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第2話 そして生まれ変わる

「はぁはぁ……くそっ! まだ追ってきやがる!」

 

「なんなんだよあいつは!」

 

 真夜中の細い路地を2人の男が息を切らしながら走っている。

 

「酷いなー、俺は悪人を成敗する正義のヒーローなんだぞー。なんつって」

 

「ひっ! く、来るなぁ!」

 

 その2人を追いかける1人の子供。

 

「お前ら最近スラムの子供を捕まえては奴隷商に売って稼いでるだろ?」

 

「なっ、なんのことだ!」

 

「お……俺は知らないぞ!」

 

 子供からの問いに男たちは「知らない」の一点張り。

 

「2人も同じこと言うなよ煩いな、お前要らない」

 

「待て! たの……ぐあっ!」

 

 そう言って次の行動が早いか、一瞬で男の後ろに回り込み首をへし折る。

 

「ひぃっ!」

 

「ほら、金の在処を言えよ、楽に殺してやるから」

 

「クッ……ソガキがぁ! 舐めんじゃねえ!! 【銃弾(バレッタ)】!」

 

 手を銃の形にして子供に向けると、その指先から銃弾が飛び出した。

 

「馬鹿が」

 

 来るのがわかっていたのか華麗にその銃弾を避ける。

 

「な、なんでだよ! ホルダーでもないガキに……こんな目に会わなきゃ行けないんだよぉ!」

 

「金は探せばいっか、さてどうやって殺そう」

 

「う、うあああああああああ!!」

 

 真夜中に響く断末魔は誰の耳にも届かなかった。

 

 

 

 

 § 第2話 そして生まれ変わる §

 

 

 

 

「カカカ、今回は面白かったなぁ、とくに最後の追いかけっこは久々に走ったからいい運動になった」

 

 誰にも気づかれないような山奥に小さな小屋がひとつ。そこにその少年、ナギ・ロードは住んでいた。

 

「明日はどいつを殺そう、〖呪言〗のテラーか、〖つむじ風〗サイラスか、大物を狙うのもいいな……決めた〖見えざる敵〗インヴィートだ!」

 

 物心ついた時から賞金首を狩って生活してきたナギは新たな標的を誰にしようか悩んでいた。

 

 その時──

 

「ぐ、ぐああああああああ」 

 

 突如襲いかかる激しい頭痛。あまりの痛みに膝から崩れ落ち当たりを転げ回る、そうでもしないと気が狂いそうな程の痛み。

 

「く、そ……んだよこれ……! ぁたまが割れるっ!! かっ…………」

 

 あまりの痛みに耐えきれず気絶してしまい日が昇るまで目が覚めることはなかった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

「っ……頭いってぇ……」

 

 しばらくして目を覚ますとナギ・ロード、いや鳴上 凪が目を覚ます。

 実はナギ・ロードは凪の転生体だったのだ。0歳の体に転生する事はどうやら不可能らしく、転生が可能な14歳まで仮の人格ナギ・ロードとして生活していたのだ。

 そして凪の人格が顕現した今、現世の記憶が走馬灯のように流れる。

 

「おお……なるほど、これが今の俺ね……って、性格に難アリってもんじゃないだろ……」

 

 これまでの記憶を読み取ると小さい頃に山へ捨てられ奴隷商に拾われ売られ、決死の覚悟で脱出。その時の主人を殺し人を殺す快感を覚えて現在まで数え切れぬほどの人を殺していた。

 

「俺も人の事言えないけどこいつは楽しんでやってるのか……ん?」

 

 髪が白くなってる……あれ、ナギは黒かったはずだけど……記憶奔流の影響か?

 

「まぁ見た目なんて気にすることじゃないし、それに……これはなかなか嫌いじゃないぞ」

 

 今、どの程度動けるのか様々な動きをしたのち満足したのかその場に胡座で座る。

 

「うん、十分動くけどやっぱり力がヘボいな……まぁせ急ぐことじゃないしとりあえず今は寝るか」

 

 

 

 ◇

 

 

 

 昨日記憶を漁ってわかったことがいくつかある。

 まず、この世界では異能と呼ばれる数十人に一人にのみ発現する超能力みたいなものがあり、その異能保持者を「ホルダー」と呼ぶ。

 ただ、異能は例外なく16歳までは発現しない。16歳に教会などの施設で発現するためナギはまだホルダーでは無いということになる。

 

「超能力か……異世界ってのも面白そうだな」

  

 もうひとつわかったことは、この世界では魔族というものが生息してるらしい。

 魔族とは、獣のような姿形をしている「魔獣」がほとんどで、とても凶暴な性格をしており、地球で言う武装した特殊部隊が5人いて初めて討伐できるの生物。

 

 だが「魔人」と呼ばれる人型の魔族に関してはホルダーではない人間が完全武装して戦車や戦闘機を用いても全てが無意味になる程の強力無比な存在。

 

「そして魔族の王『魔王』の存在が御伽噺として語られてる……おそらくこの世界の危機はこの魔王によるものと考えていい。魔王を討伐するのを最終目的とすると力をつけないとな」

 

 ちょうどいいのがホルダーのみで構成された、王立ヴァーミリオン学園、通称ヴァーミリという学園が首都マザーにあるらしい。そこでなら協力してくれる仲間が見つかるかもしれないから当分はそこに入学することを目標にするか。

 

「筆記は……気合いだな。実技の方は試験官との勝負で1本取ったら勝ちという方式……この世界のレベルが分からない以上万全を期すために修行するか」

 

 そう決めたナギは近くの森の奥へ進んでいく。

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