十二話 森の秘密
日が顔を出す直前くらいの早朝に起こされ、私は狩りへと出かける。
寝ぼけているフレアさんが、私を離してくれずに、中々に苦労したのだが、悪い気はしなかったので、少し出るのが予定より遅れてしまった。昨日のうちに用意していた道具を装備してから家を出る。目指すは私が封印されていた森である。
元々あの辺で探索しながら、野生動物を狩っていたらしいので、基本狩りと言えばあの森らしい。
しかし、昨日説明された事で森の中は魔物がいたりして危険らしいのだが、あの森ではどういう訳か一度も遭遇していないらしい。疑問に思っているとアイちゃんがそれとなく、私に説明をしてくれた。
《あそこは周囲の魔力濃度が低く、魔物は嫌がって近づかない上に、生まれもしなかったので野生動物が好んで住んでいるみたいですよ?》
と教えてくれたので魔物はいないらしい。しかしアイちゃんが、警告気味に情報を付け加える。
《とは言え、貴女の封印が解けたので、徐々に魔物が棲み始めると思います。あと、忘れていましたが、思い出したのでお願いしておきます。吸魔の宝玉を返してもらって欲しいです。アレが私の本体らしいので》
その事に一番に驚愕して慌ててしまったのだが、もう夜は遅く、日は沈んでいたので次に会った時でいいと言われて、その件は取り敢えず置いておいた。
そしてトライさんと人を待っているとアルバスさんが来た。
「アルバスさんもですか?」
「知らなかったのか?元々は俺たち2人で探索してたんだからそりゃそうだろ」
「そう言えば言ってなかったかも?」
丁度いいや。宝玉のことを言っておこう。
「あの、この前渡した吸魔の宝玉は持ってますか?必要になったので」
私がそう言うと、アルバスさんがバックを下ろしてから、中を漁ると出てくる。
「貴重品だからな。基本持ってるぜ?ほら確かに渡したぜ」
そう言って渡されたので受け取る。
「ありがとう大切にしてくれて」
アイちゃんの分もお礼を言っておく。
「おう。しかしイマイチ使い道がわからん。そもそも使い方すら理解出来んのだがな」
「まあ使うと言うよりか、大切なモノだから」
「しかし、改めて気づいたが嬢ちゃん。目の色左右で違うのな」
そう言われて考える。右眼は赤で龍の眼の方で、左目の青色は恐らくお母さんの方の遺伝だろう。
それは良いのだが、オッドアイだと目立つかも知れないので、右眼は隠したほうが良いかな?客観的にはどうなのかわからないので尋ねてみる事にする。
「変、ですか?」
そう言ってみると2人が同時に首を振りながら
「「そんなことはない」」
「ただ神秘的な目をしているなあと思ってつい気になっただけだ気にしないでくれ」
「そうそう。クロはとっても可愛いからね。より男を魅了しそうだなって思ったのさ」
そう言われて顔が熱い。きっと真っ赤になってしまっている。仕方ないじゃないか。
今まで誰にも面と向かって、可愛いだなんて言われた事がないのに、急に言うなんてズルイ!
とよくわからない怒り方をしてしまった。
実際には心の中でだが、その怒りは子供ですら恐がらない程度の怒り様だった。
クロは照れ屋で無表情です。肌が白いのも相まって赤くなるとすぐわかります。そんなクロを微笑ましく見守ってくれると幸いです。