十九話 森の魔物
森の異変を知ってから3日経ったある日、忘れかけていた頃に事は起こる。少女が昼食を3人で食べていた時である。村の男性がお家を訪ねて来て慌てたように告げる。
「大変だ!森に大きな魔獣がいる」
それを聞いてトライさんが事情を聞いて急いで飛び出して行く。後を追うように私とフレアさんで集会場へと行くと、村人全員が集まり話をしている。どうやら大きな魔物が棲みついてしまいこの村が危険だと言う事である。少し前に聞いた話だが、トライさんとアルバスさんは冒険者だったらしい。なのでどれくらい危険なのかを尋ねてみると
「僕たちはかつてアルバスと仲間でCランクのパーティーだったんだ。今回の魔物はグリーングリズリーというやつなんだけど、そいつはBランクで恐らく僕たちは勝てない」
「つまり逃げた方がいいかもしれねえ。ちなみにAが1番上でEが最弱だ」
「でも一応討伐には2人で行きつつ、近くの街には依頼を出しに行かないといけないね」
そう言っていると村長が
「いやこの間税金を支払えなかったからこの村の領主様は依頼を受けてくれんかもしれん」
「はあ?マジかあのクソ貴族め」
「それですまんが討伐できるなら頼みたいんじゃ、駄目だとお主らが判断したらこの村を捨てて隣の街へ行こう」
「了解しました」
「そうだなやってみるか」
それを聞いて、いても経ってもいられず私は気付いたら立候補していた。
「私にも手伝わせてください」
そう言ってみると隣にいたフレアさんが
「ダメよ!あなたには行かせられないわ。危険すぎるわよ」
「そうだ残念だがクロを連れてはいけない」
「私のナイフなら‥‥‥お願いみんなを守りたいの」
ようやく私にも手伝えることがあるかもしれない。そう思いトライさんを見つめると目を逸らされる
「嬢ちゃんがいたら助かるのはそうだが本当に行くつもりか?危険なんだぞ」
「うん」
暫く沈黙して
「わかった取り敢えず今から偵察に行こう。3人で勝てそうならそれでよし、駄目なら即撤退しよう」
「まあ倒しておきたいが無理かもしれねえな」
こうして3人は急ぎ準備をするため家に戻る。少女が装備を整えているとそこにフレアさんがやって来て言う
「必ず帰って来てただいまっていうのよ?いい?約束よ」
「はい行ってきます」
「あなたも」
「ああ。フレア色々迷惑かけてごめんよ」
「ううん昔からこうだったんだからもう気にしないわ。ただ無事に一緒に帰ってきなさい」
「ああ行ってくるよ」
3人は村を出てあの森へと向かう。距離は遠くない。だが近づくに連れ異様な気配が満ちていて来るものを拒む視線の様なものを感じる。それに抗う様に一行はその元凶へと向かうのだった