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黒龍の少女  作者: 羽つき蜥蜴
五章 対なる者
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百二十四話 格闘訓練

初めて参加した議会より一週間が経過した。

季節は完全に春となり小鳥の囀りが聞こえる。


今日はやる事がないので、一日中特訓をする予定にしている。

どうにも私は、身体を動かす事が好きみたいなのだ。

書類仕事は好きになれないらしい。

なので、オルトワさんと格闘訓練を行なっている。


オルトワさんも、私が頼めば訓練の相手をしてくれるみたいなので、とても助かっている。

いくら私からのお願いだとは言え、基本的には暇ではないはず。それなのに急のお願いでも応じてくれるのだ。

まあ、嫌がられてはいないと思う。でも、毎日は迷惑かとも思った。

しかし訓練中に、時折笑っている気がするので、大丈夫な気もするけど。


ある程度運動して、休憩を挟む。

リスタさんが、飲み物などを用意してくれているので有り難く頂く事にする。

そして私が休んでいると、リスタさんが話し掛けて来る。


「いやー、お嬢様は凄いんですね」


そう言われて、私は少し照れながら否定を述べようとした。

しかしそれより早く、リスタさんがオルトワさんの手のひらで頭を叩かれてしまう。

こう、スパンて。


「痛いです!」

「当然です!あなたは、いつもいつもお嬢様に失礼な事ばかり言って!」

「ああ、いいよ!?気にして無いから。オルトワさんも怒らないであげて」

「そうですよ!メイド長は厳し過ぎます!」


リスタさんが文句を述べれば、一瞬空気が固まってから、オルトワさんが怒ってしまう。

そう、まさに、ピキッて音が聞こえた気がする。


「リスタさん?お嬢様が大変、お優しいだけです。他の貴族様が、このように優しいと思っていますか?」

「え、あ、いやその」

「良いですか?イヴ様が、お許し下さるから私は、あまり注意をしません。イヴ様の仰る事が全てだからです。しかし、だからこそイヴ様の気持ち一つで、あなたが解雇される可能性もあるのです」

「あ、あ、ですが、その」

「優しい相手だからと言って、何でも許される訳ではありません。その事をしっかりと理解しなさい」

「は、はい」


凄くしょぼくれてしまう、リスタさん。

まあ、私は特に気になってないし怒ってはいない。

なのだけども、少し可哀想だがメイドには、メイドの心構えがあるのだろう。

私が口を挟むべきでは無い気もする。


それのせいか、少し静かになってしまったが、とても珍しい事が起こってしまう。

それは、オルトワさんからの言葉だった。


「ですが私は、あなたの努力は認めます。日々、頑張っているのは理解しています。誰にでも人懐っこいと言うのは、成る程長所です。しかし、礼儀を欠くのは直しなさい」


そう、珍しく褒めている。

まあ最後に説教があるのもオルトワさんらしいが。

しかし、お陰様で空気は改善された気がする。オルトワさんはあまり褒めないから、余計に効果が高い。

流石はオルトワさん。とても有能だね。


私は結局、何も言えなかったが、訓練を再開する。

リスタさんが落ち込んでいるかとも思ったが、大丈夫な様だ。

多分、オルトワさんに褒められたのが珍しかったのだろう。少し驚いた表情が印象的で、固まってしまってる。


そんな、余計な事を考えて訓練をしていると、お腹に一発貰ってしまった。


「うぐっ」

「また、油断していますね。気を散らしては駄目ですよ?」

「むう。でも、なんだかんだで優しいんだね」


私は、オルトワさんを少し誤解していた。

そう、今の一撃も痛くない。

躱せない一撃は、非常に弱めに撃って来ている。

恐らく、当たる瞬間に少し引いて、衝撃を弱くしているのだろうと思う。

ただの厳しい人だと思ってた。けど、そうではないらしい。


しかし、今の一言で、オルトワさんは眉間に皺を寄せてしまった。

私の言葉を煽りだと思ったのだろう。

そして、言い放つ。


「お嬢様?私が、手加減をするから油断しているのならば、本気を出す事を考えねばなりませんね」

「え!?」

「訓練ですし、お嬢様に傷をつける訳には、いかないと思っておりました」

「う、うん」

「仕方が、ありませんね」


オルトワさんは、そう言って手加減が無くなってしまった。


前言撤回。


やっぱり、ただの厳しい人だった。



なんとか痛いのは貰わなかったが、少し擦りむいてしまった。

実際には、メイド長は敢えて、躱せる様に調整しているのだが。

その事に気付かない少女。

とは言っても、本来少女に油断さえ無ければ、クリーンヒットを貰う事はない。


そして、夕方に訓練を終えてから今現在は、治療中である。

オルトワさんに怪我の手当てをして貰っている。


「お嬢様。怪我の治りが早いですね」

「ん?そう?かな」

「ええ。若さ、ですかね?」


オルトワさんのジョークだろうか?

私とオルトワさんは、一回り程度しか離れていない。

十分、オルトワさんは若い。

そう言えば、リスタさんも若い。

私とオルトワさんの間くらいかな。確か、それくらい。聞いた覚えがあるような無いような。

まあ、よくわからないので、曖昧に返事をする。


「どうだろう?」

「もう、瘡蓋になっています。これならば、手当の必要も無いですね」


オルトワさんがそう言って、救急箱を片付ける。


ん?いくら、怪我の治りが早いにしても、たった数刻でそうはならない気がする。

私ってこんなに怪我の治りが早かったかな?

いや、そうだったかもしれないけど、何か違和感を感じる。

これも、記憶が無い弊害なのかな?


少女は悩む。それはどちらの記憶なのか。

それすらも、解らぬまま。

一応、二行目は”さえずり”と読みます。

あまり見ないので、書いています。


まあ、本当はあまり見ない漢字は、使わない方が良いのですけどね。


読める方には、鬱陶しい文章でしたね。

m(*_ _)m

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