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黒龍の少女  作者: 羽つき蜥蜴
九章 追い、追われる者
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二百十五話 幕開き

遅くなりましたが。

折角書けたので、明日投稿するくらいならと思い、今日にしました。

蜘蛛さん事件は解決して、基本的には森の中で住む事になった。

森までは近いから蜘蛛さんの速度ならば、ものの数分で帰って来れる。蜘蛛さん専用のお家が無いので、取り敢えずの対応だ。

つまり蜘蛛さんハウスが完成すれば、この村で過ごす事になる。顔パスでいつでも入り放題。


「さてと?白蜘蛛も戻ったし、夕御飯にしましょ?」


確かに日が傾き、もうすぐ夜になる。

蜘蛛さんの騒ぎや今後の事で一杯になり、今日のお昼も抜いてしまった。この場に集まった村人(ほぼ全員)さん達もお腹ぺこぺこだろうと思う。

私もそう思ったらお腹が空いてしまった。気がする。


「確かにその通りですね。では、折角ですし、パーティーでもしますか?」


キュイさんがそう言って、他の村人は頷く。私は首を傾げた。


「パーティー?」

「ええ。お祭りですよ」

「そうそう。肉を焼いて酒を飲もう。あ、でも君達は酒は駄目だぞ。大人になってからだ」


そう言った村人さんは早速何かを用意し始めた。皆んなが慌ただしく動き、色々な物が並んでいく。食材と思しき物や、金網を設置したコンロなど。

なんとなく記憶の片隅に残っている物を思い浮かべた。バーベキュー?


「私。大人なのに」


納得が行かなさそうに頬を膨らませるミュエラ。

微妙に文句を言いながら手伝い始めたので、私もそれに続く。


「お、おう。お嬢ちゃんはあっちを手伝ってくれるか?」


申し訳なさそうにミュエラに言っている村人さんの姿が映った。

またもやミュエラが頬を膨らませていた。

文句は言わなかったが不満そうだ。


「こっちこっち」


私を呼ぶ声が届く。

呼ばれて向かえば色々と手伝う。

何かと思えば、サイドメニュー作成のお手伝いらしい。

なんでも、男性に任せたら肉だけしか食べないらしい。この村ではお肉は貴重なので、それだけしか食べないとなると困るのだ。あとは栄養バランス的な問題とかなんとか。


「ルビー君は繊細ねえ。それが成長したらアレに。はあ」


なんだか知らないが、私と誰かを比較しているみたいだ。


「アンタ。作る料理が一々オシャレね」

「あ、ミュエラ。お帰り?」

「ええ。どうやら私には、手伝う事はないみたいね」

「じゃあ、味見を」


今作った野菜の炒め物をミュエラにあげた。

自分で味見をしてもイマイチ美味しいのかわからない。お肉の脂身を隠し味にした物だ。私としては普通としか感想が出ないから、他人に食べてもらった。

すると、突如としてミュエラは身体を震わせ、その後固まってしまった。


「‥‥‥」

「えっと。感想は?」

「‥‥‥やばい」

「やばい?」


気付けば皆んなの視線が集まってた。

その人達は気になったのか、味見を名乗り出る沢山の人達。

まだ料理は完成してないから当然断る。

大きな鉄板で焼いてるとは言え、流石に無くなってしまう。

あ、でも、子ども達は食べさせてあげた。

断ったら泣きそうだったし。だからさ?ミュエラ?泣きそうな顔はやめて。



そんなこんなで結構時間が経って、そろそろ開始しようかな?という頃。

蜘蛛さんが来た。

何事かと思えば、かなりの数の魔物や動物を持って来た。


【ルビー様。恩ヲ返シニキマシタ。念ノ為毒ハ無イ物ニシマシタ】


この場にいる全員が察したのだろう。男性陣は凄く盛り上がってる。

今日の昼間は蜘蛛さんを警戒して、反対意見を言ってる人もいたけど、どうやらその心配は無くなったのかも。

とは言え、蜘蛛さんからコンタクトを取れないので、私は蜘蛛さんに訊ねる。


「貰って良いの?」

【ハイ。是非ニ】


こくりと頷く蜘蛛さん。

頷きと、首振りによって簡単な意思疎通は出来るので、この場の皆んなの前でアピールをした。

こんな小さな事が、必ず後々役立つと確信している。面倒ではあるけれど、蜘蛛さんの誤解を解く為に、私は努力する。


「皆んなで食べよう。ありがとう。蜘蛛さん」


全員の視線の前で蜘蛛さんに抱き付く私。

こうする事で警戒心も解ける筈。

‥‥‥まあ、もう過剰な位かもだけど。


食べ物の用意は整い、お肉は順次焼いていくとして、皆んなが飲み物を手に、パーティーが始まる。

かと思っていた。しかし、始まる前に一つの事件が。


「では。この度の功労者二名に、開会の御言葉を頂きたいと思います。さあ、リュミトリア嬢。ルビー殿。是非前へ」

「‥‥‥え?」

「あら?」

「な、何故!?」

「ご指名ね。さ、行きましょ」

「な、なんでノリノリなの??」

「折角だし楽しまないとね?」


やるべき事は理解してる。

アレだ。皆んなの前に立っての演説。

私はアレが苦手なんだ。

逃げたい。駄目?だよね。‥‥‥はあ。


私は半ば、ミュエラに引き連れられ、態々用意してくれていた壇上の上へ。

ミュエラが先陣を切ってくれるらしい。それはありがたい反面、私はトリになってしまう。

ミュエラに負けない良い言葉を喋る為に、頭をフル回転させた。

その間ミュエラは喋った。


「みなさんご機嫌よう。この村は良い所ですね。この様な歓迎を受け、私達は大変感謝しています。みなさんとこの村の更なる発展を願います。が、それはそれとして、楽しみましょう」


盛大な拍手。

皆んなが、ミュエラが笑っている。

とても良い演説だった。

だからこそ、私もそれに応えないと。

私の中に用意した言葉は飛んでしまった。でも、私の気持ちを言わないと。


「みんなありがとう。たくさんの人々のお陰で今日があると思います。僕には、いえ。私には願いがあります。魔物と人々が仲良くある世界。優しい世界でみんなが手を取り合える様。この村の様に。私は願います。そして、私は今この優しい村が大好きになりました」


仮面を取って私は笑う。

皆んなの笑顔を、私の本物のレンズに捉える為に。私の記憶に残す為に。覚えて貰う為に。

今まででわからない所や、思った事など是非感想などでお聞かせ下さい。

今後の励みにもなりますし、作者視点だと矛盾点に気づけなかったり等々。


基本的にはしっかり返していくつもり(場合によってはネタバレだけ避けるかも)ですので、どうかよろしくお願いします。m(*_ _)m

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