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黒龍の少女  作者: 羽つき蜥蜴
五章 対なる者
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百六話 様々な仕事②

夜。

テーブルを囲んで、4人で食事中である。最初は少女1人で食べる予定であった。

しかし


「皆で食べよう。わざわざ、別々に食べる必要もないでしょ?」


と言う、当主の決定でメイド含め、全員が揃って食事中である。


そして口を開く、当主であるお嬢様。


「ねえ?エルードさんは、何故ここに仕えてるの?」


その言葉を聞いた老人は間髪入れずに答える。


「はい。私は陛下よりの命令で、教育係として、こちらに仕えております。主に、軍務や政務、他に魔法の知識などが得意です」

「成る程。じゃあ分からないことは訊いても良いの?」

「はい。勿論ですとも。幾らでも頼って下さい」


それを聞いて、少女は話す対象を変える。


「じゃあ、オルトワさんは、なにが得意なの?」

「はい。私は主に、護衛として雇われています。本業はメイドでありますが、私も陛下より、貴女様に仕える命を受け、ここに居ます」

「成る程」

「お望みとあらば、格闘術の教練も可能です」

「手が空いたら、教えて貰おうかな?」

「畏まりました」


メイド長との会話は終えて、次にもう1人のメイドさん。つまりは、リスタさんに質問をする。


「リスタさんは?」

「は、はい!わ、私はメイド長の面接を受けてここに居ます」

「へえ?リスタさんは、後から雇われたんだね」


そこに、オルトワさんが会話に混ざる。


「はい、私が雇いました。もし、気に入らなければ、お申し付け下さい。クビにしますので」

「く、クビ!?そ、そんな」

「あー、いや?別にそんな事はないよ」

「もし、不手際がありましたら言って下さい」

「ま、まあ、わかった。それよりさ雇った基準は?」

「はい。陛下より、雇う者は厳選する様に言われています。何よりも難題なのは、当家を知らない者、と言う条件を付けられました。条件に相応しいのはこの者だけでした」



ん?条件と言うのは、王様の指示かな?



「それも、王様の命令?」

「はい。その通りです。正確には、この国について詳しくない者を雇う様に、と言われています」

「ふーん?まあ、本当に何かがあるんだろうね」


王様の親切なのか?それとも。


よく分からないが、命令とあれば何も言える事は無い。

黙って頷き、食事を続ける。


食事も、終わり頃に差し掛かった頃合いに、オルトワさんが私に話し掛ける。


「お嬢様。明日、来客の予定があります」

「ふーん?誰?」

「はい。竜巫女様です」

「あれ?昨日も会ったけど?」

「はい。是非、行きますと、仰られていました」

「わかった」


ラーナちゃんか。ひょっとして暇なのかな?


そんな事を考えながら、食事を終える。

すると、オルトワさんから提案が飛んで来る。


「それでは、お風呂にしますか?」

「え?あるの?」

「ありますね。王家並みの設備ですから。準備は出来てますよ」

「そ、そう。じゃあ、入るよ」


この家、どれだけお金かかってるんだろう?本当に、御先祖様?は何をしたのか気になる。もしくは、私。


「では、お背中流します」


ん?何を言った今。背中を流すって?え?

いや、1人で入りたいよ。よし、断ろう。


「いいよ。1人で入るから」

「いえ!貴女様のお身体を、洗って差し上げるのも仕事です」

「恥ずかしいからいいよ」

「いいえ!駄目です!」


何が駄目なのか?アレか!?貴族のなんたらか?断れないのか?断れないんだね。はぁ。


「じゃあ、頼むよ」

「承知しました」


結局断れず、お風呂へと、メイドを引き連れ向かう。



そして、ごしごしされた。


とてもくすぐったかった。


たえられず、にげようとした。が、すぐにつかまり、また、ごしごしされた。


メイドさんはつよかった。



湯船に浸かっている少女。気持ち良さそうに1人で入浴している。メイドさんは脱衣所へと下がり、時折声を飛ばしている。


「長湯は駄目ですよ」

「むう、わかってる」


少女は、むくれながら応答する。仕方が無いのだ。お世話をされるのが、嫌なお年頃なのだから。



お風呂から上がり、そのまま寝床へと向かう。

そして、当然の事であるが、メイドさんが付いて来る。


もう、何も言う事なくベッドに入る。とてもフカフカで、心地良い。

これも、さぞお高いんだろうなと思いながら堪能する。

そして寝転がれば、私は今日の1日を振り返る。



私は、私に成りきれていたのだろうか?

不審に思われなかっただろうか?

皆は、私の昔を知っているのだろうか?


不安に思い、私はオルトワさんに尋ねる。


「ねえ?今日の私、変じゃ無い?」

「はい?急にどうかしましたか?」

「いや、やっぱりなんでも無い」


不審に思われてない。なら大丈夫だろう。

そう思っていると、オルトワさんが話す。


「少し、寂しそうに感じます。何か、あったのですか?」


私の中にある不安。それをつい、私は溢してしまう。


「うん。記憶?が無くて」


私がそう言えば、驚くオルトワさん。


「そう、でしたか」

「不安なんだ。どうしたら良いのか。何か、大切な物を忘れたんじゃ無いかって」


私がそう言えば、そっと、私の手を握るオルトワさん。そして言う。


「不安でしたら、幾らでも頼って下さい。その為に、私が居ますから」


オルトワさんの言葉で少し、私の気が晴れる。

でも少しだけ、まだ足りない。


「ねえ?私が寝るまで、私を抱きしめてくれない?」


私がそう言って、布団を上げる。

こうして、一人分のスペースを作れば、動揺するメイドさん。


「そ、それは!?その、仕事がありますし」


ふーん?私の側に居るよりも、大切な仕事があるんだ?


少女が不満を募らせ、睨めば観念するメイドさん。



こうして2人抱きあって、寝てしまう。

結局、メイドさんは朝迄、仕事を忘れて、寝落ちしてしまうのだった。

オルトワさんは、バトルの出来るメイドさんです。


エルードさんとオルトワさんは、元々王家に仕えていた、有能さんです。

王様が、黒龍の部下として、信頼できる者を寄越したわけですね。

そして、リスタさんはオルトワさんが、メイド1人は辛いと言う事で、雇った人です。

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