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黒龍の少女  作者: 羽つき蜥蜴
八章 決別
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百八十四話 共鳴

度々宿とギルドを往復して、適当に依頼をクリアしていた頃。

今日も今日とて依頼ボードを見ていた。


すると、正式に迷宮探索の依頼が出ていた。

参加資格はCランク1人以上。

アイツらはBランクも混在しているCランクのパーティーなので、勿論資格はある。

あの厄介な人がBランクで、他のメンバーがCランクだと聞いた。

一応。私よりはランクが上なのだ。


そうそう。あのイチャモンをつけて来た人。

私は厄介な人と呼んでる。命名私。センスあると思う。

まあ、そんな事は置いといて、絶賛熱烈な視線に晒されてる。


え?世間一般的には睨まれてるって?

まあ、そうとも言うかも。

明らかに迷宮探索に来るなと言わんばかりの目だよね。

資格制限も引っかからないし、一応平等に権利はある筈なんだけどなあ。


どうせ厄介な人達も参加するんだろうけど、コッソリ後をつけて、1人で探索でもしようかな?

一応お宝が眠ってそうな感じらしいし。


「ルビー君はどうするのですか?」

「うん。どうしようかな」

「お1人では危険ですし、誰か頼りになる方を誘って下さいね?」

「え?1人はダメなの?」

「その、偶然鉢合わせる可能性もありますし、そもそも1人は危険ですね」

「あー、うん。邪魔されるかもって事かな?」

「そ、それは。はい。一応」


断言はしなかったけど、懸念の材料としては大きいか。

なるほどねー。

でもまあ、黒禍全開にしたら大丈夫だと思うけど。

あ、でも。それだと私、迷宮の敵みたいに思われるかも。

黒禍解除した時に見つかったら、それは、ねえ?


「迷宮には目が届きませんから。何かあってからでは遅いですし」

「うん」

「強制はしませんが、よく心に留めておいて下さい」

「了解」


うーん。心配してくれてる。

まあ、そうなんだよね。

わざわざトラブルに巻き込まれに行くなんて愚かだよね。

「愚か」か。あはは。今更だよ。


さて、厄介な人もいつのまにか消えてるし、信頼できる人を探してみようか?

私1人でも大丈夫だとは思うけど、この人に心配を掛けるのは嫌かな。


よし!って思ったけど、私に仲間は無理かもね。

‥‥‥取り敢えず後で考えよう。

そうだ。ミルクを注文しよっと。

考え事は飲み物でも飲みながら追々ね。


最近調べたんだけど、ミルクを飲めば身長が伸びるらしい。

私はこの身長のせいで馬鹿にされるから、ミルクを沢山飲んで、将来はナイスバディのレディになってやるもんね!


「ナイスバディ。フユみたいな?」


とても綺麗で、義父さんの眷属。

所謂、私の姉。

実姉かは分からないけど、私よりも優れててとても優しい。

フユが実の娘で、私は義娘だよね。多分。

私は女神の娘。フユもそう言ってた?気がする。


あんまり考えない様にしてたけど、みんな心配してるのかなあ?

なんとなくだけど、フユが泣いてる気がする。

まあ、気のせいかな。

私は居ても変わらないし。まあ、フユが私の代わりになんとかしてくれるでしょ。

私なんかよりもずっと凄いんだから。


私は注文の品を待つ。ギルドのテーブルに座りながら。







少し時は遡り、2週間ほど前。


「お、お嬢様!?」


屋敷の主人の部屋に入室したメイドは叫んだ。

それは、少女が家出をした日の朝。

朝食の用意を終え、メイド長からの指示で部屋に入った瞬間。

部屋の奥の窓が開いており、不自然を感じてベッドを覗いた。

すると当主は居なかった。

叫んだ後、慌ててメイド長に報告をした。

そしてその光景を見て、絶句するメイド長。


「な、なんと言う」

「メイド長、どうしましょう?」

「あまり物には触れず、痕跡を探しましょう」

「誘拐でしょうか?」

「そうですね。そう考えるのが妥当です」

「あ!これ!」


メイド見習いが、テーブルを指さす。

そこにあるのは手紙。書き置きが残されていて、その内容とは。


「修行の旅に出ます。探さないで。イヴ・ロード=リベリオン」


2人が同時に読み終えた。

短い内容だが、一応誘拐は無いと判断して良い。

メイド見習いは安堵したが、メイド長は依然暗い表情。


「メイド長?」

「まず、陛下に報告ですね」

「え?でも、探すなって」


メイド見習いはわからないと言った表情。

当主の言葉なら従うのは当然だと思ったのだ。

しかし


「何かあったらどうするのですか」

「ですが」

「私達とは違うのです。イヴ様の御身に何かあったら大問題ですよ」

「連れ戻したら怒られませんか?」

「探さなくても問題です。イヴ様は探さないのをお望みでも、陛下に処罰されかねません」

「そ、そんな」


2人して絶望の表情へ。

そんな中。事情を知らない乙女が入って来た。


「どったの?立ち尽くし、て?」


不思議そうな表情から、魂が抜け落ちた様な顔へ。

メイド長は簡潔に説明をした。


「イヴ様が行方不明になったのです」


声は聞こえている。

しかし、言葉が飲み込めない乙女。

状況を把握したのだろう。乙女は閃いたかの様な表情になっては、泣きそうな表情に幾度も変化した。

3回ほど繰り返しただろうか。

ポツリと溢す。


「な、んで?どうして。こうなったの?」


浅い呼吸。それをとても早く繰り返す乙女。


「やっと、逢えたのに。私、また?」


涙が溢れ、打ちひしがれたかの様に座り込む。

幸せは短い間。

何度も泣き喚く乙女。

立ち直るまでは長く、屋敷の中で、乙女の泣き声が毎日響き渡り続けるのだった。

ひねくれ主人公。

グレちゃいました。

さて、楽しい旅かと思えば。


嫉妬って醜いのですが、それは人間の象徴でもありますよね。

少女も、不完全な人間らしさを捨てきれずにいるのです。


ちなみに少女よりも、乙女の方が、感情的には人間ぽくないですね。

知識を持つ事で、段々と人から離れてしまいますね。

なので、かなり龍に近寄りました。お互いに。

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