十八話 予兆
初めての狩りを終えて日が経ち、かれこれ半年になる。少女はその間、村での生活を楽しみながらも魔法の練習をしている。その中で気付いたことといえばまず、魔法が殆ど使えないことだ。原因は四元素と呼ばれる属性魔法が一切使えず、四元素以外の魔法は人々に認識されていないため使用することが出来ないのが理由である。
次にこの国ではそこまで評判は悪くないのだが、恐らく父である黒龍が十数年前に数回に渡り女神と争い、黒龍が勝った後に1つの国を滅ぼした為恐れられている事。などが大きな事で他には、この村はある有名な貴族の領地であり、その貴族というのはとんでもない悪者であるということくらいだろうか。悪者だという理由は開拓するにあたっての支援は行わず、税金は他の村と同等に近いぐらいに請求してきているからである。そもそもこの村は出来てから、一年と経っていない。基本は二年目から税金が発生するのが常識らしいのだからなんともいっそ清々しいとも言える。
そんな話を聞いた少女はと言うと
『税金て何?』
《そうですね生きる為にはお金が要るのですよ、人々は》
『私は払うの?』
《一応はそのようですが》
『ふーん?』
つまりよくわかっていないのだが
『そんなことより黒龍という存在は恨まれてるんだね』
《そうですね滅ぼされた国に住んでいたと言うことらしいですし》
『そもそも龍と神が戦ったって言うのもなんともすごい話だよね』
《貴女はその本人みたいな者ですけどね》
『うん私が黒龍だから信じるけどさ?少しなんて言うか悲しかったな』
《‥‥‥そうですね、やはりバレない方が良いでしょうね》
『‥‥‥うん』
《そう言えば昨日森で狩りをしていた時に気になったのですが》
『うん』
《大きな魔力の乱れがありました》
『そうだっけ?』
《はい、なので魔物がいるかもしれません》
『まあ大丈夫じゃない?』
《そう思いますがこの頃は狩りだけで鍛錬をサボり気味ですから念の為》
『口煩いアイちゃんは嫌いだなー』
《す、すいませんもう言いませんから》
こう言って私は小言を言ってくれる大切な親友の話を適当に流すのだった。これが大きな後悔へと繋がる事にこの時は気付く事が出来なかったのである