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第1話 幕開け

「ここどこ……」

 

 目が覚めると辺り一面真っ白な空間にいた。

 

「死後の世界ってあったんだな」

 

 ただ、ほんとに何も無いな……ここに居ても何もなさそうだ。

 

「あのー、誰かいませんかー」

 

 こういう非常事態は落ち着いて周りに人がいるか確認するのが大切だって父ちゃんが言ってたからとりあえず周囲に誰か呼んでみる。

 

「は〜い、いますよ〜」


 周りを見渡してる凪に誰かが声をかける。

 

「良かった、ここがどこ……か……」

 

 声が聞こえた方を見てみると真っ白な装束に身を包み背中には立派な翼を生やしていた。

 

「えっと……人間じゃないですよね?」

 

「ピンポ〜ンなのですよ〜。はじめまして、私はニヨル。ここの主であり、あなたいた世界を創った創造神なのですよ〜」 

 

 ニヨルと名乗るその神はおっとりとした口調でそう言った。

 

「……えっと、何を言ってるのかさっぱり……」

 

「だから〜、ニヨルですよ〜」

 

「そっちじゃなくて……創造神? よく分からないんだけど……それにここは?」

 

 とりあえず目の前の自称神の変人から色々聞き出したい。

 

「いっぺんに質問されると困るのですよ〜。まず創造神ですがそのままの意味ですよ〜あなたがいた世界の生物、物質や宇宙、法則などもすべて私が創りました。このように──」

 

 そう言ってニヨルは手を翳し自身の隣に俺のコピーらしきものを創った。

 

「──人間なんて簡単に作れちゃうんですよ〜」

 

「あ? どこだここ」

 

 と、もう1人の俺が言う。

 

「俺がいる……」

 

「え、俺がいる……」

 

「まじじゃん……」

 

「えっと……あぁそういう事ね」

 

 隣の神らしき人を見て状況を理解したらしい、さすが俺。

 

 しばらくするとニヨルがまた手を翳し、クローンの方はドロっと溶けて消えた。

 

「理解しましたか〜?」

 

「……理解したくないけど理解しなければならないってのはわかった」

 

 あんな何も無いところから生物が生まれたらいやでも理解しなければならない。

 

「つぎの質問はなんでしたっけ〜……あ、そうそう、この場所についてですよ〜、ここに正確な名前はないのですよ〜。あえて言うならば虚無とでも名付けましょうか〜」

 

「虚無?」

 

「はい、実はあなたがいたような世界は沢山あるんです」

 

「はぁ……」

 

 話のスケールがいちいちデカいんだよ。

 

「その様々な世界へ行き来出来るのがここなのですよ〜」

 

「でかい駅みたいなものか」

 

「だいたい合ってますよ〜」

 

「で、なんでそんな場所に俺がいるんだ?」

 

「それに関しては話すと長くなるので〜」

 

 パチンと指を鳴らすニヨル。すると何もない空間だった場所が俺の部屋に変化した。

 

「座って話でもしましょう」

 

「……」

 

 別になんてことは無いと言う顔で笑うニヨル。ニヨルの力を目の当たりにして神というものを改めて理解した気がした。

 

「事の発端は私の友達の創造神がですね〜」

 

 創造神同士にもコミュニティはあるのか。

 

「『私の世界が滅びそうだから助けて』って泣きながら乞いて来たんですよ〜」

 

「展開が早い」

 

「何度も断ったんですよ〜? けど他の創造神から逃げられたらしくて頼めるのが私だけしか居ないらしいのですよ〜」

 

「みんな面倒くさがってない?」 

 

「仕方なく助けようと思ったので、私の世界からいわゆる『勇者』というものを選ぶにあたり『ニヨル流勇者の選び方』で選別したところ、あなたが選ばれたという訳ですよ〜」


 そんな大事なものを軽いノリで決めれるもんなのか。

 

「それはどういう基準で選んだんだ?」

 

「それはもう沢山ですよ〜。『性格面』、世界を救う人間がクソ人間なんて笑えないのですよ〜。『適応力』、いきなり別世界に飛ばされるんですからパニックにならないくらいの適応力を持ってないと話にならないですよ〜」

 

 と、様々な選考基準を述べていくニヨル

 

「──と、いろいろある基準のうちひとつあげるとすると〜、『いなくなってもそんなに影響を与えない人間』とかですよ〜。あなたずっと裏で生きてきたでしょう? あなたみたいな裏で生きる人だといてもいなくても変わらないので〜」

 

 ……えっと?

 

「つまり俺が死んだのはお前が仕向けたってことなのか?」

 

「そういうことになりますね〜」

 

 満面の笑みで答える。

 

「なんでそんなことをしたんだ?」

 

「さっき基準で言いましたよ〜、性格面適応力あとは単純な戦闘力が高いからですよ〜」

 

 なぜ俺が老衰で死ぬまで待てないんだ……その前に世界が終わるか……

 

「……まぁ暗殺を辞めることができたのならいいか。だけど俺はそんな破滅寸前の世界なんかに行きたくないけど?」

 

「いえ、行ってもらいますよ〜」

 

 そう言ってなにやら呪文のようなものを唱える。すると、俺の足元に明らかに怪しい魔法陣が浮かんできた。

 

 あ、これダメなやつだ。

 

 すぐさま枠から脱出しようと試みるが魔法陣の枠に沿って壁があるみたいで外に出れない。

 

「……強制ね、わかった、その代わり転生先は環境が整ってるところがいい。訓練とかをしたいから生活で精一杯なところだと世界を救うどころの話じゃ無くなる」

 

「あ、そこはあまり保証できないですよ〜、転生と言っても0歳から生きてもらうのではなく14歳からじゃないといろいろと問題があるのですよ〜。だからその14歳まで仮の人格に生きてもらうんですが……少し難アリな性格かもしれないですよ〜」

 

「そこは運任せってことか、全く……」

 

 足元の魔法陣が光り出した。

 

「それでは快適な異世界ライフを、ですよ〜」

 

 そう言ってヒラヒラと手を振るニヨルを最後に目の前が光に包まれる。

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