百二話 コウイ症
さて、取り敢えず2,000文字目安に頑張ります。
実は、外伝に一話投稿してます。気付いて頂けましたか?
悲しめのお話になってますので、読む時は気を付けて下さい。
戦いから数刻。木にもたれて眠る少女。その場に複数の人達。少女を見つめ、会話をしている。
「どうする?」
「と、とりあえず、連れて帰ろう」
「敵が居なくなっているんだが、まさか?」
「わからん。それよりも、公爵様だぞ?早く連れ帰ろう」
「嫌な予感がしないか?」
「だが、特別報酬が貰えるかも」
「本当か!?」
「少なくとも、保護したのに怒られる事は無いと思う」
騎士たちは、少女を馬に乗せて連れ帰る。
竜聖国の、前線拠点に連れて行かれた少女は目覚める。
ここは、拠点の中の、応急処置テントである。
そして、目覚めた少女は口を動かして、言葉を発する。
「ここは、どこ?私は」
少女の、目覚めに反応した騎士は、すぐさま偉い人を呼びに行く。
少女はボーッとしており、騎士を眺めている。呼ばれた将軍が、テントに入って来てから、少女に話し掛ける。
「イヴ公爵様!」
呼ばれた少女は首を傾げる。そして返事をする。
「私?」
「そ、そうです。イヴ公爵様?」
「そっか。私はイヴ。イヴ?だっけ?」
疑問を感じている少女は思考の世界に入る。
あれ?私はイヴ?‥‥‥そうだ。私はイヴ。
私の名前は、イヴ•ロード=リベリオンだ。
本当に?なら、何故こんなにも疑問が湧くのだろうか。
確かに、このおじさんは知ってる。そう、面白いおじさん。
なんだろうか?違和感を感じる。
何かを忘れている様な。
そう言えば、私って独り言が多いんだよね。
私は誰?‥‥‥黒龍です。うん。1人だ。
考え事をしていれば、誰かの声が耳に届く。
「い、イヴ様!!」
ハッとすれば、私の目から、涙が流れている。
「な、何かあったのでしょうか?」
私に、そう問いかけるおじさん。何も無い筈。でも、涙が止まらない。でも、よくわからないから誤魔化す。
「なんでもない」
「そ、そうですか?」
「それよりもここは?」
「ここは、私達の野営拠点です。騎士達が貴女様を保護したとの事ですが、褒賞を与えても宜しいですか?」
誰かが、私を保護してくれたんだね。記憶が少し、曖昧だからよくわからないけれどね。
「ん?あ、うん。適当にしといて」
「は!わかりました。それよりも、敵軍が壊滅しておりますので、我らは国へと帰りますが、イヴ公爵様はどうされますか?」
どうやら、この人達は帰るみたい。丁度良いかな?こんな、何もないとこよりは、国に行った方が良いよね。
よし!そうと決まれば連れてって貰おう。
「うん。私も帰るから、連れてってくれないかな?」
「は!承知致しました!」
こうして、軍に合流してから国へと向かう。
約2週間をかけて、首都ドラゴンリードへと到着した。
私が国に入った瞬間に、不思議な感覚を覚える。
なんだか、見覚えがある様な気がする。この国に来るのは、初めてでは無いのかな。あのお城だって見た事がある。
随分と仲良くなった、騎士さん達と別れを告げて、宿を探す。
最初の方は、凄く丁寧な騎士さん達だったけど、段々とフランクになっていった。そして何故か、それを叱る面白おじさん。
私が、別に適当でいいよと言えば、苦笑いをする、面白おじさん。
それから仲良くなって、ご飯を作ってあげたりした。不思議と体が動き、見てられなかったからだ。
なんだか、天使だとかなんだとか。
それより、公爵様ってなんだろう?面白おじさんは、私をそう、呼んでいたけれど。
まあ、私はイヴだから、私の事を指していたんだと思う。
天使か、私は‥‥‥なんだっけ?あれ??
さっきまで私は何者か、理解していた筈。
考えると頭が痛い。右目に針が、突き刺されている様に痛い。
頭が‥‥‥割れそうだ。
少女はフラフラと揺れ、遂には倒れる。
私は眠った。だが、その時に何か、消える気がした。私自身が、消える気がした。
豪華な部屋に、佇む金の少女。小さな女の子の手を握り、その小さな女の子を、見つめている。見つめながら、考える。
私の目の前に女の子が居る。その子は、とても整った容姿をしている。
綺麗な黒髪。透き通る様な、白く美しい肌。
とても、凛としており、優しい。そして、私の崇拝する、黒龍様。
母から聞いていた情報では、少し興味が湧いただけ。
だが、見てしまった。目を。一瞬で虜になってしまった。
神々しい。不敬だろうか?
でも、どちらでも良い。神でも龍でも。
私にとって、全てを持っている方。憧れてしまった。
どうか貴女の傍に。どうかもう一度、お話しを。
金の巫女は願う。この国の龍に。
黒龍の少女は目を覚ます。
そこは、ベッドの上。フカフカのお布団の上で寝ていたみたい。
そして、白の布団を彩る、金の模様。
女の子が寝ている。その子は、私の手を握っていて、すぐには起きそうに無い。
看病?してくれてたのかな。こんな事、前にもあった。
意識はハッキリしている。なので私は、記憶を探る。
私は、イヴ。
‥‥‥他は何も無い。
寝てしまっている、金の女の子は誰だろうか?
私が動いたからだろう。金の女の子は、起き上がりながら薄目を開ける。そして、細目から、急に目が見開いて、言葉を放つ。
「イヴ様!」
言いながら、私に抱きつく。涙を流しながら、泣いている。
私の為に、泣いてくれているのだろうか。
私は大切にされているんだね。少し、嬉しいな。
私は、頭や背中を撫でながら、金の少女をあやす。そしてそれが嬉しいのだろう。多分、喜んでいる、気がする。でもまあ、私も嬉しい。
少女2人は慰め合う。そう、ここには2人しか居ない。
居なくなってしまったのだから。
少女なのに、ロードはおかしいですね。この勘違いはどこかで正される筈。
更新を不定期とさせて頂きますが、出来るだけ毎日にします。時間は19時のままです。
忙しくなりそうですから、保証ができなくて申し訳ありません。
それでも良ければになりますが、改めまして、今後とも宜しくお願い致します。
m(*_ _)m