百五話 様々な仕事①
現在、私は高そうな服を着ている。
2人のお姉さん(メイドさん)に、玩具にされた後である。
最初は、メイド長であるオルトワさんから、新人のリスタさんへの指導だった。
しかし、私の服が剥ぎ取られた後、流れが変わってしまった。
少し、思い出す。
2人のメイドさんは、私の後ろで立っている。
「この様に、躊躇う事なく、素早くです」
「は、はい!」
メイド長さんが、新人に指導しながら私を剥いていく。
2人は真剣そうだし、恥ずかしいけれど、黙っておこう。
そう思いながら待っていれば、ピタリと2人の手が止まる。
何事かと考えていると、声が聞こえる。
「イヴお嬢様。その、大変美しい肌をしておりますね」
「羨ましいです」
そんな感想を述べられてしまう。
つい照れてしまう。
嬉しいけど、なんでも良いから、早くしてくれないかな?
流石に恥ずかしいんだけど。
私がそう思えば、ハッとした様な表情になり、咳払いをするオルトワさん。
「ゴホン。失礼致しました。ん?」
オルトワさんが疑問を感じたのかな?その後すぐに、小気味の良い音が鳴り響く。
そう、まさに、スパコーンという感じ。
「痛い!」
「いつまで見惚れているのですか!」
「す、すいません!」
怒られるリスタさん。でもさ、オルトワさんも固まってたよね?復帰は早かったけど。
漸く、終わったかと思えば今度は、お着替え大会が始まってしまう。
途中で言い争い、もとい、議論が行われていた。
曰く、お嬢様は白です!
曰く、違います!華やかな黄色です。
私は、どっちでも良いから早くして欲しい。
そう考えていれば
「お嬢様はどっちが良いですか!?」
となる。
なので説教した。
全く、一応偉い人なんだぞ。私は。多分だけど。
オルトワさんが、リスタさんに仕事を与えている。
それを確認してから、私はオルトワさんを引き連れて、エルードさんの所に向かう。
そして現在。エルードさんと会話中である。
「そうですな。やるべき事はまずは、勉強でしょうな。なにをするにも、知識が無くては不可能ですから」
エルードさんの提案を聞いて、私は質問をする。
「なら、ざっとこの国の弱点を教えて欲しい」
「そうですね。人材難は深刻です。他に、外交関係もあまり良くないですね」
結構深刻らしい。ならば逆に、良いところを知りたいね。
「良い所は?」
「生産性の高さや、技術力、国民の結束力は特に秀でています」
「私に、出来そうな仕事は無いね」
思いつく良い案は無い。だからそう言えば、励ます様にエルードさんが話す。
「陛下に恩を返すのは、数年掛かるでしょうね。まずは収入からです」
「稼ぐ方法か。世の中お金だね」
「ま、まあ、大切ですからね」
会話はそこそこ、私は取り敢えず、エルードさんに案内されて、執務室に向かう。メイドさんを連れて。
そして着いたら、嫌でも目に入る、山の様な書類と、沢山の山積みの本。
思わず声が出る。
「ゔぁ」
「取り敢えず、承認が必要な書類と、関連の本です」
「やれと?」
「そうですね。当面は代行しても良いですが、イヴ様でないと駄目な仕事もありますので」
帰りたい。ここが私の家だけどね。
嫌だな。逃げ出したい。
駄目、だよね。はぁ。‥‥‥やるか。
諦めて高そうな(値段が、であり、大きさの話はしていない)椅子へと座る。
エルードさんは何処かへと行き、オルトワさんが後ろに立っている。
座ったが、やはり高さが合わない。
そう思っていたら、黙ってスッと調整してくれるオルトワさん。とても助かる。
‥‥‥優秀なメイドさんなんだね。
早速手を付ける。ひたすら集中してこなす。
判らない所は調べて、調べても理解出来ない所は取り敢えず放置。後で質問する事にする。
気付けば、日は陰り夜である。冬とは言え、相当集中していたみたいだ。
そういえば、メイドさんは動いていない。
私を見ながら、待っていてくれたみたい。
主人が仕事しているから、離れる訳にはいかないとか、そう言うやつかな?
確認しとこう。
「別に、私の側で待ってなくても良いんだよ?」
「いえ、これが私の仕事でもありますから」
やっぱりか。しかし、数時間も私を眺めるのは、退屈では無いだろうか?
そう考えていると
「ですが、お嬢様。食事の準備をしますので、私は少し離れます。用がありましたら、お呼び下さい」
「うん。わかった」
どうやら、仕事しに行くらしい。とは言え、私につきっきりなのも十分仕事だよね。
まあ、呼ばれるまで仕事しよう。
1人寂しく、書類と睨めっこを再開する。
時間が経って、扉を叩く音が響く。それに続いて、女性の声も響く。
「イヴお嬢様?お食事の用意が出来ましたよ」
その声に返事は無い。不審に思ったリスタは、部屋に入る。
「失礼します。と、あれ?お嬢様」
リスタの目の前には、机に突っ伏して、寝ている小さな少女。
つい先ほど、メイド長に指示され、お嬢様を呼びに来た。
疲れて寝てしまったのだろう。
戻られた時には傷だらけで、少しおどおどしていたのが、印象に残っている。
王家がお嬢様に、任務を与えて、戻ってきたら倒れていたらしい。
そして、王家が保護して、今に至る。
私は初めての仕事の面接で、ここの仕事を受けた。
メイド募集!と、書いてある貼り紙を見てここに決めた。
大した理由は無い。ただ単に憧れの仕事だから。
何処に仕えるのかも、どれ程の給金を貰えるのかも、確認していない。
つまり、私はお馬鹿なのである。知っている。
しかし蓋を開ければ、公爵家に仕えると言う、大変名誉な仕事である。お家の名前は知らなかったけど、多分私は無学だからだろう。
給料は、とんでも無く高い。見た事もない額である。
何故、私は受かったのか?他にも面接を受けている者は居たのに。しかも、頭が良さそうな人ばかりだった。
運が良かったのだろうか?
仕事とは、関係の無い事を考えるリスタ。ハッと気がついた様に、お嬢様を見つめて、正気に戻る。
と思いきや、また余計な事を考えてしまう。
とても、柔らかそうなほっぺである。プニプニしてそう。
そんな事を考えてしまい、ツンツンするメイド。仕事を完全に忘れて、メイド長が怒りに来るまで、少女を触って遊ぶのだった。