二十五話 キャンプ
歩き始めてかなりの時間が経つ。近くだと思っていた山には一応到達したが、日は沈みかけているので今日はここまでにして近くの岩に腰をかける。村を捨ててから数日経ちずっとこんな感じでひたすら歩き続ける。山から山を目指して歩き疲れたら休みまた歩く。これらをひたすら繰り返す事によってもうこの辺りには人気は無く、かなり前から街道を見かけなくなっていた。なので
『この辺にしよっかな?』
《そうですね辺りには動物の気配もしますから食べ物には困らないでしょう》
『うんそれでお家を建てるだっけ?どうすればいいの?』
《そうですねそこら辺の木々を適当に切り開いて壁と屋根を作りましょう》
『今更だけどさ、アイちゃんって少し、いやかなり適当だよね?』
《そ、そんな事はないですよ!?まあ別に家など無くても問題ないですので》
『まあいっかのんびり作ろうかな』
《そ、そうですねごめんなさい》
『取り敢えず食べ物だけ確保してこよっかな』
《はいではいきましょう》
そう言って腰を上げナイフを取り出し魔法を使う。1番近くの動物を捕捉しそちらへ向かって走り出す。そして狼は抵抗も出来ずその胴の上を切られ倒れ伏す。
『さて取り敢えずこれで数日は問題ないかな?』
周囲の草木をナイフで払い血を拭いその場で解体を始める。とは言っても特段解体は上手くもなく、なんとなく肉を出して内臓を取り除いているだけなのだが。
そして大きなブロックから少しを削ぎそれを地面に敷いた草の上に置いたら、ナイフの峰と石を擦り付け火を起こす。火がついたのを確認してから先程の肉の塊を葉っぱなどで包み込み雑に退けてしまってから、ご飯を焼き始める
《別に焼かなくても食べれるのですけれど》
『うーん?なんだか凄い抵抗を感じるから一応焼く様にしてるの』
《へえ?》
『まあそれに焼いた方が美味しいんだよ』
こうしてご飯を食べながら明日の事を話し合う。
『それじゃあ明日は何しよっか?』
『色々ありますよ?家を建てたり探索したりと、あとは魔法や戦闘力を上げるための訓練などなど』
『取り敢えず家にしよっか』
こうして明日の予定を決めて少女は眠る。人との関わりを捨て、これがただの二人で生きていく事を決意した始まりの場所であった。