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黒龍の少女  作者: 羽つき蜥蜴
十一章 新風
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二百六十六話 一日の流れ

朝、目が覚める。

大きなベッドの上でお布団に包まれた私は身体を起こす。とても柔らかく大きなベッドは、私の小さな身体には反して、それはもう不相応なくらいのサイズだ。具体的にどの程度大きいかと言うと、私達三姉妹が全員で寝ていられるくらいだ。


そして昨日の晩。

私はいつも通りにアイちゃんと眠ろうとした。するとフユが「私も!」と言って乱入してきた。

それ自体は別に構わないのだけれど、夜、寝ている最中にフユに抱き締められてしまって、寝苦しさで目が覚めてしまった。

私を抱き枕か何かと勘違いしたのだろう。

仕方ないので私が使ってた枕を代わりに差し出したら大人しくなった。


目が覚めたのでアイちゃんを起こす。

ギュッと握りしめられた私の左手を離してもらう為には、アイちゃんを起こさないといけない。

なのでもう片方の手で軽く身体を揺らしてあげつつ、その名前を呼んであげると目を覚ます。


「アイちゃん。朝だよ」

「ん、おはようございます」


目元を擦りながら挨拶をしてくれた。


さて、アイちゃんはとても目覚めが良い。実は元々起きていたのかもしれない。

だって、私の手を掴んだまま寝るのって凄く難しいと思うんだ。けど、手が離れた状態で朝を迎えた事はただの一度もない。

ちゃんと寝ているのか今でも疑問に思う。けれども私以外が呼びかけても反応すら、指一本ですら微動だにしない。

一度、フユと偶々同時に目が覚めた事がある。その時にフユが、アイちゃんの身体をくすぐってみた。けど無反応だった。なら、寝てるのかもしれない。

そもそもくすぐったいって感覚が、アイちゃんには無いのかもわからないけれど。


ベッドから出て着替えを手に取る。

私達は朝起きるのが早い所為か、朝の着替えは勝手に済ませる。もう少し待てばオルトワさんが来るけれど、朝の準備やら何やらで忙しいだろうから着替えは勝手にするよと言ってある。

なので基本的には着替えだけ置いてくれているのでそれをササッと着て、元のパジャマはカゴの中に入れておく。


そしてここからは三人とも別行動。

フユは熟睡。起こそうと思った事もあるけれど、基本全く起きる気配がない。ので放置。

ごくごく稀に早起きな時もある。私よりも早い事もあったかな。


私は朝食。美味しい朝ごはんが私を待っているんだ。わくわく。


アイちゃんは勉強の用意。

「食事ができないので別のことでもしてます」

そう言って執務室に籠ってしまう。それで何してるの?って気になるけど、大体本とか読んだり、執務室の整理整頓とかをしているみたいだね。


なので朝は一人で食事だ。

皆んな朝は忙しいみたいで孤独に黙々と食べることになる。


食事を終えて執務室に入ると、偶にフユが居る時がある。この前は確か、フユとアイちゃんが、何かの会話をしていたみたい。私が入室するや、直ぐにフユはどこかへ行ってしまった。

何か、私に聞かれたら困る会話でもしているのかと勘繰ってしまう。どうせ訊ねても教えてはくれないだろうから考えない様にしているけど。


私の食事が終わったので、今度はアイちゃんの食事だ。両手を繋いでおでこを合わせる。肌が触れていれば魔力を送る事が可能なので、少し触れるだけでも良いけど、何となくこの方法。

抱き合ったりと色々あるけどそこら辺は気分による。


そして、朝の勉強だ。

取り敢えずお昼までアイちゃんに色々教えて貰う。

最近は国の歴史とかを学ぶ事が多いかな。近隣の国との関係性とかも。そういうのは何となく自分で勉強しても頭に入らないからとても助かるね。

物事にどう言った理由があるのか解説してくれるので分かり易い。何で他国とは仲が良くないのかとかね。

質問を投げかけられ、私が正解したら撫でて褒めてくれる。間違えても叱られる事は少ない。

わざとふざけて答えたりしたら怒られるけどね。まあ、それは私が悪いし。

基本的に頑張っているととても優しいんだ。


勉強してたら偶にラーナちゃんが来る。巫女の務めをした後だから、昼前とか。けど最近は来てくれないね。少し寂しい。前までは毎日来てたのにな。


そして昼まで勉強。それから食事。

食事を終えたらまた執務室へ。今度は勉強ではなくてお仕事。王家から手紙や書類が来たり、緊急の招集が掛かるのが大体この時間帯。

昼と夕方の間の時間。偶にだけど、もの凄く眠くなる時がある。


た、偶にだよ?

いつもじゃないからね??

こくり。こくり。ぱた。




ぐう。すや。




‥‥‥。ガバッ!

太陽が眠りについた頃に目が覚めた。

最近集中力が続かないんだよね。ラーナちゃんが来た時は眠くならなかったんだけどね。


時間が経ったので晩御飯。

フユと同時に食べ終わる。

そして食事を終えた私は何をするかと言うと、フユに手を引かれてお風呂に連れて行かれる。


「別々で良いような?」


と、そう訊ねたら


「駄目!何かあったらどうするの!?」


と言われた。

でも、最後に「ぐへへ」と言ったのはどう言う事かな。何か変な感情がある?

そう思うのは気のせいかな?

いや、でも、フユに限って変な事をするとは考え難いし。


何処かからの視線を感じながら着ているものを脱いでお風呂へ。その前に身体を洗われた。


「自分で洗えるよ」


と言っても聞いてくれない。頑固な姉。

親切心。だよね?

まあ、結構気持ちいいから多分そう。

お返しに洗ってあげると言ったら断られた。何故。理不尽だ。

でも、嫌なら仕方ないか。しゅん。


気を取り直してイッツ湯船。

そうそう。フユに教えて貰ったルールがある。何でも、お風呂の中に入ってから100まで数え切らないと出てはいけない。そんなルールがあるらしい。

よくわからないけれどルールなら仕方ない。


いっちにーさんし。




パジャマに着替えて執務室へ。

少しだけお仕事を。でもほんの少しだけ。

ちょっとやっただけで眠くなる。お風呂の後はすぐ眠くなっちゃう。

そして限界が近付いたらアイちゃんに手を引いて貰って寝室へ。

パジャマに着替えたアイちゃんとベッドへ。アイちゃんと一緒におやすみなさい。しようとしたらフユが来て三人でおねむ。


微睡む意識の中。

誰かの声が聞こえる。

いつも誰の声かと疑問に思うが、思うだけ。

その疑問もすぐに手放す。抗い難い睡魔に沈んでゆく。


「明日も良い一日でありますように」


と。願いながら。





「うっうう。興奮して眠れないよー。ねえーアイちゃん?起きてないの?話し相手になってよー」




夜眠れない→昼寝→夜眠れない


永久ループです。

大好きな妹が近くに居る所為で興奮して眠れません。それで特に問題がある訳ではありませんが、昼夜逆転はあまり良くないですね。

まあ死にはしません。龍ですから。


龍にとっての睡眠は精神と魂の休息です。

そもそも肉体的な疲労は存在しないので、眠れなくとも構わないと言えば構わないのです。

                     アイ

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