百八十三話 嫌がらせ
oh.間違えて外伝に投稿してしまいました。
m(*_ _)m
遅くなりましたが。すみません。
ギルドから宿へと帰り、一晩眠ってから次の日。
また依頼を受けて、任務をこなす。そんな感じの毎日。
ただ、ひたすら無心で働く。繰り返しの日々を過ごしていた、そんなある日。
「迷宮が生まれたぞ!」
そんな声が聞こえ、私以外の人達は一斉に盛り上がっていた。
所謂、狂喜乱舞。
みんながみんな、獰猛な目付きになっていた。
私には何故みんなが喜んでいるのか分からなかった。
なので、口々に喋る噂に耳を傾け、ミルクを飲みながら情報収集に励んだ。
曰く、お宝が眠っており、攻略者には成功が与えられるとか。
「胡散臭い」
気付いたら言ってた。何も考えず。
幸い、誰も聞いていなかった。
ただ、私は仏頂面をしてたんだと思う。
まあ、仮面、被ってたんだけどね。なんで分かったんだろうか?
「おう。坊主は興味無いのか?」
偶々、目の前に居たお兄さんが訊ねて来た。
肘をついていたから気付かれたのかな?
「うん」
「そうか。危険だし、1人では行かない方が良いだろうな」
「興味無いし」
「坊主はCランクだろ?誘いが来るかもな」
「そうなの?」
「坊主は他人が苦手そうだな」
「うーん。そんな事は」
否定したいけど出来ない。
誰よりも信用してた君に裏切られたから。
違うって信じてたい。けど。
「それより、坊主はどうやってトライデントを倒したんだ?」
トライデント。
3匹セットのオオカミ。巧みな連携で襲って来るCランクの魔物。
ちょうど昨日完了した依頼。
別になんて事ない。向かって来たから、カウンターを3回繰り返しただけ。
寧ろ連携が取れてる分、リズム良く終わって、とても効率が良かった。
「隙をついて適当」
「そ、そうか。アレは1人だと不可能だって言われる程、厄介なんだがなあ」
「ふーん」
心底興味無い。
私は今、お金にしか興味が無い。
旅を続ける為にも貯金したい。
あ、でも。迷宮を攻略すればお金になるのかな?
それなら、少し気になるかも。
「あ!おい。参加資格はC以上だってよ」
「へえ?」
「申し込まないのか?」
「うーん。おじ、お兄さんは?」
危ない。
咄嗟に口が滑るとこだった。
「あーまあな。足りてないからなあ」
「あ、そうなんだ」
ツッコミは無かった代わりに、少し申し訳ない感じになった。
「一応、リーダーがCランクなら、即席でも認められるらしいがな」
「え?それなら、僕と一緒とかなら行けるの?」
「そうだが、遠慮しとくよ」
むう。誘った訳じゃ無いのにフラれた気分。
なんか、釈然としない。
そう言う意味じゃないのに。
「まあ、良いや。僕は気ままにやるよ」
「そうかい?」
私はそう言って、最後の一口を飲み干してから、今日の依頼を選ぶ。
色々と目移りしていると、誰かにぶつかった。
いや、ぶつかられた。
「痛!」
「おっと!悪いなガキンチョ。小さくて見えなかった」
「‥‥‥そう」
「気をつけてくれよ?見えないんだから」
「ふーん」
滅茶苦茶我慢した。
虚勢を張ったけど、内心は溶岩そのもの。
こうなった原因は知ってる。
4日前の、ストーンゴーレムの依頼を達成した日。
この人のパーティーが、私と同じ依頼を受けて失敗した。
その後に、私が1人でクリアしたものだから、比較されて名前に傷がついたとかなんとか。で、嫌がらせが始まった。
「あ、あ、あの、落ち着いて下さい!」
そう言いながら割って入るのは、あの受付さん。
こうやって、剣呑な雰囲気に駆けつけてくれる受付さん。
この人が止めてくれるから、私も怒らない様にしてる。
「ああ!?うるせえよ。このガキが当たって来たから注意したんだろうがよ!」
嘘だ。私は何もしてない。寧ろ避けようとした。
周りの人だって理解してる筈。なのに、誰も助けてくれない。
唯一。受付さんだけ。この人のお陰で、私は我慢してる。
「あ、あの。ルビー君?大丈夫ですか?」
ほら。こうやって心配してくれるんだもの。
怒りたくても怒れないよ。
多分。立場を知ってるからだけど、誰にも話さず、こうやって庇ってくれる。
受付さんの心労はとんでもないことになってる筈。
それは、優しさ以外の何者でもない。
だから、私は冷静なんだよ?
「問題無いよ?ありがと」
本当は反撃した方が良いのだと思う。
でも、この人には迷惑掛けたくない。
「チッ!」
舌打ちをして、仲間を連れて何処かへ行った。
最後尾にいた人は、私を見て去りながら、頭を下げてる。
この人も良い人なのかもね。
まあ、助けてくれる訳ではないなら、違うのかもね。わかんないや。
「済みません。ルビー君」
「良い。気にしてない」
「私共は何も出来ず」
「違う。助けてくれる。それだけでも嬉しい」
「マスターには相談しているのですが、中々及び腰で」
「まあ、そうだよね」
これがイジメってやつなのかな?
まあ、大したことないけどね。
ただ、ちょっぴりムカつく。
「この町にはCランクの冒険者は希少で。あの人には、度々脅されていまして」
「うん。聞いた。だから何?って感じだけどね」
「そうですね。申し訳ありません」
うん。この受付さんにはどうしようもない。
アイツはこの町では、最も強いらしい。
だからこそ好き勝手が許されてる。みんなからの不満はあるけど、逆らえる人が居ない状態。
そんな時に私が来てしまったから。
それも1人。さぞイジメ甲斐がありそう。
「はあ。どうしたものかなあ」
1人愚痴る。
珍しく今後を見据えながら。
さて。ボッチ所以の話ですね。
イジメって嫌いなんですよね。書いててなんですけど。
助ける側も踏ん切りがつかず、中々対処が難しい問題です。
少女も反撃すれば良いのでしょうが、人の事ばかり考えるので、どうしても怒れないのです。
なので中途半端なら、助けない方がマシですよね。
悪くないですよ。助ける事は。ただ、それで悪化する事もある。難しいです。