表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒龍の少女  作者: 羽つき蜥蜴
一章 優しき出会いと別れ
1/292

プロローグ 生まれる前の記憶

ふと、目が覚め身体を起こしてから、辺りを見回すと見覚えのない光景に驚く。

何故なら周り一面灰色の壁に囲まれていたからである。


「あれ?ここは・・・どこ?」


私は、自分の記憶を頼りに、最後に何をしていたかを考える。


「あー多分死んじゃったのかな?」


そう思えば、私の、今の状況に納得出来る。

そして、再び思考の海に沈みこむ。


私は死んでしまった。なのに此処に居るのは、きっとこの空間が死後の世界だからだろう。

ん?それとも死んだのが夢だとか?

いや、それはない。あれ?死んだのなら肉体は?と思い下を向く。


「‥‥‥‥ない」


胸が、では無く身体が。胸は元々無いが、少しくらいはあった筈。自身の状態に困惑していれば、私の耳は音を拾う。


「目が覚めましたか?」


綺麗で、穏やかさを感じる声が聞こえてきた。そちらの方へ視線を向けると、長髪の美しい女性が居たので、質問してみることにした。


「此処は?」

「とある空間とでもお答えしましょうか」

「何故、私は此処にいるの?」

「私があなたをこの世界に招いたからです」

「ここは死後の世界なの?」

「いいえ、違います。しかし、貴女は確かにお亡くなりになっていますよ」


と言うことはつまりこの人?は神とかそう言う系の何かなのかな?逆らったらまずそう。


「貴女の考えている通りです」


あっ‥‥考え読める系の神様だわ。

私が、余計な事を考えていると女神様の口が動く。


「そろそろ、私の話を聞いて貰っても良いですか?」

「あっハイ。どうぞ、お願いします」

「貴女にお願いがあります。ある世界へ転生して頂き、世界を発展させて欲しいのです」


私は、それを聞き考え始める。

まずは、私へのメリットと私へお願いする理由はなぜなのかを。

メリットは生き返ることであり、リスクはいくらかあるだろうということ。

そんなに美味い話は無い筈だ。

そして、女神様が私に頼む理由はわからない。なので訊ねてみる。


「何故私に頼むの?」

「貴女はとても綺麗な魂をしているからです。また私の代わりが務まる者でないと、駄目だからです」


微妙に答えになって無い。信用して良いのかも判らない。


「‥‥‥拒否権は?」

「ありますよ?でもお願いします」


あー、これ断れないやつだー。うん。察した。

でもまあ、生き返らさせてくれるだけでも、有り難いのかもしれないな。


「具体的にはどうやって導くの?」

「貴女の好きにして頂いていいですよ?貴女が、ここから出たら、私は何も出来ませんから」

「私に、そんな事を教えていいの?滅茶苦茶にする事だって考えるかもよ?」

「やはり貴女は綺麗な心の持ち主ですね。悪いことをする人は、そんな事をわざわざ言いませんよ」


人を信じすぎでしょこの人‥‥‥神だったわ。

頼ってくれているのだろうか?でも、自慢じゃ無いけど私に才能なんて無い。だから愚痴の様な何かが口から溢れる。


「私は人を導くほどの、大した能力はないけど?」


私は、生まれてから16歳迄、その殆どを、病気で寝て過ごしていた。やる事がなく本を読んだり、勉強したりと色々やってみた。だが家族に負担ばかりかけて生きて、果てに死んでしまった。病気が治ったら、家族の為に、人の為に、頑張ろうと決めていたのに。


「貴女の為に、泣いているとある家族がいました。その人たちの願いと、貴女の願いを叶えます。そして貴女に幾らかの能力を与えますから、頑張って欲しいのです。その上で可能なら、私の願いを叶えて下さい。私の悲願である、人々の幸せと言う願いを」


そっか。お母さんたちは私のために泣いてくれてたんだ。そう思うとなんだか目が熱いや。


「うん、わかった」


断れないだろうから。


「はい、ではお願いしますね。それと何か質問とかはありますか?答えられる範囲で答えますよ?」

「それなら私にどんな能力が備わるの?」

「神と龍ですね。あとは魔力とか」

「うわ、なんか凄そう。というより魔力?」

「はい、そうですよ?魔法が使える世界です。ただし、その所為で文明がなかなか発展していないのですよ」

「どんな魔法があるの?」

「火水風土の四属性、それと肉体強化。あとはその他という分類で、6種類と言うのが常識として存在します」

「じゃあ記憶は残したまま転生できるの?」

「殆どを封印される事になります」

「そっか」


気になったのはこんな所かな?他に何かあったっけ?いや、もういいかな?


「もう大丈夫ですか?」

「うん」

「では、いってらっしゃい」


女神様が、見送りの言葉を言えば、辺りが白く輝き始める。周りの景色は段々と光に塗り潰されて、輝きと共に、私の意識も、薄く遠のいていく。その時の声は聞こえぬまま。





「私の愛しい娘よ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 世界を発展させて欲しいなのに記憶を消すてどういうこと?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ