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黒龍の少女  作者: 羽つき蜥蜴
六章 運命の邂逅
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百三十四話 乙女の核

町の中で、人々に緊張の波が広がっている。

ギルドは、魔物の侵攻を隠していた。

だが、不穏な空気が流れ、噂は徐々に広がってしまう。

ほぼ、全ての人達に噂が広まったのは、大体5日程経った頃である。


現在は、町の外郭に簡素な壁を作り、対策を講じている所である。

一方の乙女は、魔法の練習をしていたのだが、飽き始めていた。

1人虚しく、乙女は愚痴を溢す。


「はあ、バレちゃったな。まさかとは思ったけどね。自分が女神だったとは」


言葉にしてしまえば、自分自身が認めた事になる。

そして、乙女は、そのまま悩み始める。



私って、あの時の女神様にそっくりなんだよね。

いや、それと比べて、私は少し幼いかな?

あの女神様は、大雑把になるけど、推定20過ぎ位の年齢だと思う。

クローンみたいなモノかな。


後は、あの子は、女神様の娘って話だったから、私と姉妹になるのかな?

それとも、娘?

まあ、なんでもいいか。会ってみて、考えるのはそれからだよ。

そもそも、生きてるのかどうか。

イヤ、ダメダメ。

大丈夫。のはず。信じるしかないよ。


まあ、それも大事だけど、取り敢えず目先の目的かな。

魔物の大群かあ。

てか、今更私を頼るなんて。

助けて貰ってもいないのに、なんで私が。

はあ、面倒だな。

モチベーション上がんないよ。

あの子は、私を頼ってくれなかったのに。

あの子以外に頼られるのは嫌だよ。

我儘、なのかな?


仕方ないか。

案外助けたら、皆と仲良くなれるかもわかんないし。


ん?


いやいや。別に私は、仲良くなりたい訳じゃない。

ただ、まあ。向こうから頭下げて来るなら、その、考えなくもないかも。


頭をブンブンと振り回しながら、魔道具の白玉を出す。

魔力を、白玉に込めながら、魔法の練習を再開する。

この数日間で、ただ魔力を放出するだけだったが、微細な操作を身につける為に、練習している。

そして、乙女は、新たな発見をおさらいしている。



ただの魔力なら、ダメージは与えられない。

例えば、魔力を糸の様に扱って、他人にくっつけるとする。

すると、その時点では攻撃にならないが、私が、魔法で小さな氷を作る。

その魔法は、いつも通りの氷を射出する魔法だから、当然、氷は飛んで行く。

そう、私の作った、魔法の糸を伝って。

それは、不可避の弾。


私が、魔法の弾を作っても、予測されて避けられる。

だから、戦闘中に気付かれない様に、相手に魔力の糸をくっつける。

そして、油断している相手の、弱点めがけて魔法を放つ。

不要になったら、その糸は切れば良いし、この魔力は私のだから、悪用される事もない。


つまり、私の戦略は、最強の盾で守ってから、気付かれない様に相手を捕まえる。

そして、一撃で決める。

反撃の隙も、希望も与えない。

必殺技と言うやつだ。


うん。魔法少女には、必殺技がないとね。

少し諦めてたけど、私は問題なく、魔法少女だよね?

そして、あわよくば、あの子の目の前でカッコいい所を見せたい。

あなたの、ヒーローです。なーんて。



非常に、しょうもない事を妄想する乙女。

親友の事を考えていれば、幸せになれる、なんとも単純な、乙女である。

魔法の練習も、そこそこに切り上げ、その日は眠る。

乙女にとって、幸せな夢を見ながら。





ここは夢の中。

しかし、ただの夢では無い。

女神の力が働き、乙女に道標を示そうと、映し出される。


そして、そこには小さな黒髪の女の子がいた。

乙女に向かって、笑いかける黒髪の少女。


少女はお礼を述べてから、ある人に向き直っている。

ある人とは、見覚えのある男性で、少女から、何かを手渡している。

何かとは、荒削りな宝石の様で、ルビーに似ている気がする。

しかし、それは若干赤黒く、不安を抱かせる様な真っ赤である。

血の様に赤く、不思議な魅力を感じるが、何故かはわからない。


そしてそれを、他の何かの石と魔力で混ぜると、綺麗な輝きを描いて、大きな結晶が出来上がる。


その時、何か複雑な感情を抱いた気がする。

嬉しいけど、悔しい。

喜びもあるけど、少し悲しい。

心がチクチクする。

なんなのだろうか?




フッと、場面は変わり、乙女の目の前に、横たわった少女がいた。

その子は、さっきの子に間違い無い。



黒髪の少女の、心臓の位置が赤く染まり、目は光が消えて、空虚な模様を描いている。

少女は、口が動き誰かに対して、謝罪をしている。


乙女は泣いている。


その少女を抱え込んで、嘆いている。

何故だろうか?

どうしてこうなったのだろうか?

さっきは幸せそうだったのに。


少女は、死んでしまったのだろうか?


後悔している、のかな?私。



乙女はこの後、咄嗟に目を覚ます。

夢を見ていた筈。間違い無い。

何故か、正体不明の涙が流れている。

だが、思い出すことは無い。

その時に、至るまで。




朝を迎えて、迎撃の準備をする。

何か、指示を与えられた訳ではない。

だが、問題は無い。

そして乙女は、決意を固める。

敵を殲滅する為に、宣言する。


「あの子以外に価値は無い。全てはあの子の為に」


乙女は予知夢を見ました。

近いのかも、遠いのかもわからない未来を。

乙女は幸せになれると良いですね。


ちなみに乙女は、16歳で、女神様の生き写しです。

転移なので、元々の年齢を引き継いでます。



ちょくちょく、今章でも、少女絡みは出す予定なので、その時に、少女成分を摂取してくださいね。

ただ、少女主観は無い予定になってますので、ご了承下さい。

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