女は人化していると弱いのです。龍化すれば話は別ですが狙われてしまいますので》
『成る程ね』
《だからこそ人型でも十分に強くなれれば殆どデメリットはなくなります。あとは人型だから魔法が使えると言う良い面もあります》
その言葉を聞いて納得する。そして諦める様に
『それでは修行を始めますか』
《はい》
こうして山の中を駆け回り狩りをしながら日々を修行に当てる。昼過ぎ頃になってご飯を食べながら話し始める。
『私はどうやって鍛えればいいんだろう?』
《一ヶ月毎に自分を龍眼で見て伸びやすい物を重点的に練習するのが良いでしょうね》
『そんなに時間かかるの?』
《すぐには結果は出ませんよ。ただ得意な事は伸び易いはずですから、適当にやっても成長しますよ》
『魔法が使えたら便利だよね』
《なかなか自己流は難しいですけどね。とは言え練習は無駄にはなりませんから私からもお勧めします》
『うん!アイちゃんを信じるよ』
《そこまで信じられると少し照れますけどね》
こうして食事を終えてから再び走り出す。木から木へと飛び跳ねたり魔法を使ってみたりと、あらゆる方法で少女は己を鍛える。弱さを克服するために