十話 狩りの準備
朝ごはんを終えて、トライさんと一緒に広場へと向かう。そこには、大きな倉庫がいくつかある。
そして、その中の1つへと入ると、複数の武器があり、弓矢と剣やナイフを持ってから、また広場へと戻る。
「じゃあ、まずは弓矢が使えると早いんだけど、試してごらん?使い方はわかるかい?」
「えっと、矢を持って引けばいいんですよね?」
「そうだね。一応1番弱いやつを持ってきたけど、もし駄目なら別の武器を練習しよう」
「はい。わかりました」
そう言って引き絞ろうとするも、力が足りないのか弦が引けない。
「あれ?全然駄目かも」
「難しそうだね。武器は特に持ち手を選ぶから、どうしても得手不得手があるんだよ」
「えっと?それは、どう言う意味ですか?」
《貴女に扱える武器はあまり無いみたいです。ただ唯一ナイフだけは、人の力を超えて使えます。なんと爪を振り回すが如くらしいです》
「なんていうか、才能みたいなのがあるのさ。俺も弓より剣の方が得意だし、才能がないと、その道具を練習しても全く使えない場合が稀にあるらしい。一応練習すればそれなりに使えるはずだけど、全くとは珍しいね」
「そうですか」
「ま、まあまだ落ち込むのは早いよ。ほら、あの中で色々試してみてごらん」
そう言われてナイフを取る。
すると私は、持った瞬間に理解してしまった。目を瞑っても変幻自在、それこそ自分の体の一部の様に扱えてしまう。
これは、本当に初めて持った武器なのか、疑問に思うほどの扱い易さである。
なので、振り回したり投げたりと無意識に遊んでいると
「驚いた初めてでそんなに扱えるとは、だったら投げナイフとして使えれば、なにも問題なさそうだね」
そう聞いて、遠くに藁束で出来た的に向かってナイフを投げると、一直線に進み突き刺さる。
それをみて確信した。
「これなら使えるかも」
私はそう言って、自慢げに微笑む。
「使えるというかなんというか」
すると、そんな言葉を言いながら、トライさんは微妙な表情で笑っていた。