十四話 すごいまほう
緑と静寂に包まれた景色の中に居る一行は、少しずつ疲れを見せ始めている頃である。
そもそもの静寂は、野生動物が何かに対する恐怖によって引き起こされた物である。
誰の所為なのかはわからないのだが、心当たりのある二人は、流石にまずいと思って話し始める。
『どうしよう』
《えと?気配の問題ですか?》
『うん』
《ではそうですね。森と一体化するというのはどうでしょう?》
『そんな曖昧な説明で出来る訳ないのと、そもそも気配が薄れたかと言うのを、どうやって判断するの?』
《龍眼で自身を見たら、状態という箇所から確認できそうですけどね》
『そっか!成る程』
と思ったけど、そもそも隠密と認められる状態になる為には、何をすれば良いのだろうか?聞いてみようか?
「あの?狩人さんたちはどうやって気配を消してるんですか?」
「うん?あーなんでも、風向きやら音を消すとかなんとか。あとは魔法を使うとかって聞いた事があるな」
「僕たちは使えないからね魔法が」
魔法?気配を消す魔法があるのかな?確か私は魔力が多いからおそらく魔法が使えるはず。
だとしたら、それを覚えればあるいは。
そう考えて思ったのは当然、ある事に行き着く。
『やり方がわからない』
《魔力で自身を隠すというのはどうですか?》
『それだ!』
そう言って、周囲の魔力を操作すると、自身を隠す事に成功する。
しかし、驚いた事に、周辺の物を感知する事ができる様になってしまった。
『あれ?これって』
《あの、自身を眼で見てみてください》
新たに魔法という項目が増えていた。
体力 300 /300
筋力 228
敏捷 41
防御 11
魔力 1015 /1040
耐魔 33
魔法‥‥魔導認識操作
状態‥‥封印 対認識
特殊能力‥黒龍の眼 龍化/人化 龍鱗
気になった物を調べてみると
対認識‥‥‥特殊な方法以外への認識阻害
魔導認識操作‥‥‥空間に存在する魔力を操作して周囲へと干渉する1つの派生。可能なことは周辺に対しての感知と周囲からの認識を断ち切る事であり同時並行は可能。
獲物を探すために、気配を消す魔法を覚えるつもりが、おまけに周りを探る魔法までついてきてしまった。
《まあ、どっちがおまけかわからないですけどね》
『すごい消耗するけど、とっても便利だね』
これでようやく狩りを再開出来ると喜ぶ少女だが、この魔法がどれほど凄いか突っ込む者はいないのであった。