二十話 油断
3人は今魔物の前に立ち観察をしている。お互いが睨み合い、今にも戦闘が始まりそうである。先に仕掛けたのはグリズリーで二足で器用に立ち前足でなぎ払う。それを青年は躱す。そこにあった木は抉れて倒れる。その一撃だけでどれほど強力な魔物なのかがわかり3人は緊張する。遂に静寂に耐えきれず喋る
「こりゃ喰らったら終わりだな」
「ああ油断せず行こう」
「はい」
2人は前で攻撃を引きつけ私は遠距離から顔を狙ってナイフを投げる。これは事前に話していた戦略でありトライさんは回避専門で、アルバスさんは盾で受けることに集中するということだった。そしてどうやらアルバスさんは盾でなんとか受けられるようなので、私が隙を見てナイフを投げると偶然なのかグリズリーの目に突き刺さる。
グリズリーは痛みと怒りに呻き声を上げ2人を無視して突進してくる。
「マズい!」
《避けてください!》
それを見て私は避ける。回避に成功して私は気付いた、この程度なら攻撃を喰らわないと。そこで私は考えた結果、ナイフに魔力を通し
「私が倒す!」
「まて!危険だ」
「嬢ちゃん下がれ!」
2人の静止を促す声が響くも私は止まらない。大丈夫私なら攻撃を喰らわないから倒せる。そう思いグリズリーの左手の攻撃を回避して死角へと回り込み、跳躍して首元を斬り込む。
しかしパキィンと音を立てナイフは折れてしまう。
ナイフは魔力で強化されていたのだが、グリズリーもまた魔力で自身を強化していたのでナイフが耐えきれず歯が立たなかったのだ。
「え?」
私は動揺を隠せず一瞬放心してしまっていた
《危ない!》
その声を聞き辛うじて左手で攻撃をガードしたがその威力で軽い少女は大きく吹っ飛んでしまう。2人の男達はすぐに助けに行きたかったが、グリズリーは少女を吹っ飛ばした事でターゲットを変え2人は防戦一方になる。
「マズい撤退しようにもクロをどうにかしないと」
「嬢ちゃんの心配も大事だが俺たちも油断したらやられる!生きている事を信じるしかねえ」
「そうだな撤退したらクロが止めを刺されるかもしれないから倒すぞ!」
「おうよ!ハナからそのつもりだよ!」
こうして2人は奮戦する。いつ終わるかも判らぬ防衛戦へと移行したのであった